法律には必ず時限制を導入するべき
数年前、決闘罪という罪が
マスコミの注目を集めた時がある。
今も刑法に定められた法律であるが、
成立したのが明治22年12月30日、
つまり120年以上もの前の法律なのである。
それが、現在まで改正もされず、
廃止にもされず残っていて、
適用される事のない過去の遺物となっていたが、
最近、少年少女の間でやっている喧嘩などが、
決闘罪における決闘に該当するということで、
適用される事が急増した法律である。
ちなみに、明治時代に成立した法律だけあって、
その内容を読んでみると面白い。
刑法 決闘罪に関する件
第1条
決闘を挑んだ者又はその挑みに応じた者は、6ヶ月以上2年以下の重禁固に処し、10円以上100円以下の罰金を付加する。
第2条
決闘を行った者は3年以上5年以下の重禁錮に処し、20円以上200円以下の罰金を附加する。
第3条
決闘に依りて人を殺傷した者は刑法の各本条に照らして処断する。
第4条
①決闘の立会をし、又は立会をする事を約束した者は、証人、介添人等何等の名義を以てするに拘らず1ヶ月以上1年以下の重禁錮に処し、5円以上50円以下の罰金を附加する。
②情を知って決闘の場所を貸与し、又は供用した者は罰前項に同じ。
第5条
決闘の挑みに応じないことを理由に人を誹謗した者は刑法に照し誹毀の罪を以て論ずる。
第6条
前数条に記載した犯罪刑法に照らし、その重きものは重きに従いて処断する。
※本文はあまりにも読みづらいので、本文の主旨を変えずに訳してあります。
喧嘩をしただけでなく、
喧嘩を売ったり買ったりしても罪になり、
それに立ち会ったり見物したり、
喧嘩の場所を知ってて提供した者も罰せられる。
さらに面白いのは、第5条のように、
喧嘩から逃げた者を罵倒しただけでも罪になるのだ。
例えば…
「あいつ喧嘩売ったら逃げやがってさ。チキンだぜ。」
…なんて事を言ったら、罰せられるのだ。
普通に、ヤンキー漫画やドラマに出てきそうな事は、
全て罪になり、長ければ
2年もの禁固刑になるというのだから、
これはかなりの驚きである。
ただ、面白いのは罰金の方だ。
あまりにも安い。
ぶっちゃけ、小学生でも払える額である。
ただ、明治時代と現代では、
金銭価値が全く異なるので、
法律制定当初は、これでも大金だったという事だ。
しかし、これを現代に適用したら、
罰金に関しては笑い話にしかならない。
この決闘罪に関しては、
驚きや笑い話で済む程度の話ではあったが、
ただ、法律と言うのは、
時代に応じて変えていかなければならないというのに、
それをしてなかったがために、
このような珍事に発展した事には
注目しなければならない。
これが、珍事で終わっている分には良いが、
もし、重要な法律であった場合、
国を混乱させてしまう事さえある。
日本で言えば日本国憲法が良い例だ。
皮肉で言えば、聖徳太子が作った十七条憲法も、
廃止された歴史がないのだから、
今でも現行法であると言える。
社会通念上においては、
馬鹿馬鹿しいで終わる話だが、
理屈だけで言ったら、廃止されてないから
現在も有効であるという余地も残されているわけだ。
だからこそ、法律は、時代に応じて変え、
不要になった法律は、適宜ケジメをつけて
廃止するようにしなければならない。
そこで、法律の時限制の導入を提案する。
全ての法律には、原則的に有効期限を定めて、
有効期限が来たら、もう一度審議し、
改正や再び法律として施行させるかを決定し、
必要が無ければ、期限を以て廃止させるのである。
全ての法律に有効期限があれば、
国会議員や法律に関係する公務員の意識も変わり、
法律に対する認識も改まっていくだろう。
法律の期限については、
基本的には5段階に分ける。
①恒久法(憲法や憲法に準ずる重要法案など)
基本的に期限は設けない。
②準恒久法
50年(半世紀)毎に必ず見直しを行う。
③重法
25年(四半世紀)毎に必ず見直しを行う。
④軽法
10年毎に必ず見直しを行う。
⑤特例法
期限は、法律の特性に応じて国会で審議して決定する。
そして、内容を改正しなくても、
立法手続きを経て、可決させなければ、
有効期限を終えた法律は廃止されるものとする。
また、法務省は、全ての法律の時限について管理し、
廃止の1年前には、
これを国会に報告しなければならないものとする。
もちろん、有効期限が来るまで
法律は改正出来ないという事ではなく、
必要があれば、その都度改正していくのは、
この制度を導入しても変わらないものとする。