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エピローグ 雪岡一花の場合
「何か嬉しいことでもあったのか?」
一花は満面の笑みを浮かべていた。
「うん。思い出しただけで顔がゆるむようなことがあったの」
「雷二郎に告白でもされたか?」
桂は冗談を言った。
「そうだよ。お姫様抱っこされながら、告白されちゃった」
「それは嘘だろ」
「本当なのに」
一花は、この日に戻れてよかったと思っていた。
「一花さんは、成績は特に問題なし。部活はやっぱり入る気はない?」
「ないよー」
桂はクラス名簿に目を向けた。
「あー、それでな。唐突で悪いんだが、二学期に校内合唱コンクールがあるだろ? それのピアノの伴奏頼めないかな?」
「いいよ。やる」
「いいのか? ピアノはやめたって聞いてたから、てっきり断られるんじゃないかと思ってた」
「一度は断ったよ。でも私も前に進まなきゃ。でないと、月夜に置いて行かれちゃう」




