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今日から俺が総理大臣  作者: やいたもん
第四章 国会論
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国会に関する新憲法草案

※章、条項の数は説明便宜上のもの



第1章 国会


第1条・国会


①国会は、国の主理権(国政を監察し、必要に応じて勧告・指導する権限)の属する主理院と、国の立法権の属する国法院の両議院により構成される。


②両議院の議決は、この憲法に特別の定めがある場合を除いて、出席議員総数の過半数の同意を以て可決とする。又、可否同数の場合は、議長の決するところによる。但し、議員総数の3分の1以上の出席が無ければ、いかなる議決もその効力を発しない。


③両議院の本会議又は各種委員会その他の国会における公式な会議、及び、議決、及び、その記録は、原則的にこれを公開しなければならない。但し、出席議員総数の3分の2以上の議員の同意があった場合は、この全部又は一部について、これを非公開とする事が出来る。又、この憲法の定める公的機密に関わる事項については、法律の定めるところにより、これは秘密とする。


④両議院の議決における各議員の投票は、原則的に、この全てを記名で行い、この内容は、常に公開されていなければならない。又、国会議員経験者が、過去に経験した同じ議院の選挙に立候補する時は、最後の任期の最低1期分の表決の記録について、立候補する選挙区の有権者に対して、法律の定める適切な手段により、これを公開しなければならない。但し、同条第3項において、秘密とされた表決については、これを公開しなくてもよい。


⑤両議院は、辞職又は罷免、若しくは、長期療養又は逮捕、若しくは、議員の意思などにより、出席する事が可能な議員が議員定数の3分の1に達した時は、直ちに解散し、当該議院の総選挙を行わなければならない。但し、国が、この憲法の定めるところによる有事である場合は、法律の定めるところにより、解散の時宜を遅らせる事が出来る。



第2条・国会議員


①両議院は、法律の定める手続きにより、首権者に直接公選された文民議員により組織され、この憲法に特別の定めがある場合を除いて、比例代表制又は議会公選による議員その他の間接公選による議員は、これを認めない。


②両議院の議員は、成人資格(のちの章で詳述します)を有する日本国民でなければならない。


③両議院の議員定数は、必ず同数とし、国の人口、及び、経済又は財政状態、及び、首権者の要求等を十分に考慮し、これらに適するようにして、法律でこれを定める。


④両議院の選挙は、命主主義の方式で実施し、選挙区は、両議院ともに共通とする。又、各々の議会選挙に関する立法は、各々の議会で行い、太閤の承認を以て成立する。


⑤両議院の議員の任期は、2年以上6年以下とし、法律の定めるところにより、その議員が選挙区で獲得した得票率に応じて、任期は決定されるものとする。但し、議院が解散された場合、若しくは、議員が辞職又は罷免された場合、若しくは、議員がその資格を失い失効した場合は、任期は満了前に終了する。


⑥選挙区の有権者総数に対する投票率が3分の1以上に達しない場合は、当該選挙区の選挙は無効となり、再び選挙をやり直さなければならない。


⑦現に逮捕拘禁されている者であっても、裁判で、法律の定めるところによる議員としての欠格事項に相当する有罪が確定していない限りは、議員選挙に立候補し、当選した時は、議員に就任する事が出来る。


⑧両議院の議員は、国会で行った演説、及び、討論、及び、表決に関して、国会外でいかなる責任も問われない。


⑨国定自治体の長は、国定自治体を代表して、主理院と国法院の両議院に議席を置き、代理の者を出席させ、議員活動を行う事が出来る。又、必要があれば、自ら出席して、各院の議員活動を行う事が出来る。



第3条・議員歳費


①国会議員は、法律の定めるところにより、国庫から適切な額の歳費を受け取る事が出来る。但し、満了前に任期が終了した時は、歳費は日割りで計算し、受け取る事が出来るのは、任期満了日までの歳費とする。又、違法行為により逮捕された期間であっても、裁判で、法律の定めるところによる議員としての欠格事項に相当する有罪が確定していない限りは、有罪が確定した時は、違法行為が行われた日以降に受け取った歳費は、全額国庫に返納する事を前提として、歳費を受け取る事が出来る。


