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洋食屋 コッペリア。  作者: シュレディンガーの羊
本編
2/10

02。ホットケーキとフレンチトースト。



机を挟んで向かい合うのは、ポニーテールとショートヘアの二人。



バターと蜂蜜の香りが優しく混ざる。

二枚重ねのホットケーキの上をバターが滑っていく。


「まさかアンタが弁護士になってるとか、びっくりなんだけど」

「そっちこそ教師とか驚いたわよ。昔からすごい頑固だった貴女が、今は学校の先生だなんて」

「む、聞き捨てならない。アンタもでしょ」

「確かに否定はしないわ」

「なんか中学の頃が懐かしいなぁ」

「よくじゃんけんしたわね」

「ホットケーキとフレンチトースト?」


お互いの前に置かれた二つの皿。

似ているようで似ていない甘いもの。


「貧しかった中学時代は、割り勘が当たり前だったものね」

「二人で半分ずつだった」

「あと蜂蜜とメイプルシロップも」

「それでよく揉めた、揉めた」

「貴女がホットケーキを頼んだの見て、今日ちょっと嬉しかったのよ」

「アタシも。フレンチトースト頼むの聞いて、変わってないなーって懐かしかった」

「好きなものを大人になっても、好きでいられるって素敵なことだわ」


メイプルシロップの小瓶をつまんで、フレンチトーストに円を描くようにかける。

その小瓶を机に戻せば、蜂蜜の小瓶とぶつかってカツンと音をたてた。


「アタシ、実はフレンチトーストもメイプルシロップも嫌いじゃなかったんだよ」

「実は私も。ホットケーキと蜂蜜、貴女のおかげで好きになったんだから」

「でも、じゃんけんで負けるのはイヤでさ」

「そうそう、負けるのは癪なのよね」

「勝ち誇った顔されると、悔しくてムスッとしてたけどホントは意地張ってただけ」

「美味しいのに不機嫌そうにするのって、案外難しいのよ」

「ねぇ、半分こずつにしない?」


ナイフで二つにされたホットケーキ。

フレンチトーストにもナイフを入れる。


「いい提案ね。そうしましょ」

「自分だけだと、どうしても一番好きなほうにしちゃうからさ」

「私も久しぶりにホットケーキ食べたいわ」



「二人でひとつが、今は二人でふたつかぁ」

「なんかふたつだと、半分ずつも贅沢ね」

「また二人で来ようか」

「えぇ」



ドアベルが澄んだ音をたてた。

並んで出ていく女性を見送りながら、店長は一人微笑む。


「仲のよい旧友様、またお越しください」


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