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女仙人と白髪の少年――14世紀 日本
あの頃、私は道士として修行中の身だった。
ある日、異能を持つ子供がいるという噂を聞きつけ、その村へ向かった。
小さな村だった。小さく閉鎖的な、この国ではありふれた寒村。
そこで私は白髪の少年と出会った。
少年は生まれつき異常な霊力を持っていた。
本来なら師につき使い方を学ぶべき力だが、少年は己の才覚だけで扱っている。
その異能と、不吉とされる生まれつきの白髪ゆえ、村人達は少年を畏れ遠ざけた。
少年もそれを察し、村人達から距離を置いて独りで暮していた。
少年の澱んだ瞳と、左足に漂う黒い呪霊を見て、悟る。
私は彼に教えなければならない。
少年の霊力は信じられないほど異質で強大で、道半ばの私が指南できる事など無いだろう。
しかし、そんな事は関係ない。
忌み嫌われ、
理解してくれる人もなく、
ついには心を閉ざしてしまった、彼に教えなければならない。
彼に、愛されるという事を教えなければならない。