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忘却オルゴール  作者: たかだ よしまさ
8/12

怒れない男 5

しかし、特殊能力に目覚めたといっても、それはY次郎のコントロール下におけるような代物ではなかった。


つまり、Y次郎自身も身の周りの何が壊れるかは怒ってみるまで分からないのだ。空き缶のような小さな物から、大型トラックのような大きな物まで様々であった。


概ね、怒りの度合いが大きいほど質量の大きな物が、度合いが小さいほど質量の小さな物が壊れるようであった。しかし、何を壊そうなどという標的はY次郎自身には決められず、ランダムに意図せぬ破壊が繰り返された。


コントロールできない危険な力。Y次郎はすっかり心身疲れ果ててしまい、会社を休みがちになってしまった。幸い、この連続破壊をマスコミが感づかなかったのがY次郎自身にとっては救いであった。


警察もあまりにも不自然な破壊の連続に、いささかざわめいたが犯人を特定できなかった。当たり前である、Y次郎は手など触れずに怒ることにより意図せず破壊をしてしまっているので疑われる理由がないのだ。




とはいえ、そんな事が半年も続いてくるといい加減にマスコミも気付き出す。何かがおかしい、と。


不可思議な連続破壊行為は現代の切り裂きジャックか、はたまた透明人間によるテロか、と毎日のようにワイドショーを賑わせた。


Y次郎もこう騒ぎが大きくなってしまうと枕を高くしては寝れず、ついに大学時代の医学部の友人で、卒業後は心療内科の女医になったF子を訪ねることにしたのだった。

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