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え?俺の魔法の効果、弱すぎない?〜転生したら『ゴミ拾い』スキルだった件〜

掲載日:2025/10/13



「佐藤ケンジ、23歳。貴方の異世界転生を許可します」


トラックに轢かれて死んだ俺の前に現れたのは、やたらと美しい女神様だった。


「転生者には特別なスキルを一つ授けます。さあ、このルーレットを回してください」


画面に映し出されたのは、煌びやかなスキルの数々。


『聖剣召喚』『無限魔力』『時間停止』『即死魔法』『全属性適正』――


俺の人生、ずっとクソだった。ブラック企業で働き、恋人もできず、趣味はなろう小説を読むこと。


頼む…今度こそ、最強のスキルを…!


カラカラカラ…カチッ。


清掃(クリーニング)Lv.1』


「…え?」


「おめでとうございます!半径10メートルのゴミや汚れを自動回収するスキルです♪」


女神様の笑顔が眩しい。


「いや、待って。これ戦闘力ゼロじゃん!?他の転生者は!?」


「今日の他の転生者様は…田中様が『聖剣召喚』、鈴木様が『無限魔力』、高橋様が『時間停止』ですね!」


俺だけハズレ引いてる!


「ちょ、待って!回し直し!」


「ダメです♪では、頑張ってくださいね!」


女神様の指が光る。


「ファッ…!?なんやて‼︎」


気付けば、俺は草原の真ん中に立っていた。


-----


異世界。緑の大地、青い空、そして遠くに見える巨大な城壁。


「マジで異世界転生しちゃった…」


ステータスを確認する。この世界では、思い浮かべるだけでステータスが見える仕組みらしい。


```

佐藤ケンジ Lv.1

HP: 50/50

MP: 30/30

スキル: 清掃(クリーニング)Lv.1

