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君はまだ見えている。  作者: へびいちご
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綺麗な桜と汚い桜

1章 汚い桜と綺麗な桜

「なー!なー!これちょっと見てくれよ!」

と、教室中に響きわたった。

桜が満開のこの季節…別れとは別に出会いがやってくる。

窓を開けると 勢いよく桜が入ってくるように教室に入ってきた。

当たり前だがコイツは桜のように美しくない。寝癖とはみ出したシャツ…相変わらずだらしない格好と、クチャクチャの雑誌?

「新学期からうるせーなあいつ」

と、俺はボソッと言った。

「あー、海斗やろ?小学校から9年間クラス同じだわw」

と、隣の席のゆうきが言った。

海斗の周りは、蟻が餌に集るように埋まっていた。蝉を襲ってるように うるさかった。

こんなに人が集まっていると自分も気になるに決まってる。

「おー?ふみや!おはよおはよ!」と、海斗は嬉しそうに向いていた。

「なー、これ見てみろよ!昨日拾った雑誌を見たらな…?」

指差しているところを見ると

そこに写っていたのは半透明の人間の写真だった。

あー、くだらね。

俺はお化けとか 妖怪とかは信じない派の人だった。てか、雑誌とか拾うなよ汚い。

「この写ってる人…死んじまったんだってよ」

「えーっ 嘘ー こわいい。」

ざわついている。

幽霊だし、死んでるのは当たり前じゃね…?

そんな事を思いながら

俺は窓側の席にもどり、窓を開けた。

今度こそ 綺麗な桜が入ってきた。

「おー!ふみやの新婦!詩月様の入場です!」と、海斗がまたいらんことを言った。

てか、結婚式みたいに言うなや。

「なー!なー!春休み何処か行ったの?」

「桜の花道とか二人きりで通ったり…?」

「え?もーキスは済ましたよね。?」

と、質問責めをされているのが俺の彼女の詩月だ。

「え、んー?」と答えに戸惑っていた。

そりゃそうだ、この春休み 誘っても断られてしまったり。連絡がなかったから そんなことしてないのだ。

「おいおいおい?お前ら付き合って2年経つやろ?まだ、まだ、まだ、なのかよおおおおおおお! お前らもう別れちゃうんじゃねーのか?」と、笑いながらまた言うのは海斗だ。

「んなわけねーだろ。別れねーよ。」と、自信を持って言えなかった。

そりゃそうだ 春休み 連絡が取れなかったからだ。

「キーンコーンカーンコーン」チャイムだ、8時30分にしか鳴らない意味のない鐘の音。

蜘蛛が目的を無くしたように、蟻のように集まってた皆んなは もとのポジションに戻った。

「集会は、8時40分からです! 時間厳守でお願いします!」 学級委員は言う。

さぁ、お尻が痛くなる 地獄(集会)のスタートだ。


同じことの繰り返し


「静かになるまで、5分!かかりました。」

毎回これを言われる。

この時間が無駄。俺の尻はもう限界に近いていた。 ここで現れるもの、

「ブッ!」

そう、屁をこくやつ

うん、もう 誰がしたかわかる。海斗だ。

勿論笑う。いや大笑い。いや大爆笑。毎回かましてくるくせに 全然慣れない。

そりゃそうだ、うずくまってるし、顔真っ赤だし、煩いくせに 恥をかくのは嫌いらしい。

我慢をしても口からもおならが出そうになってしまうので 我慢せずに笑ってやった。

「こら!そこ!静かにしろ!」

うん、この代名詞も集会で毎回いわれる。

ん、そろそろ、そろそろ、俺の尻も赤くなり始めてるだろう、痛い。ヒリヒリする!

周りを見渡すと、これもいつも見る光景だ。

沢山の橋がみえる。 この橋はただの橋ではなく、橋がうまく作れない人が作る橋の体制だった。

皆んなの目は死んでいる。そりゃそうだ、だって180分聞きっぱなしはなかなかきつい。

さてさて、そろそろ俺らのランチの時間…

あれ?

「9時ごじゅうにふんんんんんんんんん!」

と、声に出てしまった。

皆んなは キョトンとした顔で 自分の心を見ている。

どうやら皆んな、同じことを考えているみたいだ。心の中の声を俺が代表として、喋ってしまったからだ。

「数分で話を終える先生って俺好きだわぁ」

ゆうきは 俺の心を読み取れるのか…?

さぁ、やっと 校歌の時間。立てる!

