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洋食屋 コッペリア。  作者: シュレディンガーの羊
本編
4/10

04。ハンバーグとオムライス。



机を挟んで向かい合うのは、制服姿と練習着姿の二人。



デミグラスソースのどことなく甘い匂い。

拳ほどの大きさのハンバーグには、ほんの少しだけ野菜が添えられている。


「へぇ、レギュラーになれたんだ」

「なんとかだけどな。お前は?」

「僕もぎりぎりだけど、作品完成しそう」

「よかったな」

「そっちもね。今日はお祝いかな?」

「でも、結果出さなきゃ意味ないだろ」

「うわぁ、お祝いムードぶち壊しだよ」

「ま、俺はこれが食えりゃ幸せだから」


一口大に切り分けられたハンバーグ。

端に寄せられた人参のグラッセ。


「……好き嫌いはっきりしてるよね」

「いきなりなんだよ」

「小さい頃からあれは好き、これは嫌いってちゃんと言うんだもの」

「お前はあんま言わないよな」

「僕は世渡り上手だからね」

「八方美人の間違いだろうが」

「あ、幼なじみに向かってひどいなー」

「てか、そういうお前だって、普通に好き嫌いはあるわけだろ」


示されたのはオムライスの皿。

卵の黄色と、ミッスクベジタブルの三色に、デミグラスソースはよく栄える。


「グリンピース。嫌いなのによく食えるな」

「嫌いじゃなくて、苦手なだけだって」

「別に嫌いって悪いことじゃねぇだろ」

「僕はそう簡単に嫌いとか言いたくない」

「ふーん。グラッセいるか?」

「もらう。僕、好きだし」

「ほんと、好み合わないよな俺ら」


肉のほとんどないオムライス。

野菜のほとんどないハンバーグ。

共通点はひとつきり。


「でも、デミグラスソースは好きだよ」

「それには同意」

「なんだかんだ言って、取り合いにならないからいいんじゃない?」

「だな。グリンピース食ってやろうか?」

「……まじで?」



「次はちゃんと結果だしてから来るか」

「そしたら、今度はお祝いしようね」

「俺はデミグラスソースのハンバーグで」

「僕はデミグラスソースのオムライスで」



ドアベルが澄んだ音をたてた。

並んで出ていく少年を見送りながら、店長は一人微笑む。


「素敵な幼なじみ様、またお越しください」

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