```


…弱い。弱すぎる。


他のなろう主人公なら、ここで「実は最強でした」展開が待ってるはず。


試しにスキルを発動してみる。


「清掃!」


半径10メートルの草むらから、小枝、落ち葉、虫の死骸がシュッと俺の手元に集まってきた。


「…うわ、キモ」


これがゴミ袋に入れば便利だが、そのまま手に集まってくる。


「クソスキルすぎる…」


ため息をつきながら、俺は近くの街を目指して歩き始めた。


街の名前は「グランベル」。


中世ヨーロッパ風の建物が立ち並び、人々が行き交う。獣人族、エルフ、ドワーフ…まさに異世界。


そして俺が最初に向かったのは、冒険者ギルド。


「転生者か。最近多いんだよな」


受付のお姉さんは、明らかに面倒くさそうな顔をしていた。


「スキルは?」


「清掃です」


「…清掃?」


「はい」


お姉さんは数秒固まった後、ため息をついた。


「わかった。とりあえずGランク登録ね。最低ランク」


冒険者ランクは、G、F、E、D、C、B、A、S、SSの九段階。


俺は最低ランクからのスタート。


「Gランクができる依頼は…これね」


渡された依頼書。


『街の清掃:報酬銅貨3枚』

『下水掃除:報酬銅貨5枚』

『ゴミ捨て場の整理:報酬銅貨4枚』


…全部掃除じゃねえか。


「他には?」


「Gランクはこれだけ。文句あるなら帰んな」


俺は黙って依頼書を受け取った。


-----


街の清掃現場。


ゴミだらけの路地裏で、俺は一人スキルを発動する。


「清掃」


シュルシュルと、半径10メートルのゴミが俺の元へ集まる。空き瓶、腐った野菜、動物の糞…。


「うぇ…臭い…」


それを近くのゴミ捨て場に運ぶ。


往復すること20回。


3時間後、やっと路地裏が綺麗になった。


「はい、報酬」


受付のお姉さんが銅貨3枚を投げてよこす。


銅貨3枚=約300円。


「…時給100円か」


ブラック企業より酷い。


「あれ?なろう小説の主人公って、もっと楽に稼いでなかったっけ…」



───────


それから一週間。


俺は毎日、清掃依頼をこなした。


街の掃除、下水掃除、ゴミ捨て場整理、貴族の屋敷の掃除…。


「よお、掃除屋」


ギルドの冒険者たちは、俺を見て笑う。


「Gランクから上がれねえのかよ」


「清掃スキルとか、マジでハズレだよな」


「俺なんてBランクだぜ。昨日ドラゴン倒したわ」


悔しい。


だが、俺にできることは掃除だけ。


黙々と、依頼をこなす。


そんなある日――


《レベルアップ!清掃Lv.1→清掃Lv.2》


「お…!?」


スキルがレベルアップした。


清掃範囲が半径20メートルに拡大。さらに、回収速度も2倍になった。


「これなら…もっと効率良くなる」


希望が見えた。


それから俺は、さらに依頼をこなしまくった。


一日5件、10件、15件…。


他の冒険者が昼寝してる間も、酒を飲んでる間も、俺は掃除をし続けた。


そして――


二週間後。


《レベルアップ!清掃Lv.5→分解Lv.1》


「分解…?」


スキル名が変わった。


試しに、近くの木箱に向けて発動してみる。


「分解」


パキン。


木箱が一瞬で分解され、素材になった。


《木材×5、鉄釘×8を獲得しました》


「…マジか」


これは、ただの掃除スキルじゃない。


物質を素材レベルまで分解するスキルだ。



─────


「おい、佐藤」


ギルドの受付嬢が、珍しく俺に声をかけてきた。


「Bランク冒険者のガルドが、お前に依頼したいってさ」


「俺に?」


案内された先には、傷だらけの大男が立っていた。


「お前、分解スキル持ってるんだって?」


「…ああ」


「これ、処理できるか?」


ドサッ。


床に置かれたのは、巨大な魔物の死骸。


「アイアンベアの死骸だ。普通、解体に三日かかる。魔物は死後すぐに腐るから、素材の価値が下がるんだ」


「それを?」


「一瞬で素材化できるなら、金貨10枚出してやるよ」


金貨10枚=10万円。


俺の二週間分の稼ぎだ。


「くっ…やる」


俺は死骸に手を触れ、スキルを発動した。


「分解」


ブワッ。


魔物の死骸が光に包まれ、次々と素材に変わっていく。


《アイアンベアの毛皮×1、爪×20、牙×4、魔石×1を獲得しました》


所要時間、10秒。


「…マジかよ」


ガルドが目を見開く。


「完璧じゃねえか…しかも魔石まで無傷で取り出してる…」


「これでいいか?」


「ああ…いや、最高だ。金貨10枚、確かに」


ジャラリと、金貨が手渡される。


「なあ、また依頼していいか?俺の知り合いにも紹介したい」


「…ああ」


その日から、俺の元には冒険者が殺到した。


-----


「オークの死骸、頼む!」


「ゴブリン50体分、まとめて処理してくれ!」


「俺のは古竜の死骸だ!報酬は金貨100枚出す!」


