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仮題すら思いつかない  作者: 夏目棗
第一章 覚醒
7/10

Awakening 7 -終-


アルと初めて会った日の夜、ハンナも自身の部屋へ帰って行った頃に私はその日思い出したことについて、改めて考えていた。


「このままだと、やっぱり死んでしまうのかな……死ぬのは、怖いな……それに、アルが壊れてしまうのも嫌だ…… どうすればいいんだろう……」


シナリオと同じ進み方をするならば私は12歳で死に、アルは歪んでしまう。そのことだけが重要だった。


それは、父上と母上では癒しきれないほどの傷をアルが心に負うということであったからだ。


「……ぼくが死ななければいいんだ。ぼくさえ死ななければアルが壊れてしまう可能性は低くなる。そのためには、もっとよく場面を思い出さなきゃ。アルを悲しませるなんてだめだ。あんなに可愛いぼくの弟……」


この頃は私がわがままを言うことはあっても、私にわがままを言う者はいなかった。身体が弱く、他家の子息たちと遊べなかったからだ。


だからだろうか、私に『もっと本を読んで』とお願いしてくれるアルはとても大切で愛おしく思えた。


アルのわがままをきいている間は私は重病人ではなくただのお兄ちゃんでいられたというのもあっただろうが……


とにかく、アルに会ったその日からアルは私の宝物になった。前世でいうブラコンというものに私はなったのだ。


だから、アルには絶対にトラウマなど与えたくはなかった。私は考えた。


「どうしたらいいんだろう。この身体では剣は振れない……体術にもきっと耐えられない……。接近戦はだめだ、力負けするしそもそも武器なんて持たせてもらえない。」


体調は安定していたが、それでもただの6歳児であった私には大人に力で抵抗する術はなかった。


こうして、私の苦悩の日々が始まった……


To the next chapter......

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