透明なハンカチ
掲載日:2026/08/02
馬券が宙を舞う
春の記憶みたいに
一瞬一瞬に賭けて
駆け抜けて
汗と涙の、、想い出をありがとうと言える街へと今は
一文無しになる前に胸のポケットに手を当てた
キラリと光るコイン
切符一枚だけ買えるなら 南へ
無常にこそ 咲こう 片隅にこそ 咲こう
そう言っていたあの頃のまま
竹林から吹く風 竹刀のように強く靡いて
情緒の川の音を奏でてくれていた
花の意思を持てる時まで
形なきものに賭けてきたまま
もう形だけのものにはならない
枯れてゆくもの 変わってゆくもの
すり抜けてゆくもの
星屑の流砂の真ん中で
熱を持ち 脈を打ち 白い花の冠を被り
立ち出ずる 少女少年がいた
花火のような
あの煌めきを
目に見えなくても
心に灯るように浮ぶのはあの記憶
海辺の松の葉が風に揺れている
草花と空の合間を縫いながら
透明なハンカチがあるよと




