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政教分離と文化的「神」を区別出来ない狂信者たち

世の中には、天皇が儀式を行い、

首相が伊勢神宮や靖国神社などに参拝し、

文言に「神」とかいう言葉を使っただけで、

政教分離に違反するなどと騒ぐ人たちがいる。

これらは全て文化的な言動であって、

政教分離とは別なものだ。


そういう人たちには、

世界の憲法を読ませてやりたい。

例えば、カナダの憲法(一九八二年憲法法)の

第一章の冒頭には、次のように記されている。


 カナダは神の至高および法の支配を承認する原理に基礎づけられているので、

 以下のとおり定める。


ここでいう神とは、文化的に言えば

キリスト教における発想の神だろう。

憲法に堂々とこう定められているのだ。

しかも、1982年に公布された憲法だから、

つい最近の話である。

では、カナダを政教分離に違反する国と

誰が思っているだろうか?

カナダは、立派な政教分離の国である。

これに異論があるのか?


ドイツの憲法も読んであげよう。

ドイツも日本と同じ敗戦国である。

その憲法の前文は、次のような文言で始まる。


 ドイツ国民は、神と人間に対する責任を自覚し…


この神も、ドイツの文化的に見れば、

キリスト教の概念の神であろう。

では、ドイツは政教分離に違反している国か?


イタリアの憲法も読んであげよう。

イタリアも日本やドイツと同じ敗戦国だが、

イタリアの場合、もっと積極的だ。


 第7条1項

 国家とカトリック教会は、各自その固有の領域において、独立・最高である。


国が憲法でカトリック教会の地位を保障しているのである。

ただ、これが世界の常識である。

イタリアにおけるカトリック教会と言えば、

バチカン市国があるように、

文化的にも歴史的にも特別な関係である。

だからこそ容認されるのだ。

文化的な事項と政教分離が、

全く別個のものであることを立証する

好例のひとつである。


最後にスイス憲法を紹介しよう。

その全文の冒頭は、こんな文言で始まる。


 全能の神の名において…


それぞれの国には、それぞれの文化がある。

日本の場合は神道(しんとう)だ。

神道とは、宗教などではなく、

日本における神の奉り方の作法であり、

文道であり、だからこそ、

神教ではなく「神道」なのである。

神道が宗教だというなら、

神道の聖典がどこにあるのか教えてもらいたい。

キリスト教で言えば聖書、

イスラム教で言えばコーラン、

仏教で言えば経典のような

神道の聖典がどこにあるのか

説明してもらいたいものだ。

世の中には、古事記がそうだという人もいるが、

古事記は史書にすぎない。

また、人の道など説いてはいない。

神話が書いてあるだけで聖典と言うなら、

世界中の史書が聖典となるだろう。

そんな屁理屈はいいから、

神道を宗教だという人は、

今すぐその聖典を目の前に出してほしい。

ちなみに古事記は、

一般的には「こじき」と呼ばれるが、

正式には「ふることのふみ」と言う。

これも、古事記が聖典などではない証拠である。


政教分離は、そもそもは、

秩序を安寧とするための手段の一つに過ぎない。

文化的、伝統的な儀礼とは、

全く別個のものである。

それを区別できないのは、

単なる揚げ足取りにすぎない。

そんな活動こそ狂信的だ。


日本には、現存する世界最古の国家と言う歴史と、

これによって築かれた長い伝統と文化がある。

これを否定するのは個性の否定である。


新しい憲法には、この点も加味したいと思う。










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