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今日から俺が総理大臣  作者: やいたもん
第五章 国防論
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世界秩序の一員としての核武装の責任 ~日本は核実験なしに核武装すべき~

日本は核保有すべきか?

結論から言ってしまおう。

保有すべきである。

俺の内閣では、防衛大綱に核保有を組み込んで、

核武装の準備を進める予定だ。


これには、憲法改正よりも、

国民はアレルギーを見せるだろうが、

日本と世界の将来のためには仕方ない。

俺は、日本と世界の為には、

日本の核武装は必要だと思っている。


具体的な内容も先に説明しておこう。


一口に核保有と言っても、おおまかには、

地上配備型(ICBMなど)、海上配備型(SLBMなど)、

爆撃型(ALBMなど)の三つの形態がある。

日本が保有するのは、海上配備型だ。

狭い日本の陸上には、ICBM(地上配備型長距離弾道ミサイル)や、

ALBM(空中発射型弾道ミサイル)を配備する場所など、

どこにもない。

そしたら自動的に海上配備型に限定される。


日本の核武装は、

MIRV(多弾頭型核ミサイル)で1基あたり3発の核弾頭を搭載した

SLBM(海上発射型長距離弾道ミサイル)を4発程度搭載した

SSBN(戦略原潜)を4隻、核弾頭にして約50発も保有すればいい。

それで充分だ。

数は違うが、イギリスも海上配備型に限定した核保有国であり、

日本は、イギリス型の核保有国となる。


核兵器は、イギリスのようにアメリカから買っても良いし、

アメリカが売ってくれなければ、

日本が独自に開発して作れば良い。

いずれにしても、核実験はいらない。


「日本が開発するなら実験は必要だろう」


…と言うかも知れないが、

少なくとも、核爆弾を破裂させて行う実験は必要ない。

MIRVにしたって、実際に予定通り

核を爆発させる事が出来るかどうかを

実験によって確認できないというだけで、

ただ作るだけなら、核実験はいらない。


「そんな核兵器を保有しても意味がない」


…と言うかも知れないが、

核保有の最大の目的は、核抑止力の確保であって、

核兵器の信頼性の確保ではない。

仮に日本に核を撃たれたら、

日本も即座に核を打ち返す事が出来るという

「事実」だけあれば良いのだ。

外国に売ったりするわけではないのだから、

核兵器が予定通りの威力を発揮するかどうかなんて、

核実験をして直接確認する必要なんてない。


それに、我が国は日本である。

技術貿易では約1兆5000億円もの黒字を出している

アメリカに次ぐ世界の技術大国である。

そのブランドがある日本が核兵器を作れば、

実験をしなくても、核兵器の威力を世界は信用するだろう。

それでも信頼しなくて、

爆発するかしないかは五分五分だから、

日本に核兵器を撃っても大丈夫…

なんて博打を打つほど、世界も馬鹿じゃない。

核実験なしに核保有をしても、

日本であれば、充分に核抑止力を発揮するはずだ。


SLBMの開発にはミサイル実験は必要だが、

これは海上での実験なので、問題ない。

当然、起爆実験などはいらない。

これもイギリスのように、

アメリカから買えるならば買ってもいい。




さて、日本に核兵器が必要かと言う事で言えば、

日本の周辺国であるロシア、中国、

そして北朝鮮までもが保有した現在、

アメリカの核の傘に頼らない核武装は必要であろう。

ロシアは、旧共産圏の第1位の軍事大国、

中国は旧共産圏第2位、

北朝鮮は第3位の軍事大国である。

ほとんどの日本人には、

この認識がないのが恐ろしいが、

旧共産圏のTOP3の軍事大国が、

日本の隣国として存在し核保有しているわけである。

この脅威を除く手段としての核武装の議論が、

今まで行われなかった事が、むしろ不思議なくらいだ。

しかもそれは、戦争に勝つためではなく、

相手に核を撃たせないためにである。

撃ったら撃たれるという事実があれば、

どんな紛争になっても、核兵器が使われる事は無い。

だから日本が保有するのも、50発程度で充分なのだ。


日本人の場合、柔よく剛を制すとか、

小よく大を制すといった美徳があるので、

みんなが核兵器を保有したから核兵器を保有するとか、

核兵器に対して核兵器で対抗するという手段に関して、

あまり上手なやり方ではない、

