安全保障に関する憲法草案 基本条項編
安全保障に関する憲法草案については条項数が多いので、
いくつかに分けて紹介したいと思う。
※条項数は説明便宜上のもの
第1条・平和主義
①倫理は自然の摂理を超えず、争いは本能のものであって、理性の制御によって平和は為すものであって、在るものに非ず。万事が、その心技体の充実並びにいったいを旨として成るように、平和も然るべくして成るものであって、我が国は、この憲法において、生命秩序並びに人間社会秩序の安寧のために人事を尽くす事が平和主義であると定義し、国は、我が国を滅せぬ国とならしめた和の精神を要とする国是を以て法を定め、内政並びに外交、及び、経済並びに軍事その他の政事に尽力しなければならない。
②政治の紊乱は権力の次第に因るものに非ず、経済の紊乱は富の次第に因るものに非ず、統帥の紊乱は武力の次第に因るものに非ず、全ては人の次第に因るものなのであって、全ての国民並びに我が国は、秩序の紊乱の度に権力、若しくは、富、若しくは、武力その他の事物の次第に惑う事は、平和の非理であると心得、道理を弁えて、常に己の良心を鍛え律するよう努めなければならない。
③現存する世界の国家群の中で世界最古の歴史を誇る我が国は、和の精神を以て建国を成し、推古天皇12年(西暦604年)4月、摂政聖徳太子による十七条憲法の第一条において『和を以て貴しと為す』と定められる事により、和の精神は、万世不易且つ原理たる我が国の国是として確立され、以て現在の地位に至ったのであり、これは、我が国が、秩序の維持という哲学に関して、世界で最も経験且つ実績を有する事を実証しているのであって、全ての国民並びに我が国は、この崇高なる理念を継承し、この哲学をさらに発展させ、我ら並びに我らの子孫、及び、我らの全ての心友が平穏に生きるために、これを活かすよう努める責務を負う。
第2条・自己防衛の責務と権利
①我が国の主権下の全ての人には、この憲法に保障される全ての権利について、第一に自らを守るために行使する自己防衛権が保障される。又、同時に、我が国の主権下の全ての人は、自らの生命並びに健康、及び、尊厳ある自立並びに信条、及び、権利並びに財産その他の自己権益の保持について、まずは自らが責任を以てこれに尽力する自己防衛の責務を負う。但し、この定めは、国並びに国定自治体の安全保障に関する責務履行の怠慢を許すものではなく、又、当該責務を怠った者が、任意の違法行為の被害を受けたからと言って、その加害者の責任は軽減されない。
②自己防衛権は、自らが行った違法行為の隠蔽や偽装を許すものではなく、違法行為の隠蔽や偽装は、当該権利の濫用なのであって、自らの違法行為について、当該権利を行使せず、反省を以てこれを認めた場合には、その科せられる刑罰について情状酌量が付されるが、当該権利を濫用し、違法行為を故意に隠蔽又は偽装した場合には、司法取引が成立した場合を除いて、その刑罰は、重く科するものとする。
③我が国の主権下の全ての人には、国又は国定自治体の当該官憲、若しくは、自分以外の者に対して、自己防衛のための協力を依頼する事が出来る。又、全ての当該官憲は、この憲法に特別の定めがある場合を除いて、正当なこの依頼に対しては法律の定めるところにより、その内容に応じた必要な協力をしなければならない責務を負う。但し、任意の法的な責務がある場合を除いて、個人又は民間の組織団体に関しては、この協力受諾の選択の自由が保障され、これを断ったとしても、如何なる法的責任も問われず、如何なる差別も受けない。
④我が国の主権下の全ての人は、法律の定めるところにより、現に生命の危機にさらされている者を目撃又は間近で確認した時は、現状において自らが可能な手段により、その者に対する必要な救命作業の実行又は協力をする責務を負う。但し、この責務を履行するにあたって、仮にその途中の判断を誤り、受難者の救命に至らずに命が失われ、若しくは、その状態を悪化させてしまったとしても、この責務を誠実且つ正当に実行し、社会通念上やむを得ない結果であるならぱ、救命作業を実行又は協力した者は、その責任を問われず、如何なる差別も受けない。
⑤自己防衛の責務は、違法行為の場合を除いて、予め危険が充分に想定される事柄を実行する権利を妨げるものではなく、自らの責任において、生命又は人権その他の自己権益が害される可能性がある事柄でも、これを実行する事が出来る。但し、これを実行して派生した自己責任に基づく被害については、法律の定めるところにより、この補償は減額又は無効となり、又、この結果において、自らの生命が危機に陥り、この必要な救命を受けた時は、法律の定めるところにより、救命作業を行った者に対して、この実行者は必要な補償又は謝礼を行わなければならない。
⑥同条第5項が適用される救命作業の場合には、例え国又は国定自治体の当該官憲による救命作業であっても、法律の定めるところにより、必要な救命作業の費用を危険行為の実行者に対して請求することが出来る。
⑦我が国の主権下の全ての人は、必要な救命作業を行ったにもかかわらず、国又は国定自治体の立法又は行政措置の怠慢がために、当該行為が違法行為又は超法規的措置として扱われてしまった場合は、結果として救命作業が成功したか否かに関わらず、如何なる法的責任も問われず、如何なる差別も受けない。又、国又は国定自治体は、これが判明した時には、直ちに立法並びに行政両面において、是正措置を執らなければならない。
⑧我が国の主権下の全ての人は、法律の定めるところにより、正当防衛において、他人の生命を奪い又は害してしまった場合においては、その法的責任は問われず、如何なる差別も受けない。
第3条・国民並びに国の安全保障に関する基本的責務
①全ての国民並びに国は、この憲法の定めに基づき、我が国の生命秩序並びに人間社会秩序の安寧の確保のために尽力する責務を負う。又、国は、国土の生態系、及び、国民の生命、人権、尊厳ある自立、財産その他の権益、及び、国の尊厳ある独立並びに主権、及び、国の陸海空並びに宇宙の全てにおける領域、権利、財産その他の権益、及び、その他の国益について、首権者の信託を以て全力で護持する責務を負う。
②全ての国民並びに国は、世界の一角たる日本の国家主権を担う者としての自覚を持ち、国際世論の信託を得つつ、その時の国力並びに国能相応にして、世界の生命秩序並びに人間社会秩序の安寧の確保に積極的に貢献し、尽力する責務を負う。