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銃力と  作者: 沓月
8/33

ep8 実の力のみで3

 数分後、さっきの廃ビルから少し離れたビルの屋上にロストはいた。案の定、情報屋から連絡が入っていたので、通話をかけた。


「お疲れ様です」


 情報屋は、頭に響く低い男の声で、いつも通り律儀に挨拶からかけてきた。


「ネコか」

「その呼び方あんまり気に入ってないのですが」

「お前全部見てたんだろ」

「厄介でしたね。統制も取れていましたし。まあ、あなたの敵ではないですけど」

「女のほうが厄介だったよ」

「彼女はただのホステスでは?」

「いや、あいつもチーターだな」

「ほんとですか!」


 低い声に似つかわしくないくらい取り乱したような反応だった。


「(チートの)内容は?」

「LPがわかる力」

「LPが見えるってことですか?」

「たぶんそう。あいつらがゴニョゴニョ話してた内容が、俺の体力数値だった」

「被弾をそれなりにしてるあなたの天敵ではありませんか。最初に頭数を減らしておかなければ、本当に危なかったですね。複数で取り囲まれたら、流石のあなたでもすぐにデッドですから」

「ブルって知ってるか?」

「誰ですか?」

「女がそいつからチートをもらったって吐いた。信用できるかは分からないが」

「聞いたことありませんね。でまかせを吐いたのでは?」

「その可能性は低いと思う。でも、命乞いで嘘がつける胆力があったら、殺さなかったかもな」

「ご冗談を。あなたは、チーターに慈悲などかけず、問答無用で排除するではないですか。あ、でも、今回は最後女に命乞いの時間を与えたのはなぜですか。もしかして、女をいたぶる趣味でも……?」

「弾切れだったんだよ、あのとき。リロードする前に飛び出してしまったから」

からの銃を向けているにしては、なかなかの迫力でしたよ。演技力がおありなら、役者にでもなられてみたらいいかがですか?」

「すぐに殺さなかったから得られた情報もあったわけで、いつものように問答無用に殺すもの考え物だな。ちょっと反省しとくよ」

「結局殺すんですからそんなの誤差です」

「調査は進めておいてくれ」

「わかりました。回収した銃はいつも通り送ってください。備品代を差し引いて、振り込んでおきます。お疲れ様でした」


 作戦後は情報屋ネコと会話するのが慣例ルーティーンになっていた。戦闘中は誰とも連絡をとらないので、戦闘後は情報を得るためにも、連絡を交わすようにしていた。


「そういえば、よく2度もブラフグレネードが通じましたね。というか、片手で2方向にモノ投げるとか、プロ野球選手も脱帽案件ですよ」

「偽の閃光弾は柱の陰だったから、最初のはボスたちからは死角で見えなかったはず。本当に偶々うまくいっただけさ」

「あなたの戦闘センスには感服です」


 初見であの偽グレネードを見分けるのは難しい。しかも1度効いたらラッキー程度のお祈り要素の強い手段である。それでも、一瞬でも隙を見せたら負けの世界では、十分使い道があった。


「あまりにもガードを全滅できるような戦力じゃなかった。他に関わった奴らのほうが強いかもしれない。それも調べておいてくれ」

「了解しました。これからもご贔屓に」


 ネコからビジネストークらしい締めの言葉を聞いてから通話を切ると、ロストは夜の闇に溶けていった。

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