第2話 「OMAMORI ー神様からの贈り物ー」への道
かーごーめー かーごーめー
かーごのなーかのとーりーは
いーついーつ でーやーるー
よーあけーのばーんにー
つーると かーめが すーべったー
うしろのしょーめん だーあれー
・・・後ろの正面?
誰もいないよ。
だって、私はずっと一人だから。
誰かがそばにいてくれたり、そんな時はない。
悲しげに、哀しげに彼女はその唄を聞くとうっすら涙を目に浮かべて笑う。
そんな事はないんだよ、凛恵。
僕はずっとずっと、君のそばにいた。
朝も昼も、夜も、もっと深い闇の中でも。
だから、君が知らない僕の思いを今日も君が眠りに就くまで歌おう。
君が安らかに眠れるように。
君がしばし、その孤独を忘れられるように。
僕は誰?
誰なのだろう?
名前はわからない。
ただ僕は人間ではなく、人間達は僕を龍と呼ぶんだ。
僕は君とは違うから、きっと聞き手によればこの歌は哀しいのだろうか。
だけど、一生懸命に歌うから聞いておくれ。
君は君、僕は僕。
笑って過ごした日々があり、泣いて過ごした夜がある。
君は人、僕は龍。
繋がる事ないこの縁を、紡ぎ紡いで繋げたい。
愛しは叫べど届かない。叫べ、叫べど届かない。
我が身が誇るこの四肢は、君を抱いても届かない。
眠れるかい?
ねぇ、眠れるかい?
この声は、きっと届いてはいないのだろう。
だけど、ああ、なんて安らかな寝顔なのか。
僕は歌うよ。
今日も歌う、君の為に。
僕を知らない、僕に気付かない凛恵の為に。
一方通行の届かない愛の歌を、君のすぐそばでずっと歌い続けるから。
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天神ファイル・リメイク作品
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