国民に無防備で戦って死ねという日本国憲法 ~第9条と第12条の矛盾~
さて、俺の内閣もいよいよ3ヶ月を過ぎた。
ここからいよいよ正念場だ。
支持率は70%を相変わらず超えていて、
女神も俺の傍にいる。
しかし、これから俺が触手を伸ばそうとしているのは、
日本国民の三大タブーのひとつ、国防論だ。
やはり、軍事に対する日本人の偏見は、
俺の内閣で正しておかなければならない。
もしかすると、これをきっかけに、
俺の内閣の支持率も下がるかも知れない。
けど、これは日本を改革する上では、
絶対に避けられない道でもある。
そもそも、人間というのは、
心技体の全てが整って、
初めて何かを為す事が出来る存在である。
しかも、心技体の全てが整っても、
なお完全ならざるのが人間の性だ。
国で言えば、心は法律であり、
技は政治であり、体は経済力や軍事力と言った力である。
互いが互いを認め合って、
初めて国家国民は、その力を発揮する事が出来るのだ。
真の豊かな国、幸せな国とは、
その全てが充実した国の事である。
そのいずれかが、いずれかを否定すれば、
心技体の一体の否定であり、
完全ならざる人間を迷走させる事になる。
日本の国も今、迷走した状態である。
心を否定する力は暴力である。
しかし、力を否定する心は暴論である。
これが解らない人間には、
平和を語る資格などない。
そもそも平和とは、在るものではなく、
為すものだからである。
こうした基本的な当たり前の哲学もなく、
平和を語ろうとする似非平和主義者がいるから、
世界は、いつまで経っても平和にならないのだ。
日本人の中には、相変わらず、
憲法第9条が平和の根幹であり、
平和のためには、これを守らなければならないという
狂信的な考え方を持つ人たちがいる。
「お前らは言霊主義者か?」
平和を唱えれば平和になるというのは幻想だ。
平和を唱えるだけでなく、
現に平和を作る作業をしなければ、
平和になんかなるはずがない。
平和とは秩序だからである。
秩序は作るものであって、
信じてれば叶うものなどではない。
根本から間違えている。
そして、そうした人たちは、
憲法第9条が抱える大きな矛盾を無視する。
それは、憲法第12条との矛盾である。
あまり指摘される事のない矛盾だが、
日本国民の多くは、日本国憲法に…
「無防備に戦って死ね」
…と突き放されている現実を理解しているだろうか。
おそらく、ほとんどの人は理解していないだろう。
そういう人たちは、いざという時、
真っ先に犠牲にされていくのである。
では、憲法第12条にはどう書かれているのか。
日本国憲法 第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。(後略)
これが、憲法第9条と何の関わりがあるのか。
そう疑問を持つ人もいるだろう。
「国民の不断の努力によって、これを保持…」
という表現を国防や軍事と絡めるというなら、
それは詭弁であり屁理屈だというかも知れない。
確かに、この一文だけ見れば、そのように言えるだろう。
だが… これを詭弁や屁理屈と言うのは、
木を見て森を見ない愚か者である。
なぜならば、同じ日本国憲法には、
次のような条文もあるからだ。
日本国憲法 第97条
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
この第97条は、第11条と同じ内容の条文として、
以前にも紹介しているものだ。
だが、皮肉にもこの条文が、
第12条にある「国民の不断の努力」の概念を示している。
第97条には、こう書いてあるのだ。
①基本的人権は、人類の多年に渡る自由獲得の努力の成果
②これらの権利は、過去幾多の試練に堪えた結果、信託されたもの
これを第12条で「不断の努力で保持せよ」と言っているのだ。
では、人類の多年に渡る自由獲得の努力とは何か?
人類が堪えてきた過去幾多の試練とは何か?
それは、人間の歴史が証明している。
多くの血を流した戦いの歴史である。
第12条では、日本国民に対して、
戦ってでも自由と権利を守り抜けと言っているのだ。
しかし、第9条では、そのための力を制限している。
つまり、第9条と第12条の話を総合すれば、
日本国憲法は、日本国民に対して、
「無防備に戦え」と言っているのである。
無防備に戦えば、多くの犠牲者が出る。
あなたもその1人なるかも知れない。
「死ね」と言っているようなものだ。
あなたは、これでもなお日本国憲法が、
平和憲法だと言えるのだろうか?
一方で戦うなと言い、
一方で戦えと言う、そんな矛盾した憲法を
あなたは信用出来るのだろうか?
俺は信用する事が出来ない。
だからこそ、憲法改正が必要であると考えている。
日本人は、この根本的な事から考え直さなければならない。