15「宣戦布告」
7/18、追加修正
「さーて始ましました!!!4ヶ月に1回の大大大イベント!!!!全隊員から選ばれし4チームによるランク戦の開幕だぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
でかいモニター前、例えるなら映画館のような場所で1人マイクを持った状態で吠えるのは、どこか見た事あるが少し違う。
皆が見慣れているその人とはヘアピンの位置と、髪型が少し違っていた。
「もー!みんなノリが悪いなぁ...というわけでどどん!モニターを見てください!!ランク戦は2日あり、今日は全てのランクの予選を行い!勝ったチーム同士が明日に決勝の場で争う!!とそう!2日間かけて行われるものとなっております!」
説明に合わせモニターの画面は切り替わり、観客たちもそれを見ながら説明を聞いている。
「本日実況を務めさせて頂きますのは!私鈴谷 莉奈!!解説等は特急のお2人!柊ノ木隊長と、月乃 夜さんにお願いしております!!」
そう言われ、真ん中にある審査席から2人が立ち上がり、軽くお辞儀をする。
「おふたり様!一言!一言でいいのでなにか頂けないでしょうか!!お願いします!!」
「あー……まぁ、皆励んでくれ」
「…みっともない試合だけはしないでくださいね」
「うーむ、なーんか思ってた感じとは違いますがまー!いいでしょう!さてさて!続いてはチームの紹介です!!」
思ってた感じではなかったのだろう鈴谷さんは苦笑いをしていたがすぐに切りかえ、さてさて!と各ランクごとのチームを紹介しだした。
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選手待機室
「俺らは11時からか」
そう言いながら予定表に目を向ける。
9時から11時までD級、それから2時間B級の試合があり、午後にCとAがあると...
「……人…多い...」
「しっかしすごいよな、各チームごとに個室あるなんて」
そう言いながら周りを見渡す。
決して広くは無いが、人が3人がいて狭いと感じない程度の広さはあり、冷蔵庫にモニターやエアコンなど設備は充実していた。
「…作戦会議とかもあるからね、てかはじめはなんで平常運転なのさ...」
「今頃焦っても仕方ないだろ?なるようになるって」
そう言いながら俺は持参した大福にかぶりつく。
2人から非難の視線を向けられるが知ったことでは無い。
「しかし、鈴谷さんの下の名前莉奈って言うんだな、なんか雰囲気違うしランク戦ってそんなはっちゃけるイベントなのか?」
俺がそう言うと、小森は首を横に振る。
何が違うのだ?燐の方を向くと、それはねと説明をしてくれた。
「あれははじめの知る鈴谷さんじゃないよ、設備や回復とかしてくれる方は姉の鈴谷絵里さんで、今実況をしてるのは鈴谷莉奈、妹さんだよ。」
「まじか...」
そう言われモニターに目を向ける。
鈴谷(姉)の方はショートカットにピンクのヘアピンをしており、ほんわかした印象だったが、鈴谷(妹)はショートカットではあるもののサイドを結び、短いサイドテールになっており、水色のヘアピンでとても活発そうな印象を受ける。
「……すず...やさん...今頃...はず...かしがって……そ」
確かにねと燐は笑い、張り詰めていた空気が少しだけ柔らかくなった。
「燐、試合はどう動く?」
俺がそう聞くと、燐は持参していた鞄からタブレットを取り出し、相手チームの情報などを映し出した。
「相手はB級3位のチーム。鹿島咲さん、早見志保さん、三林夏帆さん。リーダーを務めるのは鹿島さんで、この3人は昔からの友達...まぁ、幼なじみってやつで、連携がよく取れているチームだよ。戦い方としては、早見さんが2人にバフをかけて、2人が一気に攻める形を取ってる。」
「...こう...げきがた...」
「どう立ち回る?」
俺が燐に聞くと、タブレットのページは切り替わり、上から街を見下ろしたような図になっていて、そのマップ上には6つの点が置かれていた。
「ランク戦は実践を想定してるから街のようなマップで行われる。多分鹿島さん達は最初からゴリゴリ攻めてくる」
そう言いか赤い点が2つ青い点に迫る。
「鹿島さんは武装型、三林さんは強化型。型は違うけどどちらもスピード重視の高速アタッカーなんだよね。はじめには鹿島さんを担当してもらいたい。」
こちらを向きそういう燐に頷いて答える。
「イメージ的には、スピードよりのバランス重視、三林さん。スビード特化の鹿島さんだよ。僕と千春で三林さんと早見さんを抑えるから、はじめはどうにかして鹿島さんに勝ってほしい。」
俺に負担が大きい作戦だからか、燐は少しばかり申し訳なさそうにしていた。
「そんな顔するなよ、相手のエースと俺を当てるのは、元は俺が言い出した事だろ?負担だって喜んでおうさ」
俺がそう言うと、申し訳ない表情は消え優しく微笑み、頼んだと燐は言ってきた。
燐と小森は2人でどうするか決めるから、俺は過去動画などで鹿島さんを抑えるイメトレをしててくれと言われ、タブレットを渡された。
(なるほど、早見さんがバフをかけて……本当にスピード特化だな...でも、)
『久留美とやらよりかはおそいのぉ』
(うぉ、びっくりした急に出てくるのやめてくれよ...)
