11「炎楽」
展開が急ピッチすぎるきがしてならない、、
「わしゃぁ硬っ苦しいのが苦手でのぉ、上に上がると面どぉしいのがいやなんよ」
そう言いながら笑い、俺の横に座りこちらをじっと見てくる。
「…燐と仲悪いんです?」
さすがに無言で見られのは気まずかったため、炎楽さんに聞いてみるが、答えをくれたのは燐だった。
「僕が一方的に嫌ってるだけだよはじめ。前から言ってるけど、大きな力には責任や義務が発生する。それら全てを放棄してるこの人が僕は嫌いなだけだよ」
なるほど、、真面目な燐には、確かにこの感じの人は合わないよなぁ。
「相変わらず頭の硬い小僧じゃのぉ」
「あんたそんなに歳変わんないでしょうが!!」
小僧と言われ燐が声を荒らげる。
どうしたものかと、俺は久留美さんと小森に視線を向けるが、小森は完全に息をしてなかった。
視線に気づいた久留美さんは何度か頷き口を開く。
「炎楽さん、さっき言ってた前例があるって一体だれなの…なんですか?」
「おー!そうじゃそうじゃそれを知りたかったんよのぉ」
そう言って咳払いをし、言葉を続ける。
前例があるなら俺たちだってできないことは無いはずだ。
上手く行けば直接その人に話を聞きに行き、上手いこと上に上がることが出来るかもしれない…なんて淡い希望を持ち耳を傾ける。
「さっきも言ったが、サラから特に上がったのはただ1人、おおやけには順番に上がったってなっとるが、まぁ、凄かったよあいつは」
そう言いながらうんうんと頷き、思い出してるのか何かを噛み締めるように説明をする。
「…早く言ってください、結局誰なんです?適当言ってるだけなんじゃないですか?」
燐がしびれを切らし、結果を早く言えと急かすと炎楽さんはやれやれとし続ける。
「せっかちはいかんのぉ、それが誰か?それはお前さんがよく知ってるはずだぜ?」
「はじめっちがしってる…?」
「もう薄々わかってんだろ?サラから特に上がった異例の中の異例、そいつぁ紫葵 碧。」
「紫葵葵…紫葵葵…待ってその人って、!」
呆然としている俺をよそに、燐は何度かその名前を呼び思い出したかのように声を上げる。
「…隊員…殺…しで…きえ…た…ひと」
「影の魔女…待ってはじめどういうこと、?よく知ってるって何」
「待ってりんりん落ち着いて、はじめっちは影の魔女に襲われてこの世界に入って、、えーと、炎楽さん!!なんか意味深な言い方しないでよ!!」
「かっかっかっ!なんじゃ、深い意味なんぞなかったんじゃがの」
「…また詳しくはまた聞くとして、取り敢えずいきなり挑む件は無しだね。出来るかどうか不確定だし、何より隊員殺しなんて…そんなこと人と同じことはしたくない。いいよねはじめ…はじめ?」
周りの声なんて聴こえなかった、聞く気がなかった。
俺は、炎楽さんの前に立ちその目をじっと見つめていた。
「教えろ、どうやったら特級になれる」
「ふはっ!」
「はじめ!?」
「えぇ!?」
「…おぉ…」
4人から1斉に声があがるが、そんなこと知らない。
早く教えろと言わんばかりに俺は炎楽さんの首元を掴む。
「どうどう、落ち着けって…しかしまぁ、あれはホント強引じゃからのぉ」
そう言い炎楽さんは当時のランク戦での出来事を話し出した。
紫葵さんは開始早々敵陣に突っ込み、前例を見ないスピードで相手チームを蹴散らし試合を終わらせたらしい。
早々に試合が終わり、チームメイトや相手チームが控え室に戻ろうとする中、スタジアムに立たずみ何かを呟いたと思ったら急に本来禁止されているはずの上限を解放。
当時の審査員だった特級の方に向かって武器をぶん投げ、そこから紫葵さんと特級の1体1の殴り合いになったらしい。
その結果ギリギリで紫葵さんは特級を下し、実力を上の人達に強引に認めさせ、特級にまで上がったという。
「あの件から、審査席が別室、モニター越しの判定になったんよ。だから今はきついんじゃないか思うよ?」
「…」
「…うーむ、わかった!!ワシが話すだけ話してみよう!!特は無理でもAから受けさせるように交渉しちゃるけ待っとくとええ」
