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今日から俺が総理大臣  作者: やいたもん
第二章 天皇論
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古来より常に民意に支持されてきた天皇制

日本国憲法の第一章では、

天皇について定められている。

日本は立憲君主制国家であり、

その君主に相当するのが天皇で、

その地位は、皇統皇族という限られた一族により、

世襲されているわけだが、

このために、天皇制について、

民意なき元首制度として

批判する人たちもいる。


考えてみれば天皇は不思議な存在である。

1600年以上昔に日本が建国されて以来、

ずっと元首として君臨してきた天皇だが、

常に絶対的な力を持っていたのかと言えば、

そうではない。


天皇に実質的な支配力があったのは、

日本建国初期の頃と

時代時代の一時的な期間だけで、

力関係で言えば、

むしろ時代の弱者であった。


古代で言えば、蘇我氏や物部氏などの有力豪族たちが

天皇を上回る財力や武力を持っていた。

その後も藤原氏と言った公家、

平氏や源氏と言った武士、

その平氏や源氏の子孫である

足利氏、織田氏、豊臣氏、徳川氏などが力を持ち、

実質的に日本を支配した。


にもかかわらず、

常に天皇の元首の地位は維持された。

そのいずれ時代の勢力も、

天皇家を滅ぼし、新しい国家を興す気になれば、

いつでも出来た力を持っていたにも関わらずである。

江戸時代においては、最も悲惨であった。


徳川家が天下を支配した江戸時代、

徳川家の力は800万石と言われていた。

大名でも、加賀百万石の名に象徴される

前田家などを筆頭にして、

数十万石の力を有する大名はゴロゴロいた。


では、そんな時代において、

天皇家の禄高はどれくらいであったかと言うと、

わずか4万石弱程度であった。

4万石とはどれくらいの力かと言えば、

軍事動員力で言えば

1600人程度の軍勢を整えられるかどうか…

その程度のレベルである。


ちなみに、1万石あたりの大名の力は、

家臣250名、軍事動員力400名、

領地の人口1万人とされており、

石高から概算でその力を計る場合、

この基準が適用される。

1石あたりの取れ高は米150kg(二俵半)なので、

経済的な力もこれを基準に計算出来る。

意外な話だが、例えば

関ヶ原の戦いにおける両軍の兵力は、

これを基準に計算されている。

一般には西軍8万数千人、

東軍7万数千人で戦ったと言われているが、

そういう歴史的資料があっての話ではなく、

実は、両軍の大名の石高から、

この基準で計算したにすぎないのだ。

戦国時代の戦の両軍の戦力のほとんどは、

史書に書き残された数字ではなく、

これを基準にして出した数字である。

戦国時代や江戸時代の事を知るのに

いろいろな場面で必要な豆知識なので、

知らなかった人は覚えておくといいだろう。


話を元に戻す。


天皇家は4万石という力しかなかったと言ったが、

実はこの数字は、天皇家だけの禄高ではなく、

天皇家と全ての公家の禄高を合わせた数字である。

つまり、朝廷全体の力が4万石弱なのだ。

徳川家が天皇家を滅ぼそうと思えば、

朝廷という体制を滅ぼそうと思えば、

いとも容易く出来たわけだ。


こうした圧倒的な実力差は、

いつの時代にも常に存在していた。

しかし、天皇家は滅ぼされる事なく、

現在に至っている。


では、どうしてこんな事が可能であったのか。

これは、常に天皇制を支持する

民意があったからとしか言い様がない。

これを否定するなら、

それ以外の理由を提示して欲しい。

日本人特有の信仰心や

思想があったからだという人もいるだろう。

ただ、それだって民意である。

裏付けが何であろうと、

民意が天皇制を支持してきた事には変わりない。


では、天皇には、時の実力者や民衆を惑わす、

特別な神通力でもあったというのであろうか?

そんな話こそ馬鹿げている。

特別な財力も武力も持ち合わせていない天皇が、

常に国家元首としての地位を維持し、

日本と言う国を現存する世界最古の国とならしめたのは、

天皇制という古来よりの知恵を

民意が支持してきたからに他ならない。

それ以外に理由は考えられない。


だからこそ天皇制に民意がないというのは当たらない。

1600年以上の歴史がそれを証明している。

古代から現代に至るまで、

常に民意によって支持されてきたからこそ、

現在の天皇制があるのである。


それでは、これを理解した上で、

私の天皇に関する憲法改正案を語っていこうと思う。









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