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今日から俺が総理大臣  作者: やいたもん
第五章 国防論
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兵力削減は軍縮ではなく軍拡の動き

ドイツでは、2014年までに徴兵制が中止されるという。

廃止ではなく中止と言う事で、

将来的には、復活する可能性も残されてはいるが、

現在すでに徴兵制は実施されていない状況になっている。


また台湾でも、2014年末までに徴兵制が廃止されるという。

台湾は、中国と言う強大な国を仮想敵国としているが、

両国の緊張関係が緩和しているとの事で、

こちらは、完全撤廃を目指している。


これらの動きとともに、

世界中でも徴兵制の廃止や緩和が検討されたり、

兵力の削減などが進められている。


こうした話を聞くと、一般的には、

世界が軍縮に向かっていると思われがちだが、

実は逆である。

これは、軍拡の動きなのである。




RMAという言葉をご存じだろうか?

これは、軍事を語る上では、必須キーワードだ。

これも知らない奴が平和や軍隊を語るなど、

ちゃんちゃらおかしいというくらいの常識キーワードだ。


RMAとは、Revolution in Military Affairsの略語だが、

日本語に直訳すれば「軍事における革命」となるが、

軍事の先進化やハイテク化を示す用語として使われる。

現在、世界の軍隊は、このRMA化の達成度を高めるための

軍拡競争に突入している。


このRMA化において、より専門的な知識や能力を有する

職業軍人の存在が重要になる。

もちろん、兵器などのハイテク化も重要なのだが、

一番重要なのは人材の育成なのだ。

より少ない人数で、犠牲を少なくして、

より大きな効果をあげるための軍事力の整備、

平たく言ってしまえば少数精鋭化、

省力化ということなのだが、

こうしたRMA化された人材の育成に、

世界では力が入れられているのである。


このためには、徴兵制など、

軍隊の頭数を整えるだけのための制度は、

はっきり言って無駄なのだ。

徴兵で兵士の数だけ揃えても、

RMA化された軍事力の前では無力だし、

せいぜい人間の盾にしかならず、

犠牲を多くするだけになる。

また、それだけの兵士を養うための予算も無駄になる。


だから、特に主要国では、

徴兵制の廃止や緩和、兵力削減に向いているのだ。

徴兵制を廃止する事で犠牲を減らし、

兵力削減で予算をより優秀な人材の育成や、

RMA化された兵器の開発や調達に向けられる。


あの中国ですら、徴兵制の制度は残っているが、

現在、志願兵だけで兵力の定数を充足しているので、

徴兵制は実質的には行われていないし、

総兵力の削減に向けて動いている。

予算だけは、尋常じゃなく増えているにも関わらずだ。




戦闘機や軍艦、戦車などについても同じである。

その総数自体は、世界では削減に向けて動いている。


例えば、アメリカでは現在、

最新鋭の駆逐艦であるズムウォルトが建造されており、

2014年に一番艦が就役する予定だが、

この駆逐艦は、最新鋭の装備を整え、

排水量も約1万4500トンと大型になったにも関わらず、

乗員は、約140名で運行出来る代物だ。

例えば、現在最新鋭と呼ばれるイージス艦の場合、

アメリカのアレイバーク級フライト2Aで、

排水量は約9200トンで、乗員は約280人を必要とする。

日本のイージス艦の場合は、

排水量約1万トンで乗員は約300名だ。

これらよりも強力で大型な船が、

半分以下の人員で運行出来るのである。


戦闘機でも無人戦闘機の開発が進められており、

戦車でも、日本の場合で言えば、

38トン程度の74式戦車を4名で操縦していたものを、

次世代の90式戦車では50トン程度に大型化されても、

3名で足りるようになり、

さらに最新型の10式戦車では、

90式と同等の能力を持ちながら、

重量を44トンまで落とす事に成功している。

これも日本だけじゃなく世界的な流れだ。




世界の軍事情勢を把握するためには、

RMAは、絶対に欠かせない要素である。

これを無視して、ただ兵力削減や、

徴兵制の廃止を目指す国が増えている事実だけを捉えて、

世界が軍縮に向かっているなどという奴がいたら、

そいつは、とんでもない食わせ物だ。

無知以外のなにものでもない。


世界は、残念ながら現在、

軍縮ではなく、軍拡に向けて動いているのである。











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