公文書を勝手に破棄するなボケ!!!
俺は、総理大臣になって、
今まで気になっていた事の全てを検証するために、
あらゆる公文書を各省庁に求めてきた。
日本は、情報公開に関しては、
確かに後進国だ。
公開のスピードが遅ければ、
公開される情報も少ない。
けれども、総理大臣になった今なら、
国家機密とされる事柄でも知る事が出来るはず。
あの政治事件の真相はどうだったか。
あの外交交渉の真相はどうだったのか。
俺の知的好奇心がくすぐられてたまらない。
けれども、俺の認識は甘かった。
俺が知りたい事が書かれていた公文書は、
次々と破棄されていたのだ。
日本では「公文書等の管理に関する法律」で、
それぞれの行政機関の長が、
その機関の公文書の管理期間を定めて、
その期間が過ぎたら、
公文書を破棄しても良い事が定められている。
公文書等の管理に関する法律
第5条 整理
①行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
第8条 移管又は廃棄
①行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、(中略)、国立公文書館等に移管し、又は廃棄しなければならない。
破棄しても良いというか、
破棄しろと命令する法律になっている。
行政機関に限らず、どこの会社や団体でも、
確かに記録文書などは、
一年もすれば本当に山積みになる。
これを永遠に管理していく事は難しいし、
不可能だという事は理解できる。
だけど、この法律は、
副作用的に、知られたくない都合の悪い事を
社会から抹消する手段として、
利用されてしまう恐れがある事も事実である。
臭いものにフタ法とも言える法律だ。
実際、俺が調べようとしたことは、
社会的に公開されれば、
歴代の総理大臣や国務大臣の何人かは、
社会的な追及を免れず、あるいは、
刑事事件として逮捕される事もあるかも知れない、
そんな事ばかりだ。
けれども公文書は、原則的には
永久保存されるべきである。
公文書と言ってもピンからキリまであるが、
少なくとも内閣の決定事項や
外交交渉に関する公文書等、
国家的に重要な内容の公文書であれば尚更だ。
そこで俺は、次の指針を基にした
公文書保存に関する法律の改定を
豊城内閣として行おうと考えている。
①国の公文書は原則的に恒久的に保存する
特に重要な内容の公文書は、
保存期間など定めず、半永久的に保存して、
絶対に破棄してはならない。
但し、記録媒体については、
文書と言う形にはこだわらない。
重要なのは、その内容だ。
ここでいう文書とは、文書そのものではなく、
その内容を差す。
電磁的記録(電子式、磁気式などによる記録)で保存すれば、
膨大な量の文書を管理できるはずである。
②国の公文書を破棄する場合は、全て太閤の許可を必要とする。
太閤の許可が無ければ破棄出来ないものとする。
保存に限界があり、あるいは、
比較的重要性が低い文書で、やむを得ず破棄する場合は、
太閤の許可を必要とする。
ただ、太閤1人で全てを処理するのは難しいので、
太閤の責任で発した命令により、
公文書破棄の許可権限を
国務大臣などに委任できるようにする。
③公文書を破棄する時は、その前に、一定期間、その文書の内容を全て公開しなければならないものとする。
国家機密に該当するような文書は、
当然、重要な公文書に該当するものなので、
それを破棄する事は許されない。
外交上の信義上、公開出来ない文書についても同じだ。
それは重要な公文書である。
破棄出来るのは、そうした内容に当たらない文書だ。
しかも、破棄する際は、
それを公開しなければならないものとする。
これは、臭いものにフタという事を許さないためだ。
但し、個人のプライバシーに関わる部分については、
その部分に限定して公開しなくて良いものとする。
しかし、個人のプライバシーであっても、
公人の公的な活動に関する事柄、
例えば、大臣や国会議員などの金銭の授受などについては、
大臣や国会議員に金銭を譲渡した団体や個人の名称も含めて、
公の事として、これを公開しなければならないものとする。
公に公開出来ないような文書は、
重要な文書であるから、破棄は認めない。
④破棄する公文書のうち、プライバシーに関する内容がある文書については、そのプライバシーを持つ個人に対して、そのプライバシーを伏せない公文書のコピーを渡さなければならない。
先の続きだが、公文書に
個人のプライバシーが書かれている場合、
公に公開する時にはその部分は伏せられるが、
そのプライバシーを持つ本人に対して、
プライバシーの部分を伏せない
その文書のコピーを渡さなければならないものとする。
それを公開するかどうかは、
その個人の自由となるわけだ。
何度も言うが、公開出来ないような文書は
破棄してはならないものとする。
プライバシーが複数に及ぶ場合は、
プライバシーを持つ本人以外の
プライバシーに関する情報は伏せて、
その複数の個人全てに文書が渡されるものとする。
俺は、これらの指針に沿って、
公文書の管理の体制を改めようと考えている。