表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今日の1ページ ~青春~

作者: おおあまな

今日も1日は過ぎて行く。

なんとなく、過ぎて行く。



「これから部活じゃん」

「それなー」

こうして私と瑠璃は部活へ向かう。毎日同じ会話を繰り返していることなんて、全然気にしていない。

「お願いします」

「お願いします」

体育館の入り口で声を揃え、早足で荷物を置く。

「こんにちはー」

「ああ!こんにちわ!」

先輩はいつも元気に挨拶を返してくれる。

いつも通りの部活が始まる。


瑠璃は生まれつきスポーツに恵まれている。

といっても、きっと大人たちは「努力の量が違う」などと言うのだろうけど、私とは根本的な何かが違うのだろう。

それに比べて私は何も出来ない。学年が同じなのだから入部した時期も同じはずなのに、瑠璃はどんどん進んで行ってしまって、今にも追いつけないところまで行ってしまいそうだ。

私は瑠璃が大好きだ。

私にはないいろいろなものを持っている。

そんな瑠璃がどんどん遠くへ行ってしまうのを目の当たりにして、内心とても焦っている。なんて誰にも言えない。


「ありがとうございましたー」

「ありがとうございましたー」

声を揃え、礼をする。部活終了の挨拶だ。

「麻希ーかえろー」

「おーう」

はたから見たら素っ気ない会話でも、長年一緒にいた私たちは通じ合える。自慢の親友だ。

汗臭い身体を気にすることもなく、気怠さと少しの解放感に包まれながら学校を後にする。いつもの道を歩く歩く歩く。

犬の話、学祭の話。くだらない会話を時間を気にせずに弾ませることができるのは、家の遠い生徒の特権だ。

「麻希、あのさ」

「んー?」

「最近部活どう?好き?」

「まあまあかな。」

「そっか」

「瑠璃は?」

「あたしもまあまあ。」

「だよねー」

きっとほかの部員に尋ねても、同じような答えが帰ってくる。

「でも」

瑠璃が遠くを見つめて口を開く

「頑張ろうと思えるようになってきたかな」

「そっか」

「うん」

瑠璃は続ける。

「あたしね、正直、人間関係とかもうめんどくさいじゃん。でもバレーはやりたいから。誰にもなにも言わせないくらいうまくなりたいんだよね」

瑠璃らしい。負けず嫌いの瑠璃らしい答えだった。

「なんだよそんな真面目にー」

「うるさいなーもう」

顔を見あわせて、声を上げて笑う。

「瑠璃ががんばってるとこ好きだよ。私も部活めんどくさいとかいうけど、なんだかんだ本気になってる。」

きっと追いつけないかもしれない。途中で投げたしそうになるかもしれない。でも、私は瑠璃を応援するよ。そう気持ちを込めて。


「がんばろうね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