表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日から俺が総理大臣  作者: やいたもん
第五章 国防論
34/47

国民に無防備で戦って死ねという日本国憲法 ~第9条と第12条の矛盾~

さて、俺の内閣もいよいよ3ヶ月を過ぎた。

ここからいよいよ正念場だ。

支持率は70%を相変わらず超えていて、

女神も俺の傍にいる。


しかし、これから俺が触手を伸ばそうとしているのは、

日本国民の三大タブーのひとつ、国防論だ。

やはり、軍事に対する日本人の偏見は、

俺の内閣で正しておかなければならない。

もしかすると、これをきっかけに、

俺の内閣の支持率も下がるかも知れない。

けど、これは日本を改革する上では、

絶対に避けられない道でもある。



そもそも、人間というのは、

心技体の全てが整って、

初めて何かを為す事が出来る存在である。

しかも、心技体の全てが整っても、

なお完全ならざるのが人間の(さが)だ。

国で言えば、心は法律であり、

技は政治であり、体は経済力や軍事力と言った力である。

互いが互いを認め合って、

初めて国家国民は、その力を発揮する事が出来るのだ。

真の豊かな国、幸せな国とは、

その全てが充実した国の事である。

そのいずれかが、いずれかを否定すれば、

心技体の一体の否定であり、

完全ならざる人間を迷走させる事になる。

日本の国も今、迷走した状態である。


心を否定する力は暴力である。

しかし、力を否定する心は暴論である。

これが解らない人間には、

平和を語る資格などない。

そもそも平和とは、在るものではなく、

()すものだからである。

こうした基本的な当たり前の哲学もなく、

平和を語ろうとする似非(えせ)平和主義者がいるから、

世界は、いつまで経っても平和にならないのだ。



日本人の中には、相変わらず、

憲法第9条が平和の根幹であり、

平和のためには、これを守らなければならないという

狂信的な考え方を持つ人たちがいる。


「お前らは言霊主義者か?」


平和を唱えれば平和になるというのは幻想だ。

平和を唱えるだけでなく、

現に平和を作る作業をしなければ、

平和になんかなるはずがない。

平和とは秩序だからである。

秩序は作るものであって、

信じてれば叶うものなどではない。

根本から間違えている。


そして、そうした人たちは、

憲法第9条が抱える大きな矛盾を無視する。

それは、憲法第12条との矛盾である。

あまり指摘される事のない矛盾だが、

日本国民の多くは、日本国憲法に…


「無防備に戦って死ね」


…と突き放されている現実を理解しているだろうか。

おそらく、ほとんどの人は理解していないだろう。

そういう人たちは、いざという時、

真っ先に犠牲にされていくのである。


では、憲法第12条にはどう書かれているのか。



日本国憲法 第12条

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。(後略)



これが、憲法第9条と何の関わりがあるのか。

そう疑問を持つ人もいるだろう。

「国民の不断の努力によって、これを保持…」

という表現を国防や軍事と絡めるというなら、

それは詭弁であり屁理屈だというかも知れない。

確かに、この一文だけ見れば、そのように言えるだろう。


だが… これを詭弁や屁理屈と言うのは、

木を見て森を見ない愚か者である。

なぜならば、同じ日本国憲法には、

次のような条文もあるからだ。



日本国憲法 第97条

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。



この第97条は、第11条と同じ内容の条文として、

以前にも紹介しているものだ。

だが、皮肉にもこの条文が、

第12条にある「国民の不断の努力」の概念を示している。

第97条には、こう書いてあるのだ。



①基本的人権は、人類の多年に渡る自由獲得の努力の成果


②これらの権利は、過去幾多の試練に堪えた結果、信託されたもの



これを第12条で「不断の努力で保持せよ」と言っているのだ。

では、人類の多年に渡る自由獲得の努力とは何か?

人類が堪えてきた過去幾多の試練とは何か?

それは、人間の歴史が証明している。

多くの血を流した戦いの歴史である。

第12条では、日本国民に対して、

戦ってでも自由と権利を守り抜けと言っているのだ。


しかし、第9条では、そのための力を制限している。

つまり、第9条と第12条の話を総合すれば、

日本国憲法は、日本国民に対して、

「無防備に戦え」と言っているのである。

無防備に戦えば、多くの犠牲者が出る。

あなたもその1人なるかも知れない。

「死ね」と言っているようなものだ。


あなたは、これでもなお日本国憲法が、

平和憲法だと言えるのだろうか?

一方で戦うなと言い、

一方で戦えと言う、そんな矛盾した憲法を

あなたは信用出来るのだろうか?


俺は信用する事が出来ない。

だからこそ、憲法改正が必要であると考えている。


日本人は、この根本的な事から考え直さなければならない。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