毎日、死骸が運び込まれる。


俺はそれを次々と分解していく。


《分解完了――竜鱗×320、竜牙×48、竜血×12リットル、竜核×1を獲得》


「竜核まで無傷…!?ありえねえ…」


普通、古竜の死骸から竜核を取り出すには、熟練の解体師が一週間かけて慎重に作業する。


少しでもミスれば、竜核は砕け散る。


だが俺のスキルは、完璧に素材化する。


一ヶ月後。


俺の所持金は、金貨500枚を超えていた。


「佐藤、ランクアップ審査受けないか?」


受付嬢が、今度は笑顔で話しかけてくる。


「お前の実績なら、Cランクまで一気に上がれるよ」


だが俺は首を振った。


「いい。Gランクのままで」


「なんで?」


「目立ちたくない」


実際、俺のスキルはヤバすぎる。


分解できるのは、死骸だけじゃない。


武器、防具、建物、魔法陣…あらゆるものを素材に戻せる。


もしこれが王国に知られたら、確実に利用される。


「そう…まあ、お前の自由だけどさ」


──────


ある日、ギルドに一人の貴族が訪れた。


「分解スキルを持つ冒険者はいるか?」


受付嬢が俺を指差す。


「彼です」


貴族――ヴェルナー伯爵という男は、俺をじっと見た。


「…Gランク?」


「はい」


「まあいい。報酬は金貨1000枚。ついてこい」


金貨1000枚=100万円。


俺は黙ってついていった。


-----


馬車で一時間。


辿り着いたのは、巨大な遺跡だった。


「ここは、千年前の古代魔導文明の遺跡だ」


「魔導文明?」


「ああ。この世界には、千年前に栄えた超高度な魔法文明があった。だが、ある日突然滅んだ」


遺跡の入口には、立入禁止の看板。


「中には莫大な魔導技術が眠っている。だが…」


「だが?」


「内部が『魔力汚染』されていて、誰も近づけない」


魔力汚染。


この世界では、魔力が一箇所に溜まりすぎると、毒のような性質を持つようになる。


「触れれば即死。どんな浄化魔法も効かない。だが…分解スキルなら、もしかすると」


「…やってみる」


俺は遺跡の中に入った。


-----


内部は、紫色の霧で満たされていた。


《警告:超高濃度魔力汚染を検知。HP継続ダメージ》


「うぐ…!」


体が痛い。


だが、ここで引き返すわけにはいかない。


「分解!」


スキルを発動。


すると――


《超高濃度魔力汚染を分解中…1%…5%…10%…》


紫の霧が、ゆっくりと晴れていく。


「効いてる…!」


10分後。


《分解完了――魔石×9999、オリハルコン×1、失われた古代魔法書×23を獲得しました》


遺跡の汚染が、完全に消えた。


「信じられん…千年の汚染が…消えた…!」


伯爵が震える声で呟く。


そして、遺跡の最深部。


そこには、一冊の日記が置かれていた。


-----


『古代魔導師ゼノンの記録』


『我々は、魔力を極限まで使用することで、世界を発展させた』


『だが、ある日気付いた』


『魔力は、使えば使うほど世界に”汚染”として蓄積される』


『そして、その汚染が一定量を超えると――』


『“魔王”が誕生する』


「…魔王?」


『魔王とは、世界に蓄積した魔力汚染の結晶である』


『我々の文明は、自らが生み出した魔王によって滅ぼされた』


『もし、この記録を読んでいる者がいるなら――』


『魔王を倒すには、汚染を”浄化”するのではなく、“分解”しなければならない』


日記はそこで終わっていた。


「…マジかよ」


つまり、俺のスキルは――


魔王を倒せる唯一のスキルってことか‼︎


帰り道、伯爵が言った。


「佐藤殿。貴方のスキルは、この世界を救う鍵、貴方は大英雄となるべき人かもしれない」


「大げさだろ」


「いや、本気だ。実は今、魔王軍の動きが活発化している。このままでは、人類は滅ぶ」


「…」


「力を貸してくれ。報酬は、いくらでも出す」


だが俺は首を振った。


「俺は、ただの掃除屋だ。英雄じゃない」


「しかし…!」


「でも」


俺は遺跡を振り返った。


「もし、世界が本当にヤバくなったら…その時は考える」


「…わかった」


伯爵は、それ以上何も言わなかった。


-----


それから三ヶ月。


俺は相変わらず、分解屋として依頼をこなしていた。


だが、街の雰囲気が変わってきた。


「魔王軍が、北の国を滅ぼしたらしい」


「勇者様でも勝てなかったって…」


「このままじゃ、人類が…」


ある日、ギルドに一人の男が現れた。


「佐藤ケンジはいるか!」


それは、Sランク勇者――アレクだった。


「お前が、分解スキル持ちか」


「…ああ」


「頼む。力を貸してくれ。魔王を倒すには、お前の力が必要だ」


「断る」


「なぜだ!?世界が滅ぶんだぞ!?」


「俺は戦えない。足手まといになる」


「…」


アレクは悔しそうに歯を食いしばった。


だが、その時――


ドゴォン!


