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仮題すら思いつかない  作者: 夏目棗
第一章 覚醒
1/10

Awakening 1


「坊っちゃま、おはようございます。本日もいいお天気ですよ。」



「おはよう、ハンナ。本当だ、とっても気持ちのいい朝だね。」


そう、挨拶を返して私はベットから降りようとした。


「いけません坊ちゃま!倒れたらどうするおつもりですか!!」


ハンナは慌てて私をベットへと戻そうとした。


「大丈夫だよ、ハンナは心配性だな。今日はとっても身体が軽いんだ!」


「で、ですが!!」


「ほらほら、ハンナは自分の仕事をして!少しバルコニーへ出るだけだから、すぐ戻るよ。」


そう言って私は少し駆け足でバルコニーへと向かった。いつもなら素直にベットへ戻る私がハンナを振り切ってバルコニーへと行った衝撃が大きかったのか、ハンナは私を追いかけてはこなかった。


私も私がハンナの言うことをきかなかったことに驚いていた。でも、この日はなんだか気分が良くて、なぜだかとてもバルコニーへ行きたかった。……いや、行かなければいけない気がした。


呆然としていたハンナは私がバルコニーへと続く扉に手をかけた事に気付き、慌てて私のところへやってきた。


「坊ちゃま、どうしたのですか?ハンナは坊ちゃまの事を思って言っているのですよ?ささっ、はやくベットへお戻りください!調子が良いとはいえ、いつ悪化してしまうのかわからないのですよ!」


ハンナが何か言っている、でも私はどうしてもバルコニーへ出たかった。だから、ハンナには悪いけれど無視をしてバルコニーへと続く扉を開けた。


後から思えば、この時の私はどこか可笑しかった。

なぜバルコニーへ行くことへそんなに執着していたのか、今ではわかるがこの時はそんなこと全く考えていなかった。


バルコニーへ出ると風がとても気持ちよかった、久しぶりの外の空気に私の気分が高揚した。


「坊ちゃま!」


ハンナの叱責の声が聞こえる。


「ごめんなさい、でもこんなに調子が良かったのは久しぶりだったから……。どうしても外の空気を吸いたかったんだ。」


「坊ちゃま、お気持ちはわかりますがあんまりはしゃぎますとせっかく回復した体調も悪くなってしまいます。ハンナは坊ちゃまを心配しているのですよ?」


「うん、わかってるよ。その言葉今日は今ので2回目だもの。でもあと少しだけ……ほんの2、3分でいいから外にいさせて?」


「……わかりました。3分たったらベットへ戻って頂きますからね?」


「ありがとうハンナ!うん、約束するよ!」


ハンナは優しかった。魔力過多で生まれつき身体の弱い私の世話を文句も言わず甲斐甲斐しくしてくれた。


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