人探しと決闘
今サンは目の前の状況に手を上げたくなっていた。
「お姉ちゃん何これ怖いんだけど。」
中学性ぐらいの女の子がユリの袖をつかみ、
「ユイどうなっているのか説明しなさい。」
見た目40後半のおばさんが肩を揺さぶる。
「説明するからこっち来て、ここじゃあ話しづらい。後今名前呼ぶのやめて。」
「大変なことになったな~。」
「呑気言ってないで手伝ってよ~。」
事はアナウンスのすぐ後に戻る。
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「じゃあ一旦お別れね。」
「は?何でかな~?」
佐渡見のアナウンスの後、急にさようなら宣言いくらなんでも訳が分からない。
「だって、アームフォン着けていた家族全員アドファトの世界にいるのよ。あなたも私も別々の家族探さないといけないでしょ?だからフレンド登録してお別れよ。」
確かに、納得がいくのだが、しかし
「だったら、僕もユリの家族探そうかな~?」
「え、嬉しいけどサンの家族大丈夫なの?」
サンの申し出はいいものなのだが、ユリはサンは家族が心配じゃないのかと思える。しかし
「家族はいないな~。」
家族がいない、その言葉にユリは少しショックを受ける少し聞きたいが、これ以上聞くのは、ゲームでの禁句であるリアルに関わる話になので止めとく事にする。
「ごめんなさい、何か悪い事聞いたみたいね。」
「気にすんな、慣れたからな~。」
「でもほんとにいいの手伝って貰って。」
「さっき言ったはずだな~。僕がやりたいようにやる為にここにいるとな~。」
これは止めても無駄だと察したユリは、すまないように手を合わせた。
「ありがとう、じゃあお願いするわ!お父さんは主張で日本に居ないから、お母さんと、妹が来てるはずよ!」
その後30分したところでユリに良く似た親子を発見し冒頭に続く。
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何とか人混みを抜け、グリーンフィールドに連れ出すことが出来た。
そこで事情を説明して、この世界がデスゲーム化した事と、本名ではなくユリと読んでもらうようにお願いする。
「じゃあ、そのクエストをクリアすれば元の世界に戻れるの?だったら早く終わらせなさいよ!」
ユリの母 ミナが単純な間違いを言う。
「無理よ。そんな簡単なクエストならいいけど、これは実験を長引かせる為に作られているの。そう簡単に終わる訳がない。」
すぐに論破すると次はユリの妹 アイが疑問を問いかけた
「実験を長引かせる為なら、何でクエスト何て作ったの?最初から作らなければ、永遠に実験出来るじゃない。」
「それは・・・。」
ユリがいいよどむ。この質問に答えるには、少し頭を捻らなければならないので、リアルで成績平均点いくかいかないかのユリには答えられなかった。その様子を見ていたサンは仕方なく答えを言うことにした。
「それは混乱させないためだな~。もし帰る方法がなかったら多くのプレーヤーが実験を失敗させれば帰れるのではないか?と考えるだろうからな~。そうでなくても実験に異常をもたらすかもしれない。それを危惧したんだろうな~」
「でも本当は帰る方法とか言いながら帰れなかったらどうするのよ!」
「その心配も要らないな~。何故ならもし僕達全員が死んでしまうと佐渡見の死に繋がるからだな~。例え食料を用意していてもすぐに底をつく。つまり生産者が必要なんだな~。よって、クエストが帰る方法だと言うのは本当だな~。」
納得のいく説明に感心するユリ達だが、アイはすぐに険しい顔になった。
「良くわかったけど貴方何者?」
「サンだな~。」
「じゃなくて貴方が信用出来ないの。信用させる何か見せてよ。」
「始めたばかりのゲームでそんなのがあるわけないな~。」
「だったら、近づかないで、こんな状況で私は信用出来る人とじゃないと一緒に居たくないの。しかも何でも知ってるみたいに色んな事言ってさ。もしかしてあんたが佐渡見じゃないの?そんな怪しいヤツと一緒にいるなんてあり得ない。もし近づいたら、」
するとアイはナイフを取り出した。
「切る!」
「ちょっと!いくらなんでもそれはヤバイよ!それにサンは私と一緒にお母さんとアイを探してくれたんだよ。それに・・・」
「もういい!!」
アイを宥めようとしたユリを止めたのはサンだった。
「アイの言う通りだ。俺を信用出来る要素全く無いもんな。だがこのまま引き下がって、お前ら3人死んだら後味悪いからな。だから決闘しよう。」
ユリとミナは息を飲む。決闘に反応したわけじゃない。サンの口調がいきなり変わり空気が変わったのだ。まるでサンからとても強い負のオーラが漂うように、そんな事を知らないようにサンはメニューを開き決闘申し込みのウィンドウをアイに出す。
「ふん、そんな怖い風にしてもムダ。私剣道かなり強いんだから。貴方何かに負けないわ。」
そう言うと決闘ウィンドウのokを押すすると空中に決闘ウィンドウが出てくる。もはやユリもミナも止めることはできない。
決闘
アイvsサン
勝利条件
相手のHPゲージが黄色になる
相手が降参する
ルール
時間10分
スキル使用可
参戦不可
開始まで後1分
そしてサンはナイフを抜き両手で前に構える。
アイも同じように構える。
まるで剣道の試合のようだ。
「その構え、君も剣道経験者?」
「ああ剣道経験者だ。そして君と試合したこともあるよ。岡村 愛さん?」
「うわ、キモい。何で本名知ってるの?」
そう、リアルの話は例えデスゲーム化したこの世界でも禁句・・・というか、たまたま巻き込まれたアイを知っているなど変人もしくは超人または、GMである。
アイの頭の中でサンGM説が巻き起こっているが、そんな事知らないように、サンはひねくれた口調になった。
「あ、キモいって言ったな?もう二度と練習つき合ってやんね。」
「はぁ~?マジであんた誰なの?」
どうやら、リアルでもアイと練習した事があるらしい。だが、アイは剣道でもトップ5になるほどの実力の持ち主なのだ。生半可では練習にならない。しかし全く覚えていないアイにとって当然の質問だった。だが、その答えにサンは
「刀を交えれば分かるさ。」
としか言わなかった。
その態度に腹をたてるアイは誓う、この男をぶっ叩いて洗いざらい吐かせると、もちろん精神的にも身体的にも。そして決闘が始まる。