俺の無言の圧を感じたのか、炎楽さんはたからかにわらい、何回か肩をバシバシとした後颯爽と部屋から出ていった。
---
「ということがありました」
「いや!何してるのさ!はじめはバカのかな!?」
話が終わるまで隣に座っていたのだが、終わったと同時に立ち上がり頭をポカポカと叩いてくる。
あの後俺は燐からしこたま説教を受け、先程やっと解放された。
説教に疲れ、甘いものを買いにコンビニに行こうと抜け出したところ、丁度紫葵さんに会い、これまでの出来事を話した結果今俺はぽかぽかされている。
「チームのみんなはなんて言ったの?」
ポカポカと叩くのをやめ腰に手あて、呆れ顔で俺に聞いてくる。
「燐は何時間もの説得の末何とか納得してくれて、小森は俺の意見を尊重。久留美さんはなんか、はじめっちはいつも斜め上をマッハで突き抜けるからもう驚かないーって…ただ、ごめんなさい…」
1応この3人には、影の魔女を自分の手で倒したいんだと嘘をつき納得してもらった。
正直心苦しく、けど繋がりを怪しまれた方が紫葵さんに迷惑をかけてしまうかもと思いそうした。
そのことを話して謝ろうとしたが、上手く言葉に出来ず止まってしまう。
俺の表情から、なにか察したのか紫葵さんは何も言わず抱きしめてくれていいんだよと言ってくれた。
「まぁ、私はこんなだし。誰もはじめを責めないよ大丈夫、大丈夫」
「…すみません、」
何分かそうしていると、段々と恥ずかしくなり、ただここで慌てて離れる方が逆に恥ずかしいのか!?なんて考えたら余計に動きにくくなってしまう。
「…」
ヤバい…どうしよう。
「はじめは、私の胸の中が好きなのかな?」
「違います!!!」
いや、違くはないけどその言い方は絶対違う!!!
「何を慌ててるの?あ…何か変なこと考えてたり?」
ニヤニヤとし、つんつんと脇腹をつついてくるがやめて頂きたい。
「からかわないでください!!…それより聞きたいことがあるんです!」
俺がそういい、例の紫葵さんの事件について聞こうとすると、紫葵さんの、表情が少し暗くなる。
「みたん…だよね、」
そう聞かれ俺は頷き、ただと続ける。
「見ました。ただ、なんの理由もなくそういうことをするとは思えません。」
根拠はない、付き合いも長くない。
こんなものは勘だし、なんならそう俺自身が思いたいだけっていう最も黒い感情だと思う。
それでも、なんの理由もなく人を殺めるような人には思えないのだ。
「…うん、事情はあった。でも、まだもう少し待って欲しいかな、」
紫葵さんに、そう言われ俺はそれでも教えて欲しいと、なんでも受け止めると言おうと紫葵さんの肩に手を置き口を開いた…(プルルルル…プルルルル…プルルルル)
「…出た方がいいんじゃ…」
「…後でいいです!!いまはこっちの方がだい(プルルルル…プルルルル)」
この野郎…
「すみません、出ます」
「う…うん!大丈夫だから、でてでて?」
「もしもし」
『 お、出たでたワシじゃ呼ばれてないけどあらわれる炎ら…』
ガチャ
「迷惑電話でした、話を続けますけど、紫葵さ…(プルルルル…プルルルル)」
何度目かの呼び掛けにさすがに紫葵さんもたははと笑い、俺のいらだちは頂点へと行っていた。
「なんですか…夜中に」
『 急にきるこたぁないじゃろ!まったくこっちはいち早く伝えてやろうと思ってかけとるのに!』
「すみません…炎楽さん。」
『 まぁ、わしゃ心が広いからのええよええよ、それで例の件なんじゃが、悪いがA級も無理じゃった!ガハハハ』
「…まぁ、そうですよね」
『 たがB級からなら許可を勝ち取ったぞ!』
「は?え、??」
『 燐坊らには伝えといてくな!わしから言うとまた面倒じゃけのほいなら!なーに礼など要らんわい』
「いやま…切れたよ、」
電話を見つめ、ため息と同時に携帯をポッケにしまう。
「すみません紫葵さん、おまた…あれ?」
振り返ると紫葵さんの姿はそこにはなく、俺一人取り残されていた。
「帰ったか、」
まさか上手くいくとはという嬉しい気持ちと、紫葵さんにまた聞けなかったという気持ち。
この後、燐からなんと言われるかという恐怖が相席し、なんとも言えない気持ちのまま俺は家へと足を進めた。




