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解体

いつになったらバトルシーン書けるんだぁ!!

「……ひとつ、ミーナさんが敵に邂逅してよかったことがあります」

 少しだけ口角を上げて、レネが呟く。

その顔はお世辞にも名家のお嬢様がするような表情ではなかった。

しかしクールビューティーという表現が最も似合う彼女の顔面の造形故か、それとも性格のせいか、とても似合っているように見えた。

「良かったこと?」

「まさか分からないとは言いませんでしょう?」

 にい、とさらに口角が歪に引き上げられた。本当に人の悪い笑みだ。

彼女の家系は操術死。そして操る対象には。

「情報は、私の最大の武器ですわ」

楽しげに笑うレネは本当に美しいと思う。今彼女から振り撒かれているのは毒花のように危険を肌で感じる種類の美しさだが、危険だと分かっていても触れたくなる魔性に近いものさえ感じる。

「体格、容姿、声……何でも構いません。その情報があれば、確実に個人を特定して見せますから」

「ヒュ~♡本当レネは敵に回したくないねぇ」

「私がノンの敵になることはありませんわ」

「断言かあ」

少し黙り込み、もう一度どんな姿形だったかを思い出す。手刀を当てられる前に少し会話できたのは僥倖だった。

「マントとフード越しだけど……女性で、背丈、は私より五センチくらい高い。声は少し低めだけど、やけに甘いというか……聞いただけで女の人だってわかるような。体格は良いと思うけど、一切鍛えてない。目は銀色だった。あとは……とても、美しい人だった」

 淡々と得た情報を述べて、その後ふと思い当って喉を鳴らす。

「『私に何か御用ですか?』……こんな感じ」

「うわ甘っ!なるほどねぇ、言ってた意味わかった~。というかミーナの声帯どうなってんの」

 ホーネティアは回復に優れた家、人体にも精通している。構造上不可能な声以外は大体再現可能だ。まあちょっとしたお家芸である。これが披露された試しなど一度としてないが。

さてこれでどうだろう、とレネの方を見てみれば、顔面蒼白の直前で踏みとどまっているような、そんな恐怖に近い表情を浮かべている。

「……フィアノ・ネクロディア」

「フィアノ?」

「死体操術の天才と(うた)われ、最も人間のネクロマンスを達成する可能性があるとされた女性ですわ」

「確定~?」

「この情報に合致する人間が他に居ませんもの……」

 特定が完了したというのに、レネの表情は晴れない。逆に父親の浮気を見てしまった娘のような……『知りたくない事実を知ってしまった』風の表情が顔に居座っている。

「どしたのさ、レネ」

「最ッ悪ですわ!よりによってどうしてフィアノなんですか!」

 相当取り乱しているらしく、ノンに対してもかなりキツくあたっている。さすがに傷ついたかと思いきや、ノンがにやりと笑って見せた。こいつ、レネのキャラ崩壊を楽しんでやがる。

そしてノンの表情に気づいたレネも慌てて姿勢を正し、

「通常、対死体操術師の際に狙うべきは魔力切れ。これはもう言いましたわね?」

「うん、すでに聞いた」

「対フィアノの場合、この前提が崩れます」

「うっそでしょ!?」

「本当だからこうなってるんです!」

なるほど、俗に言う燃料切れ戦法で行く予定が根本から切り崩されたと言うことか。

でも、一つ疑問に思うことがある。レネの情報を聞く限り、死体操術は通常の魔法よりも遥かに多くの魔力を消費し続けるはずだ。

そんな大技に対して『燃料切れが望めない』なんて事になるとは考えにくいのだが。

「……大体貴方が何を考えているか予想がつきますわよ。理由は単純、生まれつき馬鹿みたいに魔力量が多かったのですよ。そして、その魔力量にものを言わせて大規模な実験を連発していたから、研究があんなに進んだのですわ」

「……なるほど」

 魔力量のバケモノ、ということか。そう言われれば信じることはできる。

なんせ、ホーネティアにも魔力量の化け物がいた。他ならぬ私の妹だ。

「ならネクロを完全に無効化する方法はぁ〜」

「魔力元を潰すか、術式止めさせる」

「そうなるねぇ。レネ〜、これ捕縛無理そうだよ?」

「うう……わかりましたわ。生死は問いません」

「「了解」」

 さて、相手の名と大体の特徴は掴めた。

ならば次にすることは。

「会いに行こっか♡」

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