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第1話 - 青い龍神、紅い情熱-
その日、西方に向けて長野県須坂市より一筋の青い流星が翔んだ。彼の名は「安曇野つらら」。名前を奪われ、数百年も昔に記憶を失くした龍はその罪深き愛の為に命を賭して今宵天を駆ける。
「見てろ。凛恵、俺が必ず助けるから。」
わずか土佐犬3頭分にしか満たない小さな龍は自らの存在すら認知しない1人の人間の女に恋をした。龍女と呼ばれる特殊な力を持つ巫女はあらゆる者達を魅了する。今は名もなきその龍も例外なく、彼女の虜となった。
敵は総勢21神にもなる一騎当千の黒き妖狐ども。はぐれ稲荷と恐れられる妖の集団が彼女の周囲で傍若無人に悪行を働く。
「俺では、奴らを倒せない。」
小さな小さなまだ龍神にも満たない未熟な龍は、西方にいるという神々の間でにわかに話題を席巻する人間に救いを求めた。
「この命、砕け散り奈落に落ちても良い。ただ、絶対にお前を助けるから待ってろ。」
名もなき龍は娑婆と霊界の理を壊す大罪の覚悟を腹にくくり、健気で無垢な思いはその夜、青く輝く一筋の龍星となって西へ向け光を超えた。
天神ファイル -第1話-
つづく