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聖女さまと聖騎士くん。おかわり  作者: トウフキヌゴシ


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6/7

第6話、義妹ちゃんと盗賊の短刀。

「なんとかしないと」

 義妹ちゃんがつぶやいた。

 こぶし同士なら聖女さまを止められるが、対魔物装備、特に巨大杭打パイルバンカーち機、別名:ロンギヌスの槍、を出されると、


「上半身が、消し飛ぶわね」

 物理的に。

 厳しい戒律と規律で知られる女神軍の聖女さまが、一般人に特級対魔物装備を使うことは絶対にないのだが。



 深夜の魔動番組だ。

 部屋の壁に義妹ちゃんの影が伸びる。


「な~に~、強くなりたいっ?」

「そういう方にはっ、これっ」

 妙に甲高い男性の声。


「盗賊の短刀っ」


 司会の男性が、つばのない刀を前に出した。

 長さは、ダイコーンより少し長いくらいか。

「賢明なお客様は効果はわかりますね~」


 ひょろっとして、くたびれた背広を着た男性が画面の中に。


「で~んせつの戦士、ニンジャアア⤴になれるのですっ」


 男性が短刀を持つと、


 スパアン


 背広が左右に破れ飛んだ。

 モザイク。

 細マッチョな体。


「ニカッ」

 と笑い、ドロンッ、と白い煙とともに姿を消した。


「ダンジョンでとれたて、SSRレアのアイテム、盗賊の短刀を~」


「今なら三万イエンで」

「さらに~、二時間以内の購入された方には~」

「盗賊の短刀につぐレアアイテム、スリケンがついてきます」

「注文は今すぐ……」


 番組の正し書きに小さく、使用すると、性格アライメント)(イーヴィル)になります、と書いてあった。


「これだわっっ」

 ――こづかいでぎりぎり買えるっ

 ジ~コロロ、ジ~ジ~コロロ

 魔動黒電話を掛けた。



「勝負よっ、聖女さまっ」

 それとなく聖騎士くんに会いに来ていた聖女さま。

「そうね、そろそろお義姉さまとお呼びなさいな」

 義妹ちゃんとお茶会アンド力くらべが始まるのだ。

 しかし、今日の義妹ちゃんは一味違う。

 シンプルなワンピースの腰の横に盗賊の短刀。

 自分の身長の半分くらいの大きさのスリケンを体の前に刺した。

 今朝、通販の商品が届いたのだ。

「今までの私と思わないことねっ」


 スパアン


 ワンピースを空高く脱ぎ捨てる義妹ちゃん。


「えっ」

「なっ、ノーチチバンドッ……!!」 

 驚く聖女さま。 

 ふた昔の映画や漫画やアニメは、平気でトップレスが出てたよね。

 ハ〇ーン様のビー〇クが出ててびっくりだ。

 

「ふふんっ、ニンジャアアになった私に恐れおののくのよっ」

「なっ、なななななな」

 最後の砦、白いシルクのショーツに手をかける義妹ちゃん。

「ま、待ちなさいっ」

 

 スパパアアン


 ヒラリ

 今、色んなとても大事なものとともに、ショーツを空高く脱ぎ捨てた。

 義妹ちゃんは、あらゆるものを捨て去った一握の殺戮マシーンと化したのである。

 モザイク。 

「素手で首も跳ねるわ……」

「何をしているのおお」

 

 ズドオオン


 古タイヤをバットでたたいたような重低音。

「がっはあああ」

 めちゃくちゃ重そうなボディーブローが義妹ちゃんの腹に。

 聖女さまが義妹ちゃんを庭の地面に沈めた。


 義妹ちゃんは、館のメイドが持ってきてくれた毛布を肩から掛けた状態で、正座。


「若い身そらで自分を大切に……」

「だって、ロンギヌスの槍に対抗できない……」

「そんなもの、大事な家族(←予定)に誰が使いますかっ」

「もっと自分を大事にして……」

「はい……」

 聖女さまの涙ながらの説教は五時間に及んだ。 


 ちなみに、盗賊の短刀とスリケンは偽物だった。

 三万イエン(円)で買えるSSRのアイテムなんてどこにもないのである。

 桁が二けたから三けた違うかな。

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