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画策

更新しました。

楽しんでいただけると幸いです。


天界に一度戻った帝釈天は阿修羅王に会い、口を開いた。


「望みどうり、暁妃と踊れるようにした」

「ハッハッ、それはよかった」


阿修羅王は何本もある腕を伸ばし手を叩いて喜んだ。帝釈天は言った。


「それで?協定と約束は?」

「守るとも。守るとも。私はこんなことで嘘は吐かない」

「それは良い。こちらは大変だったのだ。毘沙門天が」

「ハハハ、面白い。あの堅物がもしやいじけたか?」

「そうともいえるな」


困った我侭を言わんでくれと帝釈天はかつて戦った戦闘神に溜息を吐き、阿修羅王が提案したとうりに協定を結び争わず、暁妃の妹の件について話し合った。


今度こそうまくいかせないとならない。



ーーーーー



暁妃は遺伝学の本を読んでいた。そしてパタリと本を閉じると翠がいたので「兄上」と少し微笑んだ。翠は手を上げ「暁妃」と近寄り、何を読んでいるのかを見た。



「遺伝学?ずいぶん難しいものを読んでいるね」

「少し気になることがあっての。ーーのう兄上、妾と桜花は一卵性かの?それとも二卵性かの?」

「さあ、でもまあ目の色からして二卵性では?」



髪の色については避けて翠は暁妃に言った。暁妃は面白そうに翠に言った。



「たぶんそうじゃの。能力の違いから見ても明確じゃ。しかし二卵性といえど妾と桜花は50%似ていることになる」

「暁妃?」

「なぜ桜花は姫として迎え入れられ、妾は忌み子として地下牢で育った?」



翠が言葉に詰まると暁妃は笑い「冗談じゃ兄上」と立ち上がり本を本棚に返した。翠は安堵し「そう、君の全快祝いの日取りが決まったよ。明後日だ」と言った。



「そうか、神々の誕生祝いと同じ日じゃの。うるさくなるな」

「神々はうるさいのかい?」

「ああ、酒を飲み、歌い、踊り、花を咲かせ星を輝かせ大変なことになる」

「では大きな庭のある会場にした方が良さそうだね。そういえば母が君にドレスを贈ると言っていたよ。今流行りの洋装だ。着物は地味だからだと」

「そう、では礼を言わねばのう。ーーああそう兄上、妾の身体を治した栗色の髪の癒し手がいつか我が友がやってくると言っていた。いつくるかが分からん。外国人か異邦人が突然現れたら通してくれ。妾が対応するように頼まれた」

「分かった。その彼は知っているのかな?友の功績を」

「たぶん知らぬだろうと言っていた。ーーそれでは妾は一度部屋に戻る。知らせてくれてありがとう兄上」

「ああ」



そう言って暁妃は図書室を出た。そして先ほどの遺伝学の本を思い出しくつくつ笑った。


父の遺伝子からは能力や髪色、肌色、目色、体毛、疾患などが受け継がれ、母からはミトコンドリアが受け継がれる。まあ必ずではないが。


しかし父母が持っていて表に出なかったものが子どもに潜在遺伝として出ることもある。

ほかにも疑問はある。なぜ差別されると皆知っておいて異邦人の髪の色を変えないのか。しかしその答えは簡単だ。前史時代にある国で人工的な差別を行った。理由は簡単だ。


人間は共通の敵がいると結束する。


暁妃はぐ、と腕をあげて伸びをし、頬杖をついて考えた。妾と桜花は50%同じである。もしもである。父が自分の能力でどちらかの髪色を変えたとすれば。ありえない話ではない。妾の力は強い。妾の髪の色を変えれば忌み子として堂々と力づくで力を奪うことができる。国を守るために。


それかあるいは、と考えて暁妃はクスリと笑った。だとすればとんでもない阿呆じゃ。


とにかくそういう理由で暁妃は離れに桜花を閉じ込めるように進言した。ちょっとした術をかけて。


あそこへ入れば帝のかけた術が剥がれ落ちる。さて、2か月後の桜花はどうなっているのか。

暁妃はそろそろ思惑を探るために動き出していた。すべてはエンキドゥの言っていた言葉のためだ。


「ここが冥界だから」。


ここは本当に死者の住む世界なのかなぜ結界に色をつけねばならないのか、暁妃は調べねばならぬと考えていた。




読んでいただきありがとうございます。

続きは明日8時に更新します。

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