テントと家族
そしてその後多くのウッドトレントとの戦いをして遂にムーヴフォーレストに到着した。が、すでに暗くなっており、野宿する事になったが、その時、うっかり今まで気づかなかった1つの問題が出た。
サンがラビットの肉で夕食を作っているすきに、女子会議が行われた。
「私達テントが1つしかないんだけどどうする。」
そう、テントが1つしかなくサンの処遇が決まっていないのだ。
「師匠も一緒に入れてあげればいいじゃん。師匠って性的な事あまり考えないみたいだから。」
「そう言えばかなり性に貧欲だね。だけど、お母さんとしては嫌だな。貴方達が心配だもの。実は心に野獣を飼っていた、何て嫌だからね。」
「お母さんは心配症だね。それに私は心に野獣を飼っていてもいいな。」
「なに~。さてはアイちゃんサン君に恋心を持ってるの~?」
「もうっ!そういう意味じゃないんだから。それにサンに外で過ごせって言うの?冷たいよ!」
「それは・・・だったらトレントの皮をカマクラみたいに作ってその中で過ごして貰うのはどう?」
「もう夜中だよ!今から作るの?朝になっちゃうよ!それに、トレントの皮も足りてない!これから狩るの?明日もここで夜営になっちゃうよ!」
「アイ、それ以上はサンに聞こえるよ。」
するとエキサイティングした空気が冷める。サンは背中は向けており、気付いてないようだ。
「最後はユイね。」
「お姉ちゃんは、私の味方だよね?」
「ユリはお母さんの味方よね♪」
ユリは自問自答するどうしたいのか?そして思い出した。サンの言葉を
その瞬間答えは決まった。
「私は、入れてあげたい。」
その言葉にアイはガッツポーズする。するとミナが考えを改めさせようとする。
「あら、ユイは入れたくないって言うと思っていたのに、どうしたの?」
「いつもケンカしているからといえ、仲が悪い訳じゃないんだよ。後、ここではユリだよ。」
「1回は聞き逃したのに。はいはい、分かりましたよ~。それじゃあユリはサン君とケンカよく・・・ああ、それでユリとサンはケンカするほど仲がいいって言うわけね。もしかして性的な事が理由で?」
「ねえ、お母さんは性的、性的言うけどさ。私の理由はそうじゃなくて・・・」
「そうじゃなくてって何の事かな~。」
「「「うわぁ~!」」」
急にサンが来たせいで話が終わってしまった。
「料理出来たから、呼びに来たんだけど?」
「師匠話聞いてましたか?」
「だから何の事かな~。」
「あ、聞いてないならいいんです。」
「今日はラビットの串焼きだな~。自分で焼いてBBQ風」
「美味しそう~!食べよう!」
「アイ、1人2本だからな!」
串焼きを食べ始めてしばらくしてだった。
「そう言えば夜の警戒どうするのかな~?」
サンの質問にミナは思い出したように手を叩いた
「あー夜の警戒忘れてた。モンスター来るかもしれないしね。」
そうこの世界ではモンスターが夜だろうが見境無く襲ってくる。なので必ず1人は見張りをつけなければならないのが常識だとアイが気絶したときに使った宿のおばちゃんに教えられたのだ。
「何なら僕がしようかな~。僕なら殺気を当ててモンスターを遠ざけられる。もし近づいたら、起こすからな~。」
「確かに適役かもね。じゃあお願いするわ。」
ミナはテントの問題が片付くと思い夜の警戒をお願いした。その様子をアイは悔しそうにユリは切なそうに見ていた。
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その夜の事だった。月明かりに照らされていたサンはユリが近づいているのに気づいた。
「何だ、夜更かしは美容の敵だろ。」
サンは冗談目かして微笑しながら言う。微笑出来るほど余裕のようだ。
「うるさいな。起きているかどうか、見に来てあげたのに。」
要らない心配と言わんばかりに手を降って答える。
「こういう時ありがとうって言えばいいのかな?」
「それを言うべきなのは私だよ。」
「何の事だ。」
いきなりの事で不思議な顔をするサン。
「惚けないで、テントの話聞いてたでしょ?」
「そんな話いつしたんだ?」
「はーい、分かったから今回の話何を聞いても否定するんでしょ。じゃあしばらく黙って私の想像だと思って聞いていて、」
「いいぞ。」
「理由は3つまず1つ目、今回あまりにタイミングが良かったの、テントの話をした後に本人がテントの話を解決するなんて出来すぎ。まあ、たまたまと言われたらそれまでだけど。
で、2つ目、アイはサンに淡い恋心を抱いているの知っているわよね。」
「何となくな。アイは分かりやすいから。」
サンは面倒な顔をする。
「じゃあ夜営をアイなら恋愛フラグ的に考えていたのかもしれない。さらに今回の移動の準備をしたのはアイ、だからテントをわざと1つしか用意してなくてもおかしくない。
つまり、前からこうなることが予想出来るの。だけどこれも予想していなかったと言われればそれで終わり。」
「結局2つとも決定打にかけるな。」
サンは笑いながらそういうが、そこまではユリは分かっていっている。
「でも次は言い訳が出来ない。夕食の問題」
「夕食の問題?」
「そう、テントの話は夕食時に話し合われた。つまり夕食を作って時あまり音が鳴らないようにすれば聞こえる。
極めつけは夕食は串だった事。生肉だったから、串なら刺すだけだから、あまり音が鳴らなくて聞き取りやすかったはず、さらに串の量は1人2本と少なかった。なのに、時間がかかりすぎた。つまり出来た後、すぐに呼ばず話を聞いていた事になる。弁解は?」
「無い。」
サンはそうきたかと、渋々答える。
「そう、じゃあ今夜最後の謎解き、話を止めたのはサンの家族の話をしようとしたから?」
そう、ユリがサンを入れてあげようとした理由は、サンに家族がいなかったから。アイとミナはサンに家族がいない事を知らない。何故家族の話を言いたがらないのは想像出来ないが、きっと言いたがらないのはいい思い出が無いからだとユリは思っている。多分当たらずとも遠からずだ。
だから家族の暖かさを教えてあげたかったのだが、そうするとアイとミナにサンが言わない事を勝手にユリが言うことになってしまう。サンには、それが大きなお世話だったのだろう。それで止められた。その事をユリはサンに告げたすると、
「正解。」
と答えた。ユリはすまなそうに、手を合わせた。
「ごめんなさい!・・・ねぇ、いつかサンの家族の話聞かせて?」
それでもサンの事が心配なのだ。余計な事だと分かっていても、いつか分かち合えると信じて
「・・・来るべき時が来たらな。」
月を見上げて、サンはそう言う答えるのだった。
かなり下手くそになりました。