表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮題すら思いつかない  作者: 夏目棗
第一章 覚醒
4/10

Awakening 4


ドアをノックする音が聞こえた、ハンナは私に確認をとってすぐにドアを開けた。


「遅くなってすまなかったね、イェルク。身体は辛くないかい?」


開口一番に私の体調を心配する父上に私は嬉しくなった。父上は忙しい方でこの頃はなかなか会うことができなかったから……


「はい、大丈夫ですよ父様。」


「そうか、良かった。お医者様はああ言ってくださったが、それでも心配でな……。お前は私たち夫婦の宝物だから。」


「ありがとうございます父様。でも、昨日から1度も発作は起きていないしとっても元気なんですよ?」


父上がとても不安そうな顔をしていたから、いつも以上に笑顔で私はそう言った。


「そうだな、心配し過ぎてもしょうがない。さて、本題を話そう。……実はな、お前が3歳の時に弟が生まれていたんだ。アルベルトと言って、すぐにお前とも会わせたかったのだが、お前は会える状態じゃなかったから伝えていなかったのだ。」


「ぼくに弟がいるのは知っていますよ。昨日バルコニーからみたんです。」


「そうか、知っていたか。」


「はい、とっても可愛らしかったです。父様、ぼくアルベルトと会ってみたいです。満月が近づけばまた体調が安定しなくなってしまうのでしょう?だから、新月がくるまえに会いたいのです。」


私は思いきってアルに会いたいことを伝えた。正直、アルと会うのは少し怖かったが、恐怖よりも興味の方が大きかったのだ。


「そうか!会いたいと言ってくれるか!正直イェルクがアルベルトを受け入れてくれるか心配していたんだが… 要らぬ心配だったな。」


父上は安心したようにそう言った。


「ハンナから聞いた時は驚きましたけど、家族が増えるのは嬉しいです!」


「お前がそう言ってくれて嬉しいよ。なら、明日アルベルトと会おうか。」


「はい!うわぁ、ぼく明日がとっても楽しみです!」


その時、部屋の戸を誰かがノックした。


「旦那様、お客様がおいででございます。」


「客?……今日は予定にはなかったはずだが、どちら様だ?」


父上は心底不思議そうに問うた。


「アルディラ辺境伯夫妻にございます。」


「あぁ、カイたちか!そうか、無事帰ったのか!しかし……」


父上はとても嬉しそうだった、けれど私のことが気になるようだった、だから…


「父様、ぼくのことはいいですよ。また、明日来てくださるのでしょう?」


「そうかい?ふむ…… では、また明日な。良い子で寝ているんだよ?」


「はい、父様。」


そして父上は応接間へと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