②両議院議員の歳費は、議長又は役員その他の議会運営に関する特別の役職についた場合を除いて、同議会内においては、全ての議員に均等に渡さなければならない。又、両議院議員は、助成金又は補助金その他の歳費以外の諸手当を公費から受ける事は出来ず、必要な経費は、全て歳費で賄うようにしなければならない。


③議員歳費に関する法律は必ず時限法とし、最低でも5年に一度は、これを見直さなければならない。又、議員歳費の額は、国の経済状態並びに財政、及び、国民の平均的な生活水準を充分に考慮して、社会通念上、これに見合う額で決定し、この立法は各議院が各々で行い、太閤の承認を得なれば成立しない。但し、この定めは、議員歳費の法律に関する法律の現状維持又は改正の結果までは拘束しない。


④前項に基づき行われる議員歳費の見直しについて、この憲法並びに憲法に基づく法律の定めるところによる立法手続きにより、現状維持又は改定の法案が5年を過ぎても成立しなかった時は、議員歳費の支給は停止され、成立するまでの期間の議員歳費については、これを受け取る事は出来ない。


⑤国会議員は、受け取った歳費の用途について、法律の定めるところにより、最低一年度に1回以上、定期にこれを公開しなければならない。但し、議員及び秘書等の私的な給与の内容については、その総額だけの公開で良いものとする。


⑥国定自治体の長は、国庫から歳費を受け取る事は出来ない。国定自治体の長の各院の議員活動における歳費は、各国定自治体が内容を決定して賄う。



第3条・両議院議員職の兼務


①両議院議員は、現職のままもう一方の議院選挙に立候補し、当選した時は、その議員職を兼務する事が出来る。


②両議院議員が、現職のままもう一方の議院選挙に立候補する際は、必ず、現職の議院選挙で当選した同じ選挙区から立候補しなければならない。



第4条・副議員


①両議院選挙で当選し、両議院の議員職を兼務する者は、自らが出席するもう一方の議院に代理で出席する事が出来る副議員を1人置く事が出来る。


②副議員は、その副議員を置く国会議員の意思に従い、出席した議院で議員として活動を代行する事が出来る。


③副議員の給与については、副議員を置く議員が両議院から受け取った歳費の中で賄い、その副議員を雇う国会議員の給与を超えた額は受け取る事が出来ない。


④副議員の違法行為について、国会議員であれば、欠格事項に相当する違法行為であり、裁判で有罪が確定した時には、その副議員を置く国会議員は、両議院議員職を辞職しなければならない。



第5条・主理院


①主理院の議長たる主理関白は、主理院議員の中から主理院の議決によって指名し、天皇がこれを任命する。又、主理院の各役員は、法律並びに主理院の内部規律に基づき、主理関白がこれを任命する。


②主理院の常会は、年に一回開催し、天皇がこれを召集する。


③主理関白は、太閤から主理院の会期延長又は臨時会の開催の要請があった場合、若しくは、主理院の現任議員総数の4分の1以上の議員からの同じ要請があった時は、会期延長又は臨時会の開催を決定しなければならない。


④主理院は、国民の要求並びに国家の必要性に応じて、決議を以て、国の法理府、立法府、司法府、行政府の各独立府又はその官憲に対して、勧告又は請求を行う事が出来る。又、この勧告又は請求を受けた機関は、当該勧告又は請求について、優先的且つ真摯に検討し、回答しなければならない責務を自動的に負う。但し、その結論までは拘束されない。


⑤主理院は、健全な議会運営のために必要な事柄を内部規律として定め、これに違反した議員に対しては、内部規律に基づき、この議員について、主理院内での活動を制限する処罰を行う事が出来る。


