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幻想封歌  作者: 西白秋
9/11

白髪の少年と黒猫――14世紀 日本

 村はずれのある小さな庵に、白髪の少年が一人で住んでいました。

 少年に家族はなく、毎日決まった時間に庵に遊びに来る一匹の猫を可愛がっていました。


 少年は毎日猫に食事を作ってやり、猫は歩く少年の左脚に擦り寄って甘えます。

 裕福ではありませんでしたが、一人と一匹は仲良く過ごしていました。


 そんな穏やかな日々が過ぎて、雨が長く降り続く季節になり。

 久しぶりの青空が見える朝、庵のすぐ外で猫がぐったり横たわっていました。

 その体はすでに冷たく、眠るように目を閉じて、ピクリとも動きません。

 長い雨で体を壊したのか、それとも他に原因があったのか。少年には分かるはずもなく、ただただ悲しむばかりでした。

 やがて気を取り直した少年は、猫の体を庵の裏に埋葬しました。


 一人になってしまった少年は、分かっていても、つい猫の名前を呼び、毎日猫の食事を作ってしまいます。

 そんな日が長く続いた後、少年は気づきました。


 減るはずのない猫の皿から、食事が減っていることに。

 左脚に、懐かしい温もりを感じることに。


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