街が揺れた。


「な、何だ!?」


外に飛び出すと、空が真っ黒に染まっていた。


「魔王軍…!ここまで来たのか…!」


巨大な魔物の群れが、街を襲う。


人々が逃げ惑い、悲鳴が響く。


「クソ…!」


アレクが剣を抜く。


だが、魔物の数は数千。


一人では無理だ。


その時――


俺の目の前で、子供が倒れた。


「た、助けて…」


背後には、巨大なオーガ。


「…チッ」


俺は走り出した。


「分解!」


オーガの体が、一瞬で粉々に砕け散る。


《分解完了――オーガの魔石×1を獲得》


「…やるしかねえか」


俺はアレクを振り返った。


「行くぞ。魔王城へ」


「…ああ!」


## 第六章:魔王討伐


魔王城。


それは、世界の中心にそびえる、巨大な黒い塔だった。


「ここが…」


俺とアレク、そしてSランク冒険者パーティ『蒼天の剣』の5人。


計7人で、魔王城に乗り込んだ。


「行くぞ!」


内部には、無数の魔物。


「『聖剣召喚』!」


アレクの聖剣が、魔物を次々と斬り裂く。


「『大炎上魔法・歯火剣』!」


魔法使いの攻撃が、魔物の群れを焼き尽くす。


だが――


「数が多すぎる…!」


「このままじゃ、キリがない…!」


その時、俺が前に出た。


「任せろ」


「佐藤!?何を…!」


「分解」


ブワァッ!


半径100メートルの魔物が、全て消滅した。


《分解完了――魔石×356を獲得》


「な…!?一瞬で…!?」


「スキルレベルが上がったんだ。行くぞ」


-----


最上階。


そこには、魔王がいた。


「…人間よ」


漆黒の鎧を纏った、巨大な存在。


「我はドーアクーラ。世界の汚染が生み出した、終焉の化身」


「…」


「貴様らでは、我を倒せぬ。何千年も、勇者が挑み、全て敗れた」


アレクが剣を構える。


「それでも、俺たちは戦う!」


「愚かな」


魔王の手から、黒い光が放たれる。


「うぐぁ…!」


アレクたちが吹き飛ばされる。


「強い…!」


「くそ…これが魔王…!」


全員がボロボロだ。


だが、魔王は無傷。


「終わりだ」


魔王の手に、巨大な魔力の塊が生まれる。


このままでは、全員死ぬ。


「…俺が行く」


「佐藤!?ダメだ!お前じゃ…!」


「大丈夫だ」


俺は魔王の前に立った。


「…貴様、何をする気だ」


「お前を、分解する」


「分解…?ふざけるな。我は汚染の結晶。分解などできぬ」


「試してみないとわからない」


俺は、スキルを発動した。


「分解」


その瞬間――


魔王の体が、光に包まれた。


「な…何だ…!?我が体が…消えていく…!?」


《対象:魔力汚染の集合体を分解中…10%…30%…50%…》


「バカな…!汚染は浄化できぬはず…!分解など…!」


「俺のスキルは、掃除だ。汚れを取り除く」


「お前が…世界を汚してるなら…」


「俺が、綺麗にする」


《分解完了――世界樹の種×1、創世の魔石×1、平和な世界×1を獲得しました》


ドサリ。


魔王の体が崩れ落ちる。


「…まさか、こんな形で…敗れるとは…」


「人間よ…世界を、頼んだぞ…」


魔王は、そう言い残して消えた。


-----


世界が、光に包まれる。


千年間蓄積された魔力汚染が、全て消えていく。


「終わった…のか?」


「ああ…魔王は、もういない」


俺たちは、世界を救った。


───────



## エピローグ:掃除屋の日常


それから一年。


俺は『世界を救った英雄』として、各国から招待を受けた。


だが、全て断った。


「英雄、佐藤様!パーティーに是非…!」


「すみません、忙しいんで」


俺は今も、ギルドで清掃依頼を受けている。


「街の掃除、銅貨3枚ですね」


「え…英雄なのに、料金変わらないんですか!?」


「だって、俺がやりたくてやってるだけだし」


受付嬢が呆れた顔をする。


「変わってるよ、あんた」


「そうか?」


俺は街に出て、スキルを発動する。


「清掃」


シュルシュルと、ゴミが集まってくる。


子供たちが手を振る。


「掃除のお兄ちゃん、ありがとう!」


「おう」


俺の異世界生活は、今日も平和だ。


弱小スキル『清掃』。


だけど、このスキルで――


俺は世界を救った。


汚れを祓うことが、平和を守ること。


それが俺の、英雄としての戦い方だ。





最初は最弱だと思われていた『清掃』スキル。


でもレベルアップで『分解』に進化し、最終的には魔王すら倒せる力に。


実は、魔王=世界の汚染という設定で、掃除スキルこそが最適解だったというオチでした。


「一見弱いけど実は最強」系の王道展開、楽しんでいただけましたか?


続編希望の方は、感想お待ちしてます!

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