国会議員に法案提出権がないお粗末
俺は、以前から国会議員の
個人の力が弱過ぎると感じていた。
国会は、立法機関だと言うのに、
まず、その国会議員個人に、
法案の提出権がないのである。
厳密に言えば、作るのは勝手だが、
それを国会に発議させるためには、
賛同者を得なければならないという事だ。
国会議員が法案を作って国会で発議するためには、
参議院では10名、衆議院では20名の賛同者が必要で、
議員個人が直接法案を作って、
国会に発議させる事は出来ないシステムになっている。
憲法改正に至っては、参議院で50名、
衆議院では100名の賛同者を必要とする。
前者であれば小政党や派閥の代表、
後者であれば政権を争うような
大政党の党首や代表でもなければ、
法律案を発議する事すら出来ないのである。
何より、憲法自体に、
国会議員の議案発議に関する条項がない。
内閣の議案発議の権限が
保障されているにも関わらずである。
(憲法第72条)
これは、日本が戦前から抱えていた課題で、
このために、内閣が議案を提出して成立した閣法と
議員立法の数では、次のような差が出ている。
戦前と戦後の閣法と議員立法の提出件数と成立件数の比較
①第1回帝国議会(1890年11月29日)から
第92回帝国議会(1947年3月31日)までの比較
政府提出法案件数3421件 成立件数2856件 成立率83.5%
国会(貴族院・衆議院)提出法案件数2977件 成立件数280件 成立率9.4%
②第1回国会(1947年5月20日)から
第173回国会(2009年10月26日)までの比較
政府提出法案件数9190件 成立件数7856件 成立率85.5%
国会(参議院・衆議院)提出法案件数4794件 成立件数1364件 成立率28.5%
(国立国会図書館調査及び立法考査局 2010年11月調べ)
法律案の提出件数は、議員立法が圧倒的に少ない。
さらに、成立件数に至っては、悲惨な結果だ。
ちなみに議員立法の成立件数が少ないのは、
そのサポート体制が不充分な実情がある。
参議院と衆議院には、
それぞれに法制局という機関があり、
議員立法の作業のためのサポートを行っているが、
参議院の法制局の職員は75名、
衆議院の法制局の職員は82名しかいない。
参議院議員の242名、
衆議院議員の480名に対して
あまりにも少ない。
(いずれも2011年現在の数字)
しかも、法制局の職員は、
各省庁からの出向職員だ。
これでは、独立した立法機関としての
満足な立法活動が出来ない。
内閣にも法制局があるが、
ここには36名の職員がいて、
ホームページでは、職員名簿も公開されている。
(2011年10月現在)
一件少ないように見えるが、
法律案の原案作成は、
各省庁の何万という職員で行っているわけだから、
国会議員の環境とは桁違いである。
法律を作ったり変えたりするのが、
国会議員の仕事だというのに、
これはあまりにもお粗末だ。
議案の乱発を抑えるための方策なのかも知れないが、
国会議員には、選挙区の得票に象徴される
国民の支持があるのであり、
それが賛同者である。
国会議員の権限を弱めているのは、
歳費についても同じである。
日本国憲法では、国会議員の歳費について
次のように定めている。
第49条
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
さらに、国会法には次のように定められている。
国会法 第35条
議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受ける。
これが法律かと思うくらい稚拙な条文だが、
とにかく、国家公務員の最高給与額以上の
歳費を受ける事が出来るわけだ。
国家公務員の最高給与額は、
年収で、だいたい2300万円程度。
ちなみに、俺は総理大臣だけど、
この倍以上、5000万円以上の年収がある。
今なら俺はモテモテだろうな…
ただ、総理大臣も国家公務員だけど、
一般職ではなく特別職の扱いなので、
国会法35条の国家公務員には含まれない。
国会議員の年収は、
諸手当も含めると約3000万弱程度。
これを高いと見るか安いと見るかは、
人それぞれの見解で違うのだが、
省庁のトップである事務次官と同じくらいで、
国務大臣より700万円以上安いと考えると、
国会議員の歳費は安いのかも知れない。
もっとも、大臣や官僚の給与が
高すぎるということはあるが…
とにかく、相対論として、
国会議員個人の権限は、歳費の面でみても弱い。
そして、政党交付金なる制度がある。
政党の活動を国が補償する制度だが、
これは、即刻廃止するべきだ。
議員同士が出資金を出し合って、
政党を作り運営していくのが本来であり、
政党そのものを国が支援したら、
国会議員の発言権や権限が、
相対的に弱まっていくのは当然である。
政党交付金なんて出すなら、
国会議員個人の歳費を上げて、
議員の個々の活動を活発にさせるべきだ。
俺の新憲法では、明記して
政党交付金を廃止するつもりだ。
自分の首を絞めるような制度を容認している
そんな国会議員の頭はどうかしている。
そんなに集団で活動する事が好きで、
個人である自分の意見の主張に自信がないなら、
最初から国会議員なんかになるんじゃねぇ!!!
とにかく、国会の活性化は、
国会議員の権限を相対的に上げる事を
まず第一にやらなければならない。
そのためには、国会議員個人に、
議案の発議権を認める事、
そして、政党交付金などの
議員個人の権限を弱めるような制度を廃止して、
国会議員歳費が絶対的に見て高いか安いかは別にして、
相対的には高くして、
その活動を活発にする必要がある。
それが国会改革の第一歩であるが、
それは、序章に過ぎない。
まだまだ改革しなければならない点がある。