『なんじゃなんじゃいいではないか!妾とお主は一心同体、2人でひとつなのじゃから』
そう言い、心の中で話しかけてくるのは俺の師匠のような、相棒のような存在、風華だった。
風華に言われ改めて映像に目をやるが、やはり久留美さんの攻撃を体験したからか、少しばかり物足りなさを感じる。
コンコン
「ん?」
「誰かな?僕が出るよ...はいはーい」
映像を見ていた途中、急に扉がノックされ3人ともびっくりし視線を向ける。
誰が出るかなと3人で目を合わせたところ、燐は自分が出るよと言い扉に向かった。
「え!?……あの...はい...はい...わかります...」
応対は燐に任せて再度タブレットに目をやろうとするのだが、なんだか燐の対応がとてもしおらしい。
こんなんじゃとても集中とか出来ないぞ…
そう思っていると、燐から手招きをされる。
「??」
「はじめのお客様だよ...」
そういい扉に向かうと、見たことの無い女性が立ってい…いや見たことあるな、てか今見てたわ...
俺の目の前には、今日対戦相手のチームのリーダー、鹿島 先さんが立っていた。
「何か御用で、?」
「まずは初めまして。鹿島 咲です。」
そういい手を伸ばしてきたので、素直に握手をするのだか...
意図が読めないぶんめっちゃ怖い
「あなたが...黒田一君ね、まずはごめんなさい。あまりこういうこと言うのは良くないし、でも先輩として...あなた自分が何をしたのか分かっているの?」
そう聞かれ俺はなるほどと、この人が何を言いたいのか理解した。
「魔女との接触とか、あなたの成長が早いとか、どうでもいいの。あなたのように好き勝手行動されたら、今後の後輩達、そして今D級やC級で頑張っている人達はどうなるの?そもそもDにすらなってない貴方達が勝てるわけが無いわ...棄権しなさい」
言いたいことは言ったのだろう、部屋を去ろうと踵を返し、歩みを進める。
「……はじめ、」
さすがに効いたと思ったのか、燐は切ない顔をしてこちらを見てくる。
..
……
「鹿島さん」
去ろうとした先輩を呼び止めると、振り返りはしないが歩みは止まり、俺の続きの言葉を待つ。
ちらりと燐と小森に目を向けると、燐は切ない顔のままだが、俺がなにを言おうとしてるのか察したのだろう。
小森はハッとした後、顔色悪くしアワアワとしだした。
俺はそれに対しニコりとかえし、口を開く。
「炎楽さんと当たる前に鹿島さんと当たれて良かった...いいウォーミングアップができそうです」
「はじめ!?!?」
「……やっ…ぱり…」
「……ピキッ…はぁぁぁあああ????」
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「なにやってんのさ!!!!」
「…いいだろ別に」
「いいわけないでしょ!?あーもう!!」
先程の鹿島さんとのやり取りの後から、燐の愚痴は止まることなく、青い顔のままどうにもならないと項垂れていた。
俺達は今、試合開始30分前になったため試合待機室で各々準備をしているのだが、その間も止まらない愚痴に段々と疲れてきた。
「…そうは言うがな...燐、実際俺たちは勝ち上がりに来た。鹿島さんだって通過点に過ぎないんだぞ?」
俺がそう言うと、苦い顔をしそれでもと言葉を続ける。
「...でも、言い方があるでしょ...!」
それはそうかも、でももう時間は戻らないしあれをきっかけに冷静を失ってくれてれば煽ったかいもあるというものだ。
そうこうしていると係員の人が時間ですので入場口に向かってくださいと言いに来た。
「覚悟決めろよ燐、やるしかねぇんだろ」
「...ぅぅぅう!もう!!もう!!」
うなってはいるが何度か頬を叩き自分を奮い立たせる。
俺たちは3人で入場口へと向かった。




