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仮題すら思いつかない  作者: 夏目棗
第一章 覚醒
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Awakening 2


風がとても気持ち良かった。目を閉じて身体全体で風を感じていると声が聞こえた。とても幼い子供の声だった。


気になって声の聞こえてくる方を見ると、小さな子供と侍女がいた。私と同じ碧い瞳に母様と同じ銀色の髪の稚児だった。


「ハンナ、あれは誰?」


気になったので、ハンナに聞いた。


「どなたのことですか?」


ハンナはバルコニーへは出ていないから、あの子供の事が見えていないようだった。


「こっちに来て、ほら、あそこにいる子だよ。」


バルコニーへと来たハンナは私に言った。


「坊ちゃま、あの方は坊ちゃまの弟君であるアルベルト様にございます。アルベルト様がお生まれになってから、坊ちゃまは生死の堺を彷徨われておいででしたので今までお伝えできなかったのです。本来ならもうお会いしていたはずなのですが、なかなか機会に恵まれず、ご紹介できずにおりました。」


「おと、うと?」


「はい、坊ちゃまの弟君のアルベルト様にございます。お医者様も坊ちゃまの体調は安定してきていると仰っておりますし、もう少ししたら直接お会いできますよ。」


「……そっか、はやく会えるといいな。ねぇ、お医者様次はいつ来るの?」


「明日お見えになるそうですよ。さぁ、坊ちゃま!もう3分過ぎました。お部屋にお戻りくださいませ。」


そう、ハンナに急かされて私は部屋へと戻った。早く弟に会ってみたかった。弟と一緒に外で遊んでみたかったのだ。身体の弱い私は外で遊べなかったから……


「ハンナ、弟は……アルベルトは何歳なの?とても生まれたばかりとは思えないのだけど…」


「アルベルト様は3歳にございます。坊ちゃまが3歳の時にお生まれになりました。」


「そうなんだ、それじゃあぼくが知らないのもしょうがないね。とても話ができる状態じゃなかったでしょう?」


アルが生まれた頃の記憶は当たり前だけれどもない。でも、聞いた話によると私はちょうど魔力過多の子供の最初の山場を迎えていたらしい。


魔力過多の子供には多すぎる魔力に抵抗するため、病気に対する抵抗力が極端に落ちる時期がある。それが魔力が増え始めるとされている3歳頃である。


そこから回復するかどうかは本人の体力次第とされている。そのため、回復する為に必要な期間もそれぞれなのである。


私の場合は、抵抗力が安定するまでに3年抵抗力が完全回復するまでに2年かかったのを覚えている。まぁ、抵抗力が回復しても身体は弱いままだったけれど……私がアルを初めて見たのは抵抗力が安定し始めた頃だった。

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