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プロローグ
油断した。
閉じ込められることは想定内だったとはいえ、そのまま見張りもつけずにいなくなるとは。使えそうなものは持っていないし、ここには見る限り何もない。
おとなしく彼の助けを待つか――そう思ったところで、自分の思考が以前とは全く変わってしまっていることに気づき驚いた。これまでの自分なら、人に頼るなんて考えもしなかっただろう。自分は守り、頼られる側の人間である。強くなければいけないし、守られることなどあり得ないと思っていたから。しかし彼は、こんな自分に好きだと、守りたいと言ってくれる。それを聞くたび、確かに嬉しいと感じるのだ。
ふいに、外から鍵の開く音がした。そこから現れたのは、やはり望み通りの彼だった。