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よん


 わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって。わかって?

 ねえ、わかって?

 私のことを理解してほしいの。


 どれだけ必死であったかを、届かないことを覚悟していながらも、わかってもらいたくて叫んでしまっていた。

 その行為の愚かさは、その好意の愚かさは、わかっていたはずなのに。


 そうね。それこそ、そうね。

 もっとわかるべきなのは私だって、わかっていた。


 だけど私も私なりに懸命だったの。

 これは過去形にするのも不快なことね。

 今だってそう。今でもなお、そう。

 私も私なりに懸命なのよ。


 愛に飢えた君の()に、愛に飢えた私の()を注がせて。

 たとえそれが間違っていたとしても、私たちの愛が消えないように。


 いっそ、いっそ君の空っぽの心がそこになくても、私の在らぬ愛は君に注がれていくようであった。

 たった一人でも、私は愛を囁けるようになっていた。


 錯乱しているの。

 何が愛か、もうわからないの。もう忘れてしまったの



 あと少しで、愛というものが過去に存在していたということまで、忘れてしまいそうだった。

 忘れてしまって、忘れてしまって、思い出す術を失ってしまいそうだった。


 いいえ。忘れているということさえ、忘れてしまう日も近いのね。

 思い出そうとするどころか、思い出すべきものがあるだなんて、記憶の片隅にさえ残らなくなってしまうのでしょ。

 それくらい、私の中から愛は存在を消す。


 だけど私が愛に飢えた生活を過ごしているのと同じくらい、君だって、誰だって愛に飢えた生活を過ごしているの。

 あの人を失ったあの日は、誰にとっても同じ日だもの。

 あの人を失ったあの日は、誰にとっても同じだもの。


 何を信じていても、何を愛していても、皆が同時に愛を失ったの。

 それからずっと愛に飢えているはずなの。


 どんなに取り繕ったところで、皆、私と同じなのよ。

 あの人の存在の大きさということは、そういうことだったのよ。

 気付いている? 気付いている。気付いている!

 誰も気付かないふりをしているのか、もう既に忘れてしまったのか……。


 そうしたら、愛を失っているようで、私は真実の愛が存在したことを覚えている、貴重な存在なのかもしれないわね。

 そんなのって馬鹿みたい。馬鹿みたい。



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