表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想封歌  作者: 西白秋
5/11

メフィストフェレス――19世紀 ドイツ

 メフィストフェレスという一柱の悪魔が居ました。

 彼は、魔王にして道化。誘う者にして嗤う者。

 人間を誘惑し、堕落していく様子を見て楽しむ邪悪な悪魔です。


 メフィストフェレスは何でもできます。

 恋も、金も、名声も、契約した人間にあらゆるものを与える事ができます。

 そんな彼にも一つの心残りがありました。

 ある人間の魂を取り逃した事を、今も悔やんでいるのです。

 メフィストフェレスが与えたあらゆる快楽を受け入れ、そのくせ最期まで堕落する事のなかった人間でした。


 メフィストフェレスは今も探しているのです。

 その人間と同じ魂を持つ者を。

 今度こそ堕落させたいのか、会ってもう一度話をしたいだけなのか、本人にも分かりません。

 けれど、期待にも似た不思議な焦燥感が、深く刺さった棘のように胸の奥で疼くのです。その人間を探せと急かすのです。


 メフィストフェレスは、今日も人間を誘惑します。

 醜悪な魂を嘲笑い、失望しながら、それでもずっと探しているのです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