プルーフ・オブ・ライフ
掲載日:2026/10/27
それが証なんだと 手に触れて誰かを想うよ
風のように過ぎ去る時間のあとで それでも残るもの
あなたの遺した 決して上手でない字の
その書き付け 来るはずの明日を 信じた心のひとかけら
明けぬ夜に閉ざされたあなたの命の その跡
それが証なんだと 目を閉じて誰かを想うよ
錆びついた時計の 止まった秒針
あなたの日々の隣にあった 柱時計の鐘の音
手を触れたはずみで ボオン と鳴る音
それはきっと 過去から手を振る 時の似姿
それが証なんだと そっと耳を澄ませて 誰かを想うよ
心臓の音 昔とあるふたりが 結ばれた瞬間の
その奇跡の続き すべての人の胸の真中に 今を刻むような
それが証なんだと 風に吹かれながら 誰かを想うよ
見上げれば空 青く染まる大気
それは地上に生きる者たちの いつか吐き出した吐息
そう それが証なんだと それは全て 証なんだと
生きた証を残そうとする人は多い。そして有形か無形かは問わず、大体の生き物はなにか、生きていた跡をこの世に残している。
何もなかった生などただの一つもない。ただ、私たちがこの空に、この世界に、誰かの生きた証を見いだすことを怠っているだけなのだ。




