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ー次に目覚めたのは、暗い牢獄だった。いやいや、夢じゃないか?私は死んだはずだ、あの美しい少年と。私は疑い、ひたすらに壁をなぞっていた。手は確かに、ウツボカズラの爆発の炎症を負っている。
一日にニ回、忙しく小窓が空いて碗が飛び込んでくる。今日はぬるいシチューか。まあ、まずくはない。前日の雪原地帯からそのままこねて持ってきたような、霜がついた嫌に冷たいハンバーグよりは遥かにマシだった。
ー私は死んだはずだ。死んだよな?間違いなく。これが死後の世界か?死後の世界は「無」であるはずなのに。感情があるのは許されない。責任者を呼べ!そんな気持ちだった。
ーそれから、どれだけの時間が過ぎたか。私は分かり得ない。時計を持っていないからだ。しかし、それは確実に起きた。
「今井死刑囚!気分はどうだ?」
少年の声だった。一言で表すなら、美声。それ以外に表現のしようがない。
「..!!島根少尉!!」
「落ちぶれず毎日を全力で生きろ。人間、寿命で死ぬのが本望だぞ。...まあ知らねえけど」
そう言った彼は。至って中性的な見た目だった。黒髪を一本、後ろで三つ編みにしていた。
再び、二つの真珠が爆破魔を見つめている。
百戦錬磨、軍少尉の最年少だ、少し威圧もされはする。
「...は。ありがたきお言葉。」
「どうやってウツボカズラを乗り切ったか知りたいか?」
そう言って、少尉はいじらしく笑う。
「答えていただけるのですか?」
私は息を飲んだ。仮に自分が死んでないとして。もしここがDSR内の刑務所だとして、その解答によっては、脱獄の可能性を孕んでいるからだ。
私はアノ ウツボカズラを大量に体内に飼っているのだから。
「空気だよ」
しかし。彼の言葉に、私はキョトンとするしかなかった。
「...空気...ですか?」
「そう。この世界の二酸化炭素の流入源は?」
「政府塔の酸素供給バルブです」
「そう。人工物だ。だから俺の翼で刈り取れる。」