初めてのボス戦
ヘルタランチュラの8本の長足がサンを襲う。しかしそれを全て剣で流すと、サンは反撃を開始、見事なスピードだったが、ヘルタランチュラは足で受け止める。
しかしそこでサンの攻撃は終わらなかった。ついでと言わんばかりに素手で殴った。あまりダメージが入らなかったがその反動で後ろに下がれた。
【ほう、わしの攻撃を全て流すとはなかなかの手練れと見える。素手の攻撃もなかなか驚いたぞ。】
「付け焼き刃で驚かれるとはボスもちょろいな。」
【ふふ、わしにそこまで言うとは面白い。さあ、楽しもうぞ!】
再び始まった戦いはスピードをさらに速めたそれこそユリが見えないほどに、しかしサンとヘルタランチュラは気にしないように、斬り合う。若干サンがスピードが速い。しかしHPの減りもかなり速く、ユリの連続ヒールがサンを支えた。そしてヘルタランチュラのHPが7割切った時だった。
【くっ、ならば!これはどうだ!】
そして足に後ろの毒針も加え、スピードが間に合ってしまった。しかも足も毒攻撃付与されて紫色になった。ユリが解毒出来ない以上慎重になりスピードもヘルタランチュラと五分五分になるが、時々攻撃を当てていたのは規格外だからと言えよう。そして5分後、一向に毒状態にならないサンに痺れを切らしヘルタランチュラは、
【かなりのスピードだ。しかし後ろのヒーラがいなければ元も子もないだろうな。】
「まあな。まさかユリを攻撃するつもりか?」
【そのまさかだ!はぁっ】
そしてユリに巨大な糸玉が発射された。ユリは思わず目をつぶった。しかし糸玉が来ることは無かった。目を開けると、サンがすでに糸玉を受け止めていてHPゲージが赤になっていた。
そこにヘルタランチュラが飛び込みサンにトドメを刺そうとする。ユリも急いでHPを回復するが間に合わない。サンとユリはヘルタランチュラに飛び込まれた。
【ぐぁぁぁっ】
しかし悲鳴をあげたのはヘルタランチュラだった。ヘルタランチュラは8本の長足が切られHPも一気に3割になっていた。
「この世界が部位破壊出来て良かったぜ。」
部位破壊、プレイヤーや、モンスターの手足に尻尾などを落とす事でこの世界では無くした部位を欠損部位と呼んでいる。
【何故今頃おぉ~!】
ヘルタランチュラは怒り狂おうとするが足が無い為何もすることができない。
「最初からこれ狙ってたんだが、お前、足長過ぎて関節切れなかっただよ。ようやく飛び込んで来てくれたか、ありがとな!」
「サンったら驚かせないでよ!怖かったじゃない!」
「悪い、悪い。でも後は焼くも、煮込むも、切り刻んでミンチにするのも俺の勝手だ。」
【くっそおぉ~!】
「まずは毒針から部位破壊しようか。」
そして後ろに周り込むと針を片手剣の峰で壊す。次に目を刺し、さらに下顎を斬り、触角を抜いた。どんどん、HPは無くなり、ヘルタランチュラが悲鳴をあげる。
【この若造があぁっ調子に乗りおって!】
「年老いてるから強い訳じゃない、勝負は負けないように努力した者が勝つんだ!勘違いすんな!」
その悲鳴を最後に、額に剣で割れ死亡のフェイクトが入り、戦いは終わった。