表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6


 駄目ね。私ったら、きっと愛に飢えていたの。

 何が愛なのかって、わかってなかったのね。


 私だけじゃないわ。

 君だってそう。皆だってそう。

 だれもが愛に飢えていて、だからだれも愛を知らなかった。

 わかっていなかった。


 この世界で本当に愛を知っていたのは、あの人だけだったのよ。


 最初からそうだったんだ。

 そうに決まっていたんだ。


 だから人々はあの人に愛を求めた。

 あの人の傍にいれば、愛がもらえると思っていた、愛が手に入ると思っていた、愛を知る日もやって来るのだと信じていた。

 あの人だからこそ、そんなことはわかっていたのに。


 愛を知っているつもりになったのよ。

 偽物の愛を、偽りの愛を、愛だと勘違いさせたのね。


 唯一、本当の愛を知っていたあの人が、もういなくなってしまったものだから、正しい愛に導いてくれる人だっていないんだわ。

 皆がそれを愛だと信じれば、それが愛になったんだわ。


 だから求めたのね。

 愛とは違うものだって、愛と似た姿を持つそれを、求めたのね。


 あの人のいなくなった、つまりは愛がなくなったこの世界で、私は瞳を瞑って愛を待っていたの。

 叫んで、叫んで、叫んで、君に届くと信じて、君に届けと叫んで、私は愛を待っていたの。


 愛してる。愛してる。

 言葉に偽りはなくたって、真実と信じるそれが実際の真実とは違っていることを、あの人がいればだれも気付いただろう。

 本物が隣にあったなら、気付いたことだろう。


 けれど本物が存在しないなら、代わりの本物だって、本物になれるのよ。

 それでも私の本物は、君の心には届かなかったのかしら。


 馬鹿みたい。馬鹿みたい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