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第十一話, 「畜生、おれの淡い期待を返しやがれ」

今日の朝は日間27位でした!

いやもうほんと、こんなに読んで応援されるなんて初めての経験なので、作者は嬉しさと戸惑いが溢れております。

もっともっと色んな人に、ゆるくてにやける時間を提供できるよう頑張っていきます!





「やっと終わった…」


「あぁ、終わったな…」



 少しだけ心惹かれた夕食の一件から一時間が経過した頃、おれと菜々はもう既に身も心も満身創痍であった。


 台所の(菜々が)徹底的な(やらかした)掃除(後始末)のせいで。



「菜々…」


「な、何かな奏人?」


「頼むから、これからは、金輪際、思いつきで料理するなよ…」



〜〜〜



 中々菜々の台所の片付けが終わらないので、コッソリ覗いてみたところ、そこはもう表現するのもおぞましい地獄絵図であった。


 見るも無残な食材の残骸。


 割るのに失敗した卵。


 ぶちまけられた小麦粉や塩に砂糖。


 もはや原形もとどめていないほど、ドロドロに溶けた液体と異様に中央で存在感を放つブツで満ちた鍋。


 何を作っていたのか聞くとカレーだったらしい。


 え、鍋の中央に鎮座してるのって肉塊なんですけど?うまく調理できたらこのまま食べるつもりだったの?



〜〜〜



「わ、分かってるって〜」


「マジで!頼むぞ!」


「うん。これからは料理もちゃんと勉強するから…」


「お、おう」



 ガラにもなくしおらしさを見せる菜々(本日二度目)にやはり強く出ることもできず、少しまごついてしまう。


 おれこの受け身な態度をとる菜々には弱い?


 ……こいつ、もしやちょっとずつ女の子らしくなってるのでは?



「だから、冷蔵庫にあったアイス食べてもい〜い?」


「畜生、おれの淡い期待を返しやがれ」



 人の夢と書いて儚い、まさに真理だ。



「え、何?」


「…何でもない。アイス食べよ」


「やった〜♪」



 そう言って菜々は躊躇いもなくハーゲン○ッツを二個手に取り、ウキウキ顔でリビングへと向かう。



(……そうだよ。コイツはこういうやつなんだから期待したらその時点で負けだ。よく覚えておくんだ奏人おれ





「ふふっ…」



 いつも通り、変わらない安心感のある菜々の態度に思わず笑いがこみ上げてきた。もうすでに、今朝あんなイベント(告白)があったのかも怪しいくらいだ。


 それからおれもアイス(もちろんハーゲン○ッツ)を取ってリビングに向かった。


 っと、もう21時前か。



「菜々、それ食べたら家に帰れよ。送ってくから」


「え〜、面倒くさいから泊まっちゃダメ?」


「ダメだ。恵さん(菜々の母親)だって心配するだろ」


「だいじょぶ、だいじょぶ。ママなら分かってくれるだろうし」


「着替えはどうするんだよ」


「制服だし」


「下着とかは?」


「あーーー……あ!これでいいじゃん!」



 そう言って菜々が引っ張り出したのは二時間ほど前に着ていたスクール水着なわけで。



「アホ、いいわけないだろ」


「ぇえ〜〜〜」


「『ぇえ〜〜〜』じゃない。子供か」


「頑固だな〜、美人な幼馴染が泊まるって言ってんだから素直になればいいじゃん」



 スプーンを口に咥えたまま堂々とそんなことを言ってのけるあたり、こいつの頭の中はお花畑なんだと思う。


 じゃあもうちょっと美人らしくあれよと切に願う。言っても無駄だから言わないけど。


 仕方がない。切り札その①を出すか。



「なあ菜々」


「な〜に〜?」


優作さん(菜々の父親)元気にしてるか?」


「うん〜、元気にしてるよ。相変わらず厳しいけどさ」



 そう、菜々の父親である優作さんは穏やかな見た目とは裏腹に、厳しい面も多くて怒るととても怖い。(過去の経験談)



「そうかそうか。じゃあそんな優作さんが、……娘が男の家に泊まったって知ったらどうなると思う?」


「ん〜〜〜……奏人がられちゃう?」


「お願いします。今すぐお家に帰ってください」



 切り札その①、全然使えない諸刃の剣だったわ。





次話、ほんっとに『悶え』、『尊死』が必至であると思われます。

お楽しみに。




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