「〜広田中学こぉ〜。」

校歌を終えた。この立った効果は、硬化のように固くなった尻を癒してくれた。

「えー、これで始業式を終わります。終わりましょう。」

「おわ……ょう。」 と、皆んなの声は死んでいる。

「もう一度やります。終わりましょう!」

「終わりましょう!!」 2回目はなぜか元気。

だが、ここで終わりではない。

こんな簡単に集会は終わらせてくれない。

「座ってください。」 と、司会の先生

なぜ?なぜ座る必要がある!もう終わったんじゃないの!? と、皆んなは思っているだろう。

自分が詩月と一緒にいる時間…それは雲のようにすぐ流れてしまうのに、集会や授業は流れるのは涙だけで、なかなか雲は流れず日を出してくれない。だから雨が降るのか。

楽しい事をしている時の時間はあっという間に終わってしまうのに、なぜだか退屈なとき 授業中や集会などの時はなかなか時間が過ぎない。これも誰もが共感できるだろう。



中学3年の最初のテストといったら学力テストだろう。

そのために皆んなは、某S塾に通って春期講習を受けていただろう。

俺は 某S塾が嫌いだから 地図にも載っていない塾で力をつけた。そのせいで散々馬鹿にされた。

「1時間目…国語のテスト 開始!」

国語のテストか…これも運ゲーだよな。だってマークシートだもん。鉛筆に番号を書いて転がしている。

これがまた当たる!⚠︎真似しないように。

春休み中に力をつけた意味はあったのだろうか…。

「終了」

テスト終了後は、恒例の答え合わせの時間。

「詩月…あの問題どこにした?」

「え!だよね!よかったぁ~」

あれ?俺と答えが違う。不安になる。

「ふーみや!なな!問16の問題 どこに印つけたー? 俺一応考えて 2に印つけたんだよねー、お前どうだ!?」

…同じだ。海斗と同じ…これもまた不安になる。受験では絶対に答え合わせはしないようにしよう…。

「2時間目 開始!」

今回はシャーペンでやった。

「てれてーん。次の放送を聞いて、〜…から選びなさい。」

リスニングだ、8個の問題で、配点は2点。

要するに点取り問題。

のはずだが…

「gdujmpwjmpupdpwgt」

ごめん。なんて言ってるかわからない。せめて日本人でして欲しいと思い。結局 「勘」 で答えを書く。

「終了」

そしてテスト終了後の恒例の数学の公式の確認

「え!?因数分解って〜〜だよね!?」

お、これは知らなかった。ありがとう。

たまにこんな得することもある。

「なーなー!ふみや!さくらんぼ計算ってこれであってるっけ?」

余計な事を頭に入れるな俺…!!

たまにこんな懐かしい公式?をおもいだされる。


数学開始!

お、因数分解…。 ん。 あれ。 なんだっけ。

えっと。んー、えー こうかな?

あれ違う。消さないと…あれ?消しゴムがない。

落ちているのを見つけた俺は取れる距離だったので自分でとった。

その時。

「おい」

びくっ! やべ、監視の先生にカンニングと疑われたか?

「小桜…?どうした?」

「あっ いや 何でもないです…すみません。」

声が震えていた。それといつもの詩月らしくない表情だった。

終了

3時間の学力テストが終了した。

そして、また恒例のこの言葉を言う人がいるだろう。

「あ〜!!テスト…2つの意味でおわったぁー!」 伸びを交えた声だ。

俺もいろいろ終わった。

「なー!なー!ふみやぁぁぁ一緒に帰ろ…うそくが燃え尽きるまでしか君と会えない。だから一緒に帰ろ!」 こいつなんやねん。

だが、断わった。なぜなら。?



川の流れ、春の土手は凄く好き。

この暖かい感じ。俺は学ランを脱いだ。

俺は今 詩月を横に歩いている。

「久しぶりだねー!一緒に帰るの!」楽しそうな声

「そうだなー。春休み何も会えなかったし」と、俺は安心して言えた。

「あー、ごめんね。今年受験じゃん…?だからお母さんに勉強を優先的にやれって言われて…。」

「そかそか、もう受験の年か。早いもんだなー」

そうか、もう俺らは受験生。

「なー、詩月?お前は志望校とか決めたのか?」

笑いながら

「んー。行きたいところもあるし、やりたい事もあるけど…行けるかわからなくて」

「そかそか」

俺は何も決めてないな。何をやりたいんだろ。これから将来早く決めないとだな。

羨ましい。将来が決まっている人は。

そんな事を思いながら 気づけば桜道を通り抜けていた。

あっ ふと思い出した。

「そう言えば詩月 お前テスト中 なんか見たのか…?」

「あぁ〜 あれね… んー、カレンダー見てたの」笑いながら言った。

カレンダー!?ま、まさか他に相手がいて、その予定を確認してたのか…!!

これは早く確認しなければ…と思い

「な、なんで…?カレンダー…!?」

も、もう呂律も回らなかった。

「え…?、だって修学旅行楽しみじゃん!」


あ…!



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