サンとアイ
決闘が始まって静寂が保たれたのは何秒だったろう確か1秒も保たれなかったはずだ。fightと電子音が鳴ってサンwinの音はほぼ同時と言っていい。気付くとアイの背後にサンがいてアイの横腹に赤いフェニクトが付いていた。
そこからが大変だった。なんとアイはサンに土下座をしたのだ。しかもサンの攻撃で言われたようにサンの正体を思い出したようでリアルの名前で謝罪をした。
「すいません。斎さんだったとは知らず、つい自分の事ばかり考えてしまい数々のご無礼いたしました。どうかお許し下さい!」
「はいはい許すから、土下座止めて、名前サンに戻してくんないかな~。」
遠くから見るとヤクザの子分が幹部に何かやっちゃったのかな?と思われそうな風景だが、すでにサンは口調が戻って、さっき感じた負のオーラがなくなっており、怒っていそうな気配がない。しかしアイの思いは留まる事を知らず。ついには、
「この命で許される物なら命差し上げましょう。」
と言って切腹しそうになったのだ。さすがに3人で止めて「今回は許してやるから命粗末にするな!今度はないからな!」とサンが言って見ると「有り難き幸せ!!」と言って勢い良く土下座、見事に地面に頭突きを食らわせた。当然地面が割れる事はなくアイのHPゲージ赤色に突入。気絶のデバフがつき宿まで運び気が付くまで看病する事になった。
「アイが気が付くまで色々整理しようね。」
ユリの提案にミナも賛成した。サンは全部分かっているのだがすでに話始まっており、抜け出せそうになかった。
「アイとサンは知り合いなんだよね?」
「ああ、アイちゃんと僕は両方とも剣道の試合で全国大会出場者だからな~。それでこの前の全国大会で初出場で1年生ってどんだけ強いんだろうな~。って思って夏季合宿の時試合してみたら型がちゃんと出来ていて応用もうまい。
しばらくして胴一発で終わらせて勝ったらいきなり弟子にしてくださいってやって来たんだよ。しかしこっちも練習しないといけないから、それで仕方なく1回稽古付けてやったら習得のスピードが早くて希望の新人だな~。と思って覚えてたわけだな~。」
「じゃあ何でアイは師匠である貴方の事分かんなかったの?」
「それはな~。練習の時も面着けていて顔見せなかったし、会場や、試合の時口調変わるからな~。この口調でアイちゃんと話するの初めてだったからな~。後、アイちゃんを弟子にしてないからな~。」
その時、黒い影が1つ
「だったら改めて弟子にしてください!」
と言って土下座しようとするアイであった。さすがに3人により止められたが、
「わ、わ、分かったから弟子にするから、もう土下座するな~!?」
これ以上土下座されてはたまらない、サンは仕方なく弟子にしてやるのだが、更なる問題が現れた。
「じゃあ、明日からパーティーとして一緒に居ましょう。師匠!」
「えーと、出来ればサンさんといってほしいな~。」
「駄目です。師匠はアイの一生の師匠なのでサンさん何て嫌です!それにサンさんって33と読み方一緒じゃないですか!呼びにくいです!」
「日頃から33を言わないと思うな~。それに正確に言えば読み方一緒でも発音が違うな~。」
何とか弁解しようとするが後半がおかしな方向にいってしまった為あまり説得力がなく、更にはユリまでもが、
「それなら、私はサンって呼び捨てでいいよね。」
「ユリはサンさんっと言ってほしいな~。親しき仲にも礼儀ありって言うからな~。」
ユリは流石に止めようとするが残念ながら聞き入れられなかった。
「アイと同じで言いにくい!それにサンと会って1日もたってないじゃない。つまり親しくない、よって礼儀何か使わないわ!
それにサン言ったわよね?自分のしたいようにやるためにゲームをしているって、じゃあ、私も言いたいように言うわ。」
「サン君言った事は覆す事は出来ないわ。ほら、男に二言はないってね♪」
「ミナさんまで・・・もうどうにでもなれ~!」
最後にはサンも投げやりになってしまった。まあとりあえずこうしてデスゲーム初日にサイ、ユリ、アイ、ミナのパーティーが生まれた。