19「とったぞー!!ですわぁぁぁあ!!!」
万里さんが退室した後、特に何かあることも無く食べることに集中し、数分かからないうちに全ての甘味を食べ終わった。
とりあえず燐達が起きるまで自室で仮眠するか...そう思うながら食器等を返却口に返却した。
...やばい眠い...
急激に腹を満たしたためか、とてつもない眠気が身体中を襲い、足早に部屋に向かい部屋に着くやいなやベットに身を投げだした。
「...目指し...」
切れそうな意識の中、眠気に逆らい6時に目覚ましをセットする。
謎の達成感を感じ、そのまま眠気に逆らうことなく、俺は意識を落とした。
『おっめでとうなのじゃー!』
落としたはずの意識は何故か覚醒しており、混乱する俺の頭に風華が飛びついてくる。
なるほど...夢の中か、そりゃそうだよなぁ...
気持ちは嬉しいが今日くらいは休ませて欲しかったという本音はここだけの話、恐らく俺におめでとうと言いたくてずっと待ってたんだろう。
「ありがとう」
『よいてよいて!ふふん!妾の特訓が光ったよのー』
そう言い嬉しそうに横に揺れ、ニマニマとしながら俺を見てくる。
嬉しいのはわかったから人の頭に乗って揺れるのはやめてくれ、主に首が痛い...
しかし特訓ね...恐らく普段から腕や足や色んなところをもがれ、痛みになれていることを指しているのだろうが...なんか素直に頷きたくないよな...
「...それに関しては素直によろこべねぇ、」
『なぜじゃ!?』
なんでって、お前周りの人達絶対引いてたからな!?……いや実際凄い助かったし、もうしないでとかも言わないけどさ…
『まぁ、今日は休みじゃ休み!ほれ!妾の膝で寝るといいぞ!』
そういい頭から飛び降り、俺の前で座り自分の太ももをぺちぺちとする風華。
「...遠慮しとく、それより話したいことがあるんだ...」
『むー!話は聞くから大人しく来るのじゃ!』
そう言われ半ば強制的に太ももに頭を乗せられる。
満足したのか、風華はニマニマとしながら俺の頭を撫でており、俺はされるがままになっており、心地よいがとても恥ずかしい。
まぁ、抵抗しても無駄ということはここ数ヶ月で嫌という程思い知ってるため、最近は大人しく受け入れている。
『ところで...話とは?』
「あー、次の相手な、?見るからに力押しなんだが…俺は勝てるかな」
『ん?えらい弱気じゃの?……さては、右腕を切られたのが思ったよりこたえたかの?』
そう言われ、自然と自分の右腕に目線が行く。
油断したつもりはなかった、しかし俺は食らってしまった。
『さてクイズじゃはじめ!あれはどんな能力だと思う?』
俺にそう言いながら風華は、チクタクと口ずさみ横にゆれ俺の返答を待つ。
うーん、、
65%まで解放し、肉体はもちろん動体視力も強化された状態で全く気づくことの出来なかった攻撃……不可視、?しかないよなぁ
『確かかしま?とやらは、武器を合わせる際に絹月??とやらと言っておったのー?』
まるで独り言のようにこちらにヒントを与えてくるな、絹…絹...
「糸か...」
『ぴんぽーん!なのじゃ!』
だとしたらおかしい...
武装型はそういった能力は無いはずだ...
まぁ、これは今度久留っ……川崎さんにでも聞いてみよう。
「まぁ、何がともあれ勝てたからよかったし…あれは鹿島さんが上手かったわな」
『さて、話は戻すが筋肉に勝てるかどうかじゃったな』
「いや筋肉では無いがな、?まぁ、そゆことだよ…」
風華は何度かうなった後、重々しく口を開く。
その反応からなんと言うか大体は予想がつき、俺もやっぱりそうなんだろうなと思った。
『正直...きついかのぉ...はじめが弱いとかでは無い、こればっかりは経験の差じゃ』
風華いわく、俺の成長は凄まじいが戦ってきた相手で力押しするタイプがいないため、それに対応する動きも即興でしなくちゃいけないらしい。
「風華はどうなんだ?力押しだろお前」
『何を言うか!妾は力押しではないわい!...そう感じるのは妾がはじめの格上たる証拠じゃろうて、妾はどちらかと言うと技に物言わせたタイプじゃ』
なるほど…まぁ、悩んでも仕方ないのだが、攻撃を受けなくちゃダメな能力の性質上、どうしても頭を抱えてしまう。
それに気づいたのか、風華は俺の脳天にチョップをかましてきた。
『えーい、へんに気負いすぎじゃて。妾がおろぉう?妾がいる限りはじめは最強じゃ』
「...ありがとう」
このあと少し休み、どうせ来たのなら軽く動こうかと組手をして今日は解散になった。
---
ピピピピ…ピピピピ…ピピ...カチッ
「...うるせぇ....」
自分がセットしたためなるのは当然だが、どうしてもこの瞬間は行き場のない怒りを時計へとぶつけてしまう。
「...まだねみぃな、」
あれから少しほど寝て、幾分かは楽になったが全身から気だるさは取れない。
このまま二度寝しようか考えるが、さすがに1度燐達を見てこようかと思い、着替えて部屋を出た。
この建物はは寮の真下に医務室など様々な施設があるため、移動等は本当に楽で助かっている。
いつもなら誰からとすれ違うことは少ないのだが、今回はランク戦というのもあってか何度かほかの隊員とも入れ違うことが多く、その度やたら見られている気がするが恐らく気のせいではないだろう。
「おい」
あと少しで医務室か、あれから時間は経ったしさすがにもう起きてるだろう。
「お前だ、おい」
ここの医務室はめちゃくちゃ広く、医務室の中にいくつも個室があり、そこに各自休めるというふうになっている。
「おい!」
「...え?」
考えながら歩いていると肩をつかまれ呼び止められる。
この人は...誰だ、?
さっきすれ違ったかも...しれない?なになしたかおれ...?
「俺の事です?」
「……」
おかしいな、呼び止められたのにこの人何も言わないぞ、?
「あのー...」
どうしたらいいか分からず困っていると、そのまま肩から手は離れ、そのまま何も無かったように歩いていってしまった。
「えぇ…」
なんだあの人、
でもなんか既視感あったな...
『変わった人もおるんじゃの』
「...まぁ、ほら、世界は広いじゃん?」
---
「失礼します」
医務室の扉を開けると、鈴谷さんがパソコン、書類とにらめっこをしていた。
俺が入ると同時にパソコンから視線はこちらに移り、険しかった顔も一瞬で笑顔に変わりとたとたと足音を立てながら近寄ってきた。
「黒田さん!お疲れ様です!」
「鈴谷さんこそ」
俺がそういい、机に置いてある書類の方に目を向けると、鈴谷さんはあははと笑いながら大丈夫と言う。
「大丈夫ですよ、慣れてますので。あれから体調の方は大丈夫そうですか?」
「少し体が重いくらいですかね?まぁ、問題ないですよ」
「なんかもう黒田さんに関しては驚かなくなっちゃいましたよ私」
そう言いながらスクスクと笑ってくる。
取りあえず燐たちはさすがに起きてるかな?と思い様子を見に来たことを告げると、全員起きていることを教えてくれた。
ありがとうと伝え、1番近くにある小森の個室に向かう。
トントン
「小森?起きてるかー」
ノックと同時に俺がそう言うと同時にゆっくりと扉が開かれる。
...おいこいつまさか
「...ずっと壁に耳当ててたのかお前」
「...」
何も言わないが明らかに目を逸らしたな?
よし、今度お前には久留美の刑に処してやろう。
口には出てないはずだがなにか察したのだろう、小森は流れるような動作で...ベットに戻り頭から布団を被った。
「...大丈夫そうだな、なんか、」
俺がそう言うと布団から頭だけ出し、こちらをじーっと見てくる。
いや亀かよ、
...まぁ、目線が明らかに俺の右腕だし、言いたいことは分かるから取りあえず無事であることを伝える。
「見ての通りなんともねぇよ...心配しすぎなんだよ」
「...おか...しぃ...!」
...いや分かるけど...
こちとら毎日腕なり足なり内臓から全てもがれてるからな...
「...まぁ、今から燐のとこ行くけど来るか、?」
なんか思いのほか元気そうだから燐のとこ行く?と誘ったところ小森は頷き、ベットからおりこちらに近寄ってきたのだが...
「...おい」
「……」
「目逸らしてんじゃねぇよ、それもってく気か、?」
俺が言うそれとは、今小森が持っている...
いや正確には纏っているものである。
「さすがに布団持ってくのは不味くね、?」
そう言うと、小森は少し悲しい顔をした後、名残惜しそうに布団を戻した。
いや、身長のせいで床に布団ついてたし...仕方ないでしょ。
「ほら、行くぞ?確か燐の部屋は...5つ隣か」
小森を連れ燐の部屋につき、俺はノックすることなく燐の部屋空けた。
なんでノックしないかって?
そりゃ燐だし、小森はほら一応女子だから気使うけど...ほら、燐だし。
そんなことを思い扉を開けるとそこには思いもよらぬ光景が拡がっていた。
「燐、見に来てやっ...」
「ちょ!?やめっ!!!澄さん!?離して!?!?」
「...すみません岩沼様...私はお嬢様の言いな...奴隷ですので」
「なんで言い直したの!?ちょ!ほんとに!!ちょ!?シャツ返して!?!?!?」
「取ったぞぉぉおお!!ですわぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「失礼しました」
ガチャり
「...」
「...はじ...め、?」
「...」
「はいら...ない...の...?」
「...いまは...忙しいみたいだ。小森お腹空かないか?俺奢るから飯行こうぜ」
後の小森に聞くと、俺が何も言わず扉を閉めたことと、かつてないほど笑顔なのがとても怖かったそうだ。
「...え...でも...なか...いたよ...ね?」
「小森!……燐...いや、岩沼さんは大人になってるんだよ」
俺がそういい、有無を言わさず食堂に連れていこうと手を引きながら踵を返した瞬間、後ろの扉が勢いよく開かれ、中から上裸の燐が飛び出てきた。
「いや助けてよ!!!!」
「澄!!!抑えなさい!!」
「御意」
「ちょ!?澄さん!!!!」
俺は何を見せられてるのだろう。
目の前では俺の相棒...いや、元相棒が黒服の女性に縛られ、何故か燐のシャツをその手に持ち、たか笑いするツインドリル女さん...
考えろ今俺がすることは...
「小森!!!見ちゃダメだ!!!こいつら既に汚れている!!!!!」
俺の行動は早かった。
状況を理解したと同時に、小森を抱き抱え目元を隠しすぐさまこの変態共に触られぬように匿った。
「...なに...して...るの、」
「聞くな小森、言うのもはばかれるような高度なplayが行われている。お前は見ちゃダメだ、」
「ちょ!?はじめ違うから!!!!」
「とったぞー!!!ですわぁぁぁぁぁぁあ!!!」
はい、
この後収集が着くことはなく...
5分ほど同じようなやり取りの後、さすがに騒がしかったのか鬼の形相の鈴谷さんの手によって自体は収まりました。




