間奏 空々からの手紙
怜姉さん。元気ですか。空々です。
姉さんが文字を教えてくれたおかげで、こうやって手紙が書けます。
まずひとつお知らせがあります。姉さんが華栖の都に旅立ってすぐに、奥様が家を追い出されました。なんでも布問屋の若息子と不貞を働いていたそうです。奥様の産んだ末娘も一緒に追い出されたそうなので、もしかしたら彼女は僕たちの妹ではなかったのかもしれません。こわい奥様がいなくなったことで、使用人たちもずいぶん明るくなりましたし、兄さんたちも元気よく働いています。
南家の商売は順調です。父様は生糸や米麦の買い付けに精を出しています。高台の土地を買い取り、小作人を雇い入れて、どんどん貯蔵量を増やしています。今なら飢饉がきても数年は耐えられそうです。
この頃は町にお使いに出ることが増えました。姉さんの友人だという薬問屋の娘さんがなにかと気遣ってくれます。そちらの仕事も少しずつ覚えています、いつか手伝わせて貰えるようなりたいです。姉さんほどうまくはやれないだろうけど、僕も頑張ります。
父様にいずれは姉さんと同じ華栖へ奉公に出して貰えるようにお願いをするつもりです。そうしたらまた会えるでしょう?
僕が逢いに行くその日まで、どうか元気でいてください。