⑥主理院の解散、若しくは、その選挙の公示は、天皇がこれを行う。



第6条・主理院の太閤並びに国会議員の解任権限


①主理院は、国が、法律で定める基準に基づく重度の有事である場合、若しくは、この憲法に特別の定めがある場合を除いて、現任議員総数の過半数の決議を前提として、その資格に相応しくないと判断される太閤又は個別の国会議員を任期途中で強制的に罷免する事が出来る。但し、この罷免に伴い行われた選挙で、罷免された当事者の太閤又は国会議員が当選した時は、その太閤又は国会議員が費やした選挙費用は、国庫によって補償され、罷免された太閤が信任された時は、主理院は解散しなければならず、罷免された主理院議員が信任された時は、罷免を発議した全ての主理院議員は、辞職しなければならない。



第7条・主理院の公聴会並びに証人喚問


①主理院は、法律の定めるところにより、定期に公聴会を開催し、国政並びに世情の把握に努めなければならない。又、主理院は、法律の定めるところにより、証人喚問を行う事が出来、公人私人を問わない証人の招請並びに証言、若しくは、記録の提出を請求する事が出来る。


②前項に基づく証人喚問、及び、記録の提出については、主理関白の決定に基づき行い、主理院の決議がある時は、これを求められた者は、この要請を拒否する事が出来ない。但し、医療的に認められる心身の障害があり、若しくは、社会通念上やむを得ない事由により、対象者がこの要請に直ちに応じられない状態にある時は、法律の定めるところにより、時宜について調整する事が出来る。


③法理府、立法府、司法府、行政府の各官憲の公職者を証人喚問する時は、各府の長の承認が無ければ、これを行う事が出来ない。但し、主理院が、出席議員総数の3分の2以上の同意で行った証人喚問については、各府の長は、これを拒否する事が出来ない。


④証人喚問並びに公聴会は、原則的に、これを公開としなければならない。但し、公開により、証人の生命又は人権が害される虞がある場合、若しくは、証人が公職者であり、且つ、その職務上、素性を明かす事が出来ない立場にある場合、若しくは、社会通念上、その公開が望ましくないと考えられる事柄については、法律の定めるところにより、その一部又は全部を非公開とする事が出来る。


⑤太閤は、法律の定める手続きにより、主理院に国政に関する説明を求められた時は、主理院に出席し、求められた事柄に関して説明しなければならない。但し、太閤は、その内容に応じて、専門の国務大臣又は高級官僚を代理で出席させる事が出来る。



第8条・国法院


①国法院の常会及び臨時会、会期延長については、主理院の定めを準用する。


②国法院の議長たる国法佐博(こくほうさはく)は、国法院議員の中から国法院の議決によって指名し、天皇がこれを任命する。又、国法院の各役員は、法律並びに国法院の内部規律に基づき、国法佐博がこれを任命する。

※佐博とは「関白(博陸)を(たす)ける」という意味で、下院の議長の名称とした。ちなみに、博陸とは、中国で関白に相当する役職の名称である。


③法案提出権は、太閤、及び、個々の国法院議員、及び、各国定自治体の長に属する。但し、太閤が提出する法案については、優先的に審議されなければならない。


④国定自治体の長が国法院に提出する法案は、必ず、当該国定自治体の議会で審議し、可決を経た法案でなければ、国法院で発議出来ない。


⑤国法院は、健全な議会運営のために必要な事柄を内部規律として定め、これに違反した議員に対しては、内部規律に基づき、この議員について、国法院内での活動を制限する処罰を行う事が出来る。



第9条・国法院の解散


①太閤は、国法院を任意で解散させる事が出来る。但し、選挙後、初めて招集された国法院において解散の是非を審議して議決し、可決されなければ、太閤は、この憲法に特別の定めがある場合を除いて、直ちに辞職しなければならない。


⑥国法院の解散、及び、その選挙の公示は、天皇がこれを行う。



第10条・国会議員の不逮捕特権


①両議院議員は、会期中に警察権に基づく逮捕を受けない。又、すでに逮捕を受けている場合でも、各議院の議長の要請があれば、当該議員は、直ちに釈放される。但し、この定めのために、訴追の権利は妨げられない。


