ムーブフォーレストのボス
ユリが起きた時にはミナと、アイはすでに起きていたが何故か、遠くでうずくまって、震えている。
「あ、起きたな~。さっきは悪かったな~。」
「私がお願いしたから謝る必要ないよ。で、どういう事?これ、」
と、ユリはアイとミナを指す。
「あ~、実はユリ達が寝ている間に、森のボスが来て招待状は渡してきたんだな~。」
と言って白色の葉っぱを取り出した。詳細を開くと
森の招待状
この招待状を持つプレイヤーはボスモンスターに勝たなければムーブフォーレストから出る事ができません。
と書いてあった。
「マジで!でもどうして、くれたの?」
「トレントイベントクリアでもらえるらしいんだな~。」
ユリが思い出すのは、昼食の大漁トレントだった。
「あの周り囲まれた時のあれ?」
「そうだな~。本当は、全員倒さないといけないみたいにだけど、殺気で全員逃がしていた事で敵として認めてくれたんだな~。」
ぬるい設定だなと思いながらユリは質問を続ける。
「で、何で?2人怖がってるの?まさかボス相手に怖じけずいたとか?」
「半分正解何だな~。ボスという肩書きじゃなくて、そのボスの姿が大蜘蛛だからだな~。」
「なるほど、2人虫嫌いだもんね。」
ようやく納得がいった。いつもは2人は頼もしいが、虫が関わると、とたんに何も出来なくなるのだ。
「で、その蜘蛛倒してレアドロップアイテムが欲しいんだな~。」
レアドロップアイテム、ボスモンスターから手に入る武器の事で、ダンジョンアイテムより、威力が低いがそこそこ強い。
「確かにサンの武器ちょっと弱いもんね。」
そう、サンの武器はスキルがなく、攻撃力8と中途半端しか無いのだ。新たな武器が欲しいのは当たり前だ。
その時引っ掛かりを覚えたが、別段どうでもいいかなと思い忘れた。
「じゃあ、私達2人で行く?」
ユリも、参謀を目指す者としてボスとの戦いは見過ごせない物なのだ。
「是非頼むな~。ユリが虫嫌いじゃなくて良かったな~。」
夕食を食べ終えると、サンとユリはボス戦に向けて準備をすして出発する事になった。
「本当に行っちゃうの?」
アイが心配そうに見送りに来た。サンはそんなに心配なら付いてくれば助かるのにな~。と思ったが、誰にだって不得意はあると思い言葉を飲み込んだ。
「どうせ、ダンジョンでボス戦するんだし、いい経験になるよ。」
「大丈夫だな~。僕がユリを守ってみせるな~。」
一見完璧な死亡フラグに聞こえるが、サンの規格外の強さにとっては本当に雑作もない事なのだろう。
「ユリが死んだら、あなたがを殺すからね。」
と言ってファイヤーボールを用意する。その姿に顔を引きつるサンとユリ
「ミナさんの考えてる事は起きないと思うな~。」
「サン早く行きましょう。日がくれちゃうわ。」
場に堪えきれないように出発したのだった。
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森の深くに巨大な神殿があって、そこがエリアボスの決戦場らしい。
そういうとサンとユリは神殿に足を入れ転送された。周りは松明で囲まれ、さしずめ何処かの洞窟のようだ。
「ここどこ?」
【よく来たな。挑戦者よ。】
ユリの言葉を聞いて姿を現したのは、大蜘蛛・ヘルタランチュラだった。
「招待状貰ったら来るのは当たり前だな~。」
ヘルタランチュラは苦笑しているようにこき答える
【普通は怖じけづくものだ。】
サンはその苦笑にジト目を返す。
「でも、招待状持っていたら森出れないな~。」
その言葉に驚いたようにヘルタランチュラは後ずさる。
【捨てれば良かったではないか。】
「「あ、」」
今度はサン達が驚く番だった。確かに招待状には破棄不可能など一切書かれてなかった。
【まさか知らなかったのか?】
「うん。」
長~い沈黙、気まずい雰囲気が漂う。もちろんサンは初めから戦いを望んでいたが、出来ることなら戦いたくはなかった。
【もうここに来たからには逃げられない。まぁ、いい。始めよう、血と肉が踊るバトルを!】
人工知能考えるの辞めやがったなっと思いながらため息をつくサン。
「主にお前のな!」
ムーヴフォーレスト最後の戦いが始まった。
本日2話目