救済と永遠2
カチカチと会長室に掛けてある時計から子気味の良い音が鳴る室内で先に声を出したのは英明だった。
「今の警察の暴走と君の言った今後起こりえる´未来´について私なりに考えてみた。」
「その上で、私が思う展開と君が´思う展開´について相違があれば聞かせてくれるかい?」
そう言って話し出した英明さんだったが、自分が知っている未来の出来事をまるで知っているかの様に適格に話していく。
英明の想定は
この後自衛隊は突入作戦に失敗して犠牲者が出る。
犠牲者が出て慌てた国は隠ぺいする為にゲートを封鎖して誰も入れない、近づけない様にする。
暫く監視を続けていて俺が言った[ダンジョンブレイク]が発生する。
その際自衛隊が対処するが、対処しきれずに一般市民のいるエリアまでモンスターが到達する。
「そして、これは君の言った配信での発言と感を踏まえて言うが真白だけじゃないんだろう?その時が来た際に覚醒する人間は...いや正確に言えば分からない程大人数が覚醒して戦いに身を投じる。」
驚きに一瞬目を開く。
確かに覚醒する人間は今後出てくるだろうとも言った
だが、大人数が覚醒するとは言ってない。にも拘わらずこの人は当てた。
「君が先の配信で何個か´嘘´を言っているのは真白から話を聞いているから知っている。未来視の能力を行使したのであれば、説明が一先ずはつくからね。」
「そうです。確かに大人数の人が覚醒します。ただ、直ぐにと言うわけではありませんが」
自分が未来視を使ったと思っている以上はある程度開示しても問題ない。
「であれば、だ。今後の事は想像できる。自衛隊が機能しないが、覚醒者であれば君の様に対処出来る。まぁ全員とは行かないだろうけど、となれば国は自衛を盾に国民、覚醒者に´協力´を要請するんじゃないか?望む、望まないは置いておいてだ。」
ゴクッと唾を飲み込んだ音が聞こえた。
音の方をチラッと見ると真白さんが少しだけ震えた様子で英明さんを見ていた。
「お父さん、それって、国が徴兵制を復活させるみたいな話になるんじゃ。それはいくら何でも」
「いや、徴兵制では無い。そうだな、例えば覚醒者には国の登録を義務付けさせて管理。その後、覚醒者には一定の報酬を払う代わりにダンジョンに潜ってモンスターを間引くのを義務とする。それくらいはやるだろう。というより、やる。」
断言した英明さんの言っている事は全て前の人生で起きた出来事そのままで、流石大企業の会長だと言える程シビアに考えている。
こんな人が居て、何で前の人生では栄華グループは経営破綻なんてしたんだ。
「え、ちょっとまって。間引くってどういう事?あ、あれ?悠馬さんダンジョンの中のモンスターは一度倒せば消えるんですよね?」
混乱した様子の真白と確信している様子の英明を見て悠馬は決心すると話し始めた。
「モンスターは一度倒しても時間経過で復活します。但し、ダンジョンのコアになるモンスターを倒せばダンジョンは崩壊して消えます」
「ふむ。それも´未来´で見たのかな?」
「はい。」俺が小さくうなずくと真白さんは少し安堵した様子だ。
今の話に安堵する要素など無いのだが。
「なら、ダンジョンの中に居るコア?になってるモンスターを早く倒す必要があるって事ですよね!」
「いや、真白。そうじゃない。逆だよ。それに、彼が何で´こんな行動をしたか´がこれで少しハッキリした。後ろ盾の無い状況でよくやろうと思ったな。」
「ど、どういう事お父さん?」
狼狽えた真白さんを見てこれは、自分が話した方が良いと思って話す。
「あのダンジョンは崩壊させない方が良いのが自分としての考えです。もちろんダンジョンブレイクは起こさせては行けないと言う前提で。そして、´仮定´のお話をしますが、ダンジョンにあるアイテムは今の現代では考えられない貴重な資源です。」
そう言って、スーツケースからアイテムバックを取り出して中に入っている魔石とポーションを出して机に置く。
「このバックは古い見た目ですが、中にアイテムや物を重量、サイズ問わず入れて収納できます。収納した物の重さを感じる事も無い、分かりやすく例えるならゲームのストレージと言う感じです。そして、こっちが、ポーションです。打撲程度なら即治ります。」
二つのアイテムを手に取りながら説明して行き最後に魔石を手に取る。
これが、もっとも今の日本や世界にとって貴重になる物質。
「そしてこの魔石ですが、電力、そして原油の代替えエネルギーとして機能します。それも、現代では考えられない程クリーンなエネルギーで、強力なモンスターから取れる魔石はエネルギー源としてかなり優秀です。それこそ火力発電が淘汰される程に」
そこまで話をすると、今度こそ驚きを浮かべた二人。
「この魔石は自然に対してはクリーンエネルギーとして使用できます。但し、入手するためには人の命が代償として掛かる可能性が高い代物です。」