芸がない、他に巧みなやり方があるはずだという意識が強く、

それで否定的になる人も多い。

また、世界で唯一の戦略的な核使用における被爆国であり、

多大な犠牲者を出したという歴史があるので、

核兵器に対するアレルギーがある事も承知している。

しかしながら、核がある国が持つ世界に対する発言力と、

無い国が持つそれには圧倒的な差がある事も、

悲しいかな、否定できない事実である。


日本が核軍縮で主導権を握るためには、

日本も現に核保有し、同じ土俵で議論するしかない。

核軍縮の議論は、核保有国にしか出来ないのである。

ただ、主張するだけなら議論にも参加出来ようが、

主張を聞いてもらう事は出来ない。

これも、綺麗事を並べても否定できない事実である。




ただ、日本が核保有すれば、

核の軍拡競争が始まると懸念する声も出てくるだろう。

しかし、核兵器を特別視するような風潮は、

将来的には、確実に変わっていくと考えている。


まず、核兵器であろうと、爆弾である事には変わりない。

普通の火薬を使おうが、核を使おうが同じ爆弾である。

そういう意味では、普通の火薬は良くて、

核だけが駄目という理屈には、矛盾がある。

核が特別視されるのは、その破壊力がすさまじいからだが、

しかし、それも人間の現在の世界観が地球にしかないからで、

将来宇宙に人類が進出すれば、

それは、大きく変わると考えている。


核爆弾も、地球上で使うから威力がすさまじいだけで、

宇宙に持っていけば、その破壊力は微々たるものに過ぎない。

宇宙に進出した人類の時代においては、

土木における発破の手段などとして、

核爆弾が使われる時代が来るだろう。

核爆弾は、これから廃絶されるどころか、

どんどん普遍化していくものと俺は見ている。


そもそも、核廃絶が出来るという考え方が傲慢だ。

それは、人間の原理を無視して、

人間を神に祭り上げるかのような傲慢さである。

考えてもみて欲しい。

人間は、どんなに文明を発展させたと言っても、

所詮は、自然界からの物質の略取と、

自然界にある摂理を応用して、

文明物を築いているにすぎないのだ。

無から何も生み出す事が出来ないのが人間である。

逆に、現に存在しているものを、

完全に無にすることも出来ない。

自然界の摂理を応用して、

別のものに変える事は出来ても、

無にする事は出来ないのである。

それが人間の原理であり、

永遠に否定する事が出来ない(さが)だ。


核廃絶と言っても、それが相対論であると

理解しているならまだいいが、

絶対的に核廃絶が出来るとか、

それを目指すべきと考えているならば、

それはあまりにも傲慢である。

それを実現するには、人類が滅びるしかない。

そう言っているも同然の話だ。


核爆弾という技術が生まれた以上、

これが廃絶される事はありえない。


だからこそ、目指すのならば、

現在、核の五大国を代表として、

世界でバラバラに管理されている核の管理体制を

世界で一元的にする体制の確立、

つまり、秩序の形成を目指すべきである。

その方策については、俺にはひとつの提案があるが、

それは後述する事としよう。



ただ、人類の世界観が地球を基準としているこの時代においては、

核兵器が圧倒的な威力を発揮する兵器というのも事実である。

だからこそ、核兵器は撃たせてはならない。


そして日本人は忘れがちであるが、

日本は世界経済を揺るがすほどの経済力がある

世界の経済大国である。

日本人は、これを自覚しておかなければならない。

それは、誇るためではない。

外国からすれば、それだけ侵略価値があるという事であり、

あるいは、世界を揺るがそうと思えば、

日本が攻撃される可能性も十分あるという事である。

日本に異変があれば、世界経済が揺るぎ、

世界の秩序は混乱してしまうのである。

世界の一員として日本人は、

日本と言う国の主権を世界から信託された者として、

この安全保障を守る世界に対する義務があるのだ。

これを忘れた独善的な主張をするのは許されない。


だからこそ、日本の核保有は必要である。

日本に核を撃たせないためにだ。

これは、日本が世界に対して負っている義務である。

日本人は、世界秩序の一員であるという自覚を持つべきである。

そのうえで、核保有は議論されるべきなのである。


もはや、日本一国だけの問題ではないのである。























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