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第八話,「……認めない。認めないぞ。こんなのが世の中の男子が追い求めるラッキースケベの現実だなんて」





 菜々はだらけきった様子からようやく思い腰を上げ、リビングに脱ぎ散らかされた自身の制服諸々を回収してリビングから出て行った。


 流石にここで着替え始めるようなアホなことをしなかったことに安堵してテレビに視線を移す。 


 まだ帰ってきてから一時間も経っていないのにとても疲れた。



「あっ、そうだ。お風呂洗わないと……」



 そう思い立って腰を上げた瞬間、頭に何かがよぎった。



ーーピキーン…!



 そのタイミングで閃いたのは神のお告げか、はたまた持ち前の推理力の賜物か。




ピピッ…

→選択肢A. お風呂場に行く

  ↓  

 脱衣所で着替えている菜々と遭遇

  ↓

 ラッキースケベ&豪快なビンタ




 …………大変あり得る。大いにあり得る可能性だ。



「先に部屋に荷物置きに行こう、そうしよう」



 君子危うきに近寄らずっと。


 リビングの床に置きっぱなしにしていた学生鞄を手に廊下を出て階段を上る。


 今更だが説明しておくと、現在この一戸建てにはおれしか住んでいない。


 母親は小学生の頃病気で天国へと先立ち、中学生の頃までは父親との二人暮らしであった。しかしながらおれが今の高校への進学を決めたタイミングで、歳を重ね、一人で経営することが困難になった開業医である祖父の手伝いに、同じく医者である父親が赴くことが決まった。


 そこでおれは父親共々祖父のところへと向かうか、一人この家に残って高校に通い続けると言う選択肢を迫られ、後者を選んだと言うわけである。


 あ、別に父親と仲が悪いとかそんなことはないから安心して。たまの休みには様子を見に帰ってきてくれるし、外食とかにも連れて行ってくれるし。


 と、訳のわからない一人語りが終えたところで自分の部屋の前に着き、ドアノブに手をかける。


 そしていつもの如く無造作に開いた。


 だがそれがいけなかった。



「えっ?」


「は?」



 扉の先にはおれの部屋で着替え途中の幼馴染。


 スクール水着はもう脱ぎ去っていて下着も着用済み、だと思う。今は制服のブラウスのボタンを全て止め終わったところで大事なところは全部隠れている。


 が、それは上半身に限った話で、下半身はスカートを履いておらず、下着のみのために健康的でほどよく筋肉のついた太腿や生足はさらけ出されているわけで。



「きゃ、きゃ〜〜〜……」



 そして何故か下ではなく、完璧に隠れている真っ平らな胸を腕で抱え込むようにしてやる気のない悲鳴を上げられた。



「「……………」」



 両者を支配する静寂。

 

 おれは無表情かつ無言のまま、ガックリと膝を床につけ、



「……認めない。認めないぞ。こんなのが世の中の男子が追い求めるラッキースケベの現実だなんて」



 そうぼやいて打ちひしがれた。


 第一回目のラッキーイベントが、こんな何のトキメキもなく終わるだなんて…




ピピッ…

→選択肢B. 自分の部屋に行く

  ↓  

 部屋で着替えている菜々と遭遇

  ↓

 ラッキースケベ?&現実を知る





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