②前項の規定により、訴追の手続きがなされても逮捕を受けなかった議員、若しくは、釈放された議員は、医療的に認められる心身の故障又は不慮の事故等、やむを得ない事由がある場合を除いて、全ての議案の本会議に出席して採決に参加する責務を負う。この責務を怠った場合は、当該特権は、直ちに失効する。




第2章 立法



第11条・憲法改正


①憲法改正は、通常の立法手続きの後、主理院に(はか)り、主理院で可決されて国民に対して発議されて行われる大権投票(国民投票のひとつの形態。のちに詳述)にて、首権者に承認されれば成立する。この場合の主理院並びに国法院の議決は、現任議員総数の過半数の同意が無ければ可決されない。


②憲法改正が成立した時は、大権投票の結果が判明した翌日から数えて1ヶ月以内に天皇がこれを公布し、公布した日から最低6ヶ月以上経たなければ施行出来ず、特に施行日の指定が無ければ、公布から1年経過後に自動的に施行される。



第12条・立法


①憲法を除く全ての法律は、国法院で審議した後、太閤の承認を以て成立し、天皇がこれを公布する。但し、この憲法が特別に定める法律については、主理院の承認も必要とする。


②太閤は、国法院で可決した法案の承認を拒否する事が出来る。但し、拒否した法案が、国法院で出席議員総数の3分の2以上で再可決された場合、若しくは、すでに3分の2以上の同意で可決された法案については、この承認を拒否する事は出来ない。


③全ての国の法律は、天皇、及び、太閤並びに国務大臣の署名を必要とする。



第13条・法律の時限制


①憲法並びに条約を除く我が国の法律は、全て時限とし、法律の定めるところによる期間の内に最低一度以上見直しを行い、この見直しの作業が行われず、期間を過ぎた法律については、その法的効力を失うものとする。但し、この条文は、法律の改正又は現状維持、若しくは、廃止の見直し作業の結果までは拘束されない。


②期限を待たずに改正された法律については、その施行より新たに期限を始めるものとする。


③同条1項の責務は、この憲法の定める立法の手続きの完了を以て果たされるものとする。



第14条・条約締結


①我が国の締結する全ての国際条約は、いかなるものであっても、対等並びに相互主義を基調とし、我が国が一方的に不利益を被る条約又は従属する条約、若しくは、相手国に一方的な不利益を与える条約又は従属させる条約は、この締結を認めない。但し、憲法並びに国際条約に従い、その許容される範囲において行われる制裁行為、若しくは、誘拐又は略奪行為に対する正当な返還請求、若しくは、正当な損害賠償については、この定めの限りではない。


②条約に関する交渉並びに締結は、太閤が責任を以て行う。又、締結の時宜は、太閤が適切に決定する。但し、条約の批准には、法的検証を行う国法院、国家国民の利益を検証する主理院、憲法に違反していないかを審査する法理院の全ての承認を必要とし、批准されない条約は、我が国においては、いかなる法的効力も発しない。


③我が国の主権にかかわる条約については、法律の定めるところにより、大権投票を実施して、首権者にその信を問わなければ、批准されない。


④すでに批准された条約を破棄する場合には、主理院の承認を必要とする。又、大権投票を行い批准された条約を破棄する場合には、大権投票により、首権者の承認を必要とする。


⑤二国間条約において、相手国が条約を破棄又は実質的に破棄も同然の行動を執った場合、若しくは、多国間条約において、条約が事実上無効になったと判断される場合は、太閤は、直ちに主理院に諮問しなければならない。又、破棄が必要な場合は、前項の定めを準用してこれを行う。



第15条・政令


①太閤は、法律の定めるところにより、独自に国法を補則する規約としての政令を定める事が出来る。


②政令違反における罰則は、特に法律による委任が無い場合は、行政措置の範囲内において決定されるものとする。又、政令違反に対しては、行政権の強制執行を行う事が出来る。


③太閤は、政令を以て、行政権の執行の優先順位を定める事が出来る。





第四章 国会論  終



















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