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影人  作者: レト
18/22

16「風」

基本2日に1回であげたいと思ってるのですが、時々遅れます、本当にすみません。


僕に両親はいなかった。

いや、正確に言うと、いたけど記憶が全くない。

聞いた話によると、僕が生まれて直ぐに穢人に襲われ、僕もあと少しで殺されるというところでとある影人が助けてくれたらしい。

その時助けてくれたのが、千春の両親で、僕を引き取ってくれた人達だ。

辛かったね?別に辛くは無かった。

そもそも覚えてないし、産んでくれたことに感謝は感じているが、赤の他人である自分を快くを引き取ってくれるばかりか、ここまで実の子供たちと同様に愛情を持って育ててくれた今の親の方が好きという気持ちは大きい。


「燐君は、影人にならないでいいんだからね?千春も獣医になりたいって言ってるんだ」


小森一家は、代々から影人をしているらしく、両親及び、義兄も影人だった。

てっきり僕と千春も影人になるのだろうなと思ったのだが、両親の意向として長男が継いでくれてるし下の子たちには好きなことをさせたいとの事だ。


「...俺は好きでやっている。お前たちに気を使われる理由はないぞ?」


強制された運命は嫌では無いのかと、一度兄に聞いたことがあるが阿呆なこと言うなと一蹴された。

僕は迷った。

それはそれは迷ったさ...迷った結果僕は、僕を助けてくれた影人のように、両親のように誰かを助けたいと思った。

考えがまとまり、僕は影人になりたいと両親に気持ちを伝えた。

両親は、少し困った顔をしていたが、僕の気持ちを伝えたら頑張れと言ってくれた。


「...わた...しも」


...唯一の誤算は、僕が影人になると言ったら千春もなると言い出したことだ。

...この瞬間、僕は自分の選択を後悔した。

僕があの時、影人なんて言わなかったら千春は今頃獣医という夢を叶えてたのではないか。

自分が付き合わせてるのではないか、

僕は、今もずっと悩んでる。


「言ったはずだ、お前らには向いていない。やめろ、小森家の恥さらし共め」


...だから、連れてきてしまったから

...勝たなきゃダメなのに...

僕には、力がなかった...


---


何考えてるんだ僕は...落ち着け、


「はぁ...はぁ...はぁ...」


今はどれくらい時間はたっただろうか、1時間、?30分?...いや本当は3分とかそんなものなのかもしれない。

頭ではわかってるはずなのに永遠に感じてしまう、そんな時間感覚の狂いにに目眩がする。


「...いつまでつづけるのー?」


呆れたような様子でそう告げるのは、敵である三林さん。

先程からやってる事は変わらず、攻撃を捌きカウンター、しかしその反撃もほぼノーダメージ。

その後に反撃をくらい、僅かではあるがダメージは確実に蓄積し、僕は精神的にも体力的にもすり減っていた。


「...その質問、意味ありますか...?」


乱れた息を整え、敵を見る。

僕の手札はもう全部切っており、奥の手も何も無い状態。


「あのねー、さすがに分かるでしょー?私は強化型、特別な能力とかはないけどバランスよく全身が強化されてるの?決めてがあるならだけど...ないならもう無理だよー?」


分かってる...

分かってるから僕は、はじめという火力要員に頼った。

分かってる、本当は自分が試合を決めたい。

兄さんに認められたい。

千春を守れる、みんなを守りたい。

誰にも負けない力が...力が欲しい。

...

……

……...でも出来ない...っ...

全部、全部全部飲み込んで僕は今ここに立ってる。


「ねー?きーいーてーるーのー?君じゃ勝てないって、諦めてくれないかなぁ」


「...勝てないなんて、100も承知なんですよ、!!!」


そう言い、僕はまた三林さんに突撃する。


「はぁ...あんまりしたくないんだけどさー、」


瞬間、腹部に衝撃を与えられ強制的に肺の中の息が吐き出される。

思わず地面に倒れ、すぐ立ち上がり回避しようとするが、疲労もあってか思うように体が動いてくれず、うずくまったままになってしまう。


「めっちゃいたいと思うけどー、仕方ないよねー」


そう言うと、三林さんは僕の首元に刃を振り下ろした...

