戦況手記 2
9月22日
やつらは十日前の夕暮れに前触れもなく突然やってきた。巨大な足で大地を踏み鳴らし、夕焼け空を切り裂く甲高い咆哮をあげ、我が城に攻撃を開始した。見たことがない武器で我が城を掘り起こしたあげく水攻めにしたのだ。今思い起こすだけでも恐ろしい。我が城はどうなったのだ?。故郷を確認しなくてはという義務感と、故郷を確認しなくてはという恐怖感に脚は進むが心が引き返したがっている。
9月24日
ようやく我が城の領内に到着した。もう知った道だ、そのはずなのにまるで初めて訪れる土地のように感じるのはやつらが行った破壊行為のせいに他ならないだろう。
9月25日
我が城の崩壊を確認。損傷が激しく、内部への侵入は不可能。やつらの姿はもう見当たらないが、女王も兵団も兄弟達も発見できなかった。
9月26日
やつらが戻ってきた。俺の姿を発見こそされなかったが、逃げなくては。逃走の最中、見失っていた兵団を我が城の付近の平原にて発見、死亡を確認。何人かなど数えられなかったが、ほとんどの兵団が全滅した事は平原を埋め尽くす屍の山が教えてくれた。
9月2
もうだめだ。やつらにみつかった。おそらくこれがさいごの手記になる この命があるかぎり走るしかない もし、このしゅきを手にする者がいたとしたら伝えたい。城は、必ずやつらに見つからぬ目立たぬ土地に建てるべきだと やつらに見つかれば
9月30日
どうにか逃げ延びた。俺はまだ生きている。やつらは