……

...……はずだった。

来るはずの激痛は来ず、代わりに金属の弾く音が体育館中に響く。

思わず瞑ってしまった目を開き、上を見上げると、驚いた顔のまま後ろに飛ばされた三林さんと...


「わるい...遅くなったわ...」


片腕をなくした、チームメイトがそこに立っていた。



---



確か鹿島さんは4階だったはずだ、そんなことを考え俺は全速力で1階、2階の部屋全てを確認する。

さすがに1、2階には降りてないか...まぁ、そりゃそうだよな...

俺は3階に続く階段を駆け上がった。

階段をあがってすぐの廊下を見回すと、廊下の奥で探していた標的を見つける。


「見つけた...」


俺は今、60%という上限を5%だけオーバー、そして〝風纏〟という新しい技を使用していた。


『この技はの、風を全体に纏い全てのスピードを底上げするんじゃよ』


風華いわく、イメージ的には押す風と引き寄せる風を同時に発生させると考え、イメージするとスムーズに発動できるらしい。

夢の中でしこたましごかれたおかげもあってか、俺は軽く走るだけでも爆発的なスピードを手にすることに成功した。


「!?!?」


標的を捉え、相手の懐に入り込むのに数秒もいらなかった。

俺は標的の首元に刃を向け、あと数ミリというところで腹部に蹴りを受け2、3メートルほど距離を離される。

標的は何が起きたのか分からないと言った顔をしており、今の蹴りも反射的に起こしたものだろう。


「く...黒田っ!!!はじめ!!!!」


状況を理解したのか、鹿島さんは声を荒らげながら武装強化したであろう剣先の長いナックルダガーをかまえこちらに突撃してくる。

まか、はっきりいって話にならないほど遅く遅く感じてしまった。

そりゃそうか、久留美さんに風華。

俺は環境に恵まれてるからな、少し申し訳なく感じつつも全ての攻撃をさばく。


「すみません...急ぐんで」


「っ!?...舐めるなっ!〝絹月(きぬづき)・混〟!!!!」


大きく後ろに下がり、鹿島さんは2本あったダガーをかさね、それと同時にダガーは変形し1つの大剣へと姿をかえる。


「私達は負ける訳には行かないの、!!!今度こそ勝ってA級に上がるの!!!ぽっと出の新人が!!舐めないっ......は?」


あー...本当にこの人は俺を舐めてるんだろうな。

戦闘中にペラペラと...俺は接近した時にしかけた風切りを発動。

能力の上限が上がり現状俺は5つの風切りのストックができるようになり、今回は天井に2つ、左右の壁1つづつという贅沢な使い方をした。


「...話になりませんね」


4つの風切りは鹿島さんの武器を容赦なく切り刻み、武装された武器が破壊された事実を受け入れる間もないまま、俺鹿島さんの横をとおりすぎた。

剣を鞘に収めると同時に、鹿島さんの首から銅は離れ、体は結晶のように砕け散った後、本体が床に崩れ落ちた。


「よし、とりあえず屋上に...」


鹿島さんが倒れたのを確認し、次は早見さんのところに行こうと踵を返した瞬間、俺の右腕が床に落ちた。

その事態を理解するのに時間はいらなかった。

痛みが嫌でも状況を理解させたのだ、だが不幸中の幸い、俺はこれまで何度も似たような体験をしてきたため、何故か驚くほど冷静を保つことが出来ていた。


「...気づかなかったな」


どのタイミングかは分からない、恐らく鹿島さんの能力による物だろう。

絹月?と言ったか、おそらく糸かなにか...

...今考えても仕方ないか、結果的に俺の右腕は奪われ大きく戦力ダウン。


「...出来れば舐めてかからない状態で戦いたかったな」


鹿島さんが最初から全力で来てたら、舐めてかかっていなかったら、奇襲じゃなったら、そんな考えが頭をよぎり、風華に言われた言葉を思い出す。


『はじめは絶対勝てる、妾は知っとるよ?油断した相手ほどちょろいものはおらんじゃろうて』


風華が前日に言ったセリフを思い出し、俺は油断だけはしないでおこうと心に深く刻み込み、俺は屋上を目指し走り出